角川アスキー総合研究所は、4月15日に角川第3本社ビルにてVR/ARの最新状況が1日でわかる「VR/ARビジネスと開発技法の最前線 2017」を開催した。
まず初めに、VR業界ではGOROmanという愛称で知られる株式会社XVI(エクシヴィ)の代表取締役社長 近藤義仁氏が登壇し、VR/ARビジネスの最新事情、実践開発などについての講演を行なった。
最初のセッションでは、アメリカのGDCから中国の深センでの興味深い話が語られた。マイクロソフトのHoloLens、GoogleのDaydreamなどは何か?といった話から、現地のゲームショップにHTCのVIVE体験コーナーが設置されていたという話まで多岐にわたる。
深センでは、Xiomi(シャオミ)が積極的にVRデバイスを安く販売されているとのこと。また、シャオミのショップが入っているビル内に、VRが体験できるコーナーがあったりするとのこと。また、町中の電気店では、VRデバイスがたくさん売られており、規制がないのか子供たちがドローンを飛ばして遊んでいたりしていたという。
そのほか、VR関連の開発会社や起業したい人が集まったトキワ壮のようなマンションで、開発中の高性能なVRデバイスなど、貴重な話が語られた。
2つ目のセッションでは、VRヘッドマウントディスプレー(VRHMD)の歴史、VRデバイスの機能や性能について基礎から語られた。
Oculus Riftの最初のデベロッパーキットである「Dk1」は、液晶とジャイロセンサーはスマートフォンと同じものを使用していた。しかし、現在のOculus Rift CV1は、外部センサーを使用して、顔の向きや立ったり、座ったりする顔の位置を正確に検知できるようになっている。
VRHMDは、2つのレンズを使用して、仮想的な像を表示する。レンズは凸レンズを使用するため、何も処理しなければ映像が歪んでしまう。昔はこの像の歪みに対するアプローチを、安価に行なうことができなかった。しかし、現在はひと昔よりは安いハードとソフトで、この歪みを処理できるため、エンドユーザーが購入できる価格になったとのこと。
一方、HTCのVIVEは、Lighthouseと呼ばれるシステムを採用している。ベースステーションと呼ばれるモーターの入った2軸のレーザーを飛ばすデバイスを2つ、ライトスタンドなどで2メートルくらいの高さに付けて使う。そのレーザーをHMDの受光部で捉え、そこから計算して位置を正確に検出する。
HTCは3月末に、取り付けるだけでいろんなモノの位置検知を行ない、VR上で使用可能とする「Viveトラッカー」を発売、わずか2時間で売り切れて、現在も入手困難になっている。Viveトラッカーは、銃型や、グローブなどのデバイスに取り付け、組み合わせることで、VRHMDを装着しながらリアルな重さ、触覚のフィードバックを可能とするものと注目を集めている。
そのほか、Oculus RiftやサムスンのGearVR、PlayStation VRなど、PC、スマホ、コンシューマーゲーム機と組み合わせて使えるVRデバイスが増えてきているという。また、VRではゲーム、ツール、アニメと多種多様なコンテンツも増加しているとのこと。
中でも非常に興味深かったのが、マイクロソフトの「HoloLens」のデモ。HoloLensは、MR(Mixed Reality)を実現するデバイス。PC用のVRHMDと異なり、プロセッサーを内蔵するため、別途端末を必要としない。
また、AR(Augmented Reality)とよく混同されるが、ARは現実世界に情報を拡張するモノだが、HoloLensは現実世界をスキャンしてポリゴン化し、その空間を認識してミックスする。
次に話をされたのは、VRコンテンツを作成する際のノウハウ。実写コンテンツからUnityなどのゲームエンジンの使い方の基礎などが語られた。
VRコンテンツを視聴することにおいて気になるVR酔いについても語られた。人は三半規管により平衡感覚を得るが、視覚と体が感じる運動にズレが生じる不一致「視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)」と呼ばれる現象が起き、VR酔いを感じるという。
そんなVR酔いは、カメラの主導権をプレイヤーにすることで酔いが軽減できるとのこと。また、VRに慣れていない人は、せっかく360度見れるのに、2Dを見るのと同じように正面のみを見てしまうことがある。そんな人にも360度視聴できることを伝え、酔わないようにプレイヤーが、自分で視覚を動かすように誘導するために、アニメやゲームの冒頭からタイトルなどを動かし、視線を誘導するのが良いといった、実践的なノウハウも聞くことができた。
イベントのラストには、角川アスキー総合研究所 取締役 遠藤諭氏と、HTC Nippon株式会社 VIVE事業責任者の西川美優氏も加え、VRの未来について語るセッションが行なわれた。近いうちにVRHMDは、無線化が行なわれ、ゆくゆくはVR、MR、ARを切り替えて使える、一般的な眼鏡に近いサイズ感になるのが理想など、いろんなVR未来が話題に上った。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります