あふれんばかりの動物愛と独特な魅力がクセになるテレビアニメ「けものフレンズ」。毎週の放送を「わーい!」「すっごーい!」「なにこれなにこれ!」と楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか? かく言う筆者もそのひとりで、劇中の舞台“ジャパリパーク”に思いを馳せるフレンズでした。
しかし、楽しい時間が過ぎ去るのはとても早いもの……。放送開始から12週が過ぎ、感動の最終話が放送されてしまいました。3ヵ月間+オマケの12.1話を楽しませてくれた「けものフレンズ」に感謝しつつも、今後の楽しみは毎月刊行される「けものフレンズBD付オフィシャルガイドブック」の発売だけ。またサーバルちゃんとかばんちゃんに会いたい……。
そんな生活を送っていたある日、編集部から電話がかかってきたのです!
アスキーおにいさん(へんしゅうぶ):「来週シンガポールで取材があるんだけど、行ってきてくれない? 1泊3日の強行軍なんだけど」
えっ、今なんて言いました? 仕事にかこつけてシンガポールに行ける? そう、シンガポールはけものフレンズのコンセプトデザインを手がける吉崎観音先生が、作品を作る上でインスピレーションを受けたと言われる動物園がある場所。おそらくこの地球上で「ジャパリパークにもっとも近い国」といっても過言ではないような気がしないでもない。そんな聖地に仕事で行けるなんて、けもフレ難民の筆者にとって渡りに船。というか、けもフレ的には渡りにジャガーさんではないか。
アスキーおにいさんに事情を話すと、本来の取材目的のついでに動物園にも行っていいことになった。わーい!
ちなみに、本来の目的は世界最大のオンライン旅行会社「エクスペティア(Expedia)」の最新研究施設の取材。航空券とホテルを安価で購入できるので興味のある方はコチラの記事もご覧頂ければ幸いです。もちろんシンガポール行きのチケットも入手可能なのだ! すっごーい!
というわけで、前置きがものすごく長くなってしまいましたが、この記事ではシンガポールの動物園に行く方法を紹介したいと思います。行きたいと考えているフレンズの参考になったら幸いです。
シンガポールに行ったら通信手段を確保しよう
日本からシンガポールへの行き方に特筆すべきことはなく、一般的な海外旅行と同じ。成田からのフライト時間は約7時間。日本とシンガポールの時差はわずか1時間しかないため、機内で爆睡してしまうと現地に着いた夜に眠れなくなってしまうので注意しよう。アライさんなら「逆時差ボケの危機なのだー!」と言うはず。
シンガポールの玄関口「チャンギ国際空港」に到着したら、まず最初に現地の通信回線を確保しよう。筆者は秋葉原でも道に迷うほどの方向オンチなので、Googleマップがなければどこにも移動ができない。幸か不幸か、筆者が使っているスマホはSIMフリー機で、いわゆる格安SIMでスマホを運用している。
三大キャリア契約のスマホなら海外ローミングは基本的に契約しているはず。なので何も気にせず海外で使えるし、さらに料金を節約したい場合は「海外1dayパケ」や「世界データ定額」などを使えばオーケーだ。
これに対して、筆者が契約している格安SIMは海外ローミングを提供していないため、現地SIMを調達する必要がある。キャリア契約と比べるとSIM調達という手間はあるものの、さまざまな現地キャリアのSIMとプランを選べるほか、料金が安いのがメリット。ということで、今回は現地でSIMを調達することにした。
入国審査を受けてゲートをくぐると、どの空港にもよくある感じの到着ロビーに出てくる。「さて、SIMはどこに売ってるのかな?」と思った瞬間、目の前で見つけた。それどころか、ロビーを見渡せばあっちにもこっちにも売っている。さすがIT先進国シンガポール。
せっかくなので、ITライターらしくいくつかのショップを回ってみた。ザッと見てわかったのは、10日間用のプリペイドSIMばかり売っているということ。しかし今回の旅の滞在は実質2日間だけなのでムダである。もっと安いのはないかと探していたところ、ゲートからかなり離れた場所にあるカウンターで5日間用のSIMを発見。これでも期間が長すぎるが、おそらく3日用なんてモノはないのでコレで手を打つことにした。
購入したのは「M1 tourist SIM」(5日間用)。100GBのデータ通信と国内通話500分、国際通話20分が可能。価格は15ドル(約1200円)だ。やっすーい!
ちなみに、筆者はほとんど英語が話せない、いわゆる「英語が不得意なフレンズ」なのだが、カウンターに近づいて商品を指差し、スタッフに「ディス ワン プリーズ」と話しかけたら、すぐにわかってもらえた。理解してもらうコツは、手に持ったスマホを相手に見てもらうこと。
購入の際に必要となるパスポートとクレジットカード、スマートフォンを提示したら、スタッフがゴソゴソと作業を開始した。どうやらプリペイドSIMの装着から設定までしてくれるようだ。
そのため、事前にスマホの画面表示を「英語」に変更しておかなければならない。これは事前に知っていたのだが、つい英語に変えるのを忘れて日本語表示のまま手渡したところ、ニッコリ笑って「オレは日本語が読めないから英語にしてくれよ~」と言われてしまった。申し訳ない。
作業時間はたったの2~3分だった。受け取ったスマホでGoogleマップを開いてみるとバッチリ使える。メールもLINEもソシャゲアプリも使える。東京とまったく同じ感覚だ。これでもう怖くない! スタッフのおにいさんに礼を伝えて空港を後にした。
空港からシンガポール市街地にあるホテルまでの移動は、運賃約400円で移動できる鉄道を利用した。案内板やアナウンスは英語だらけだが、わかりやすいので筆者のような英語オンチでもなんとかなった。
「まっててサーバルちゃん、今行くから!」
シンガポールの動物園「ナイトサファリ」に行く
シンガポールに到着した翌日は本来の目的である取材(エクスペディアオフィスの取材)。本稿とは関係ないが、世界最大の旅行会社で働く方との出会いはとても刺激的でした。さらにみなさん旅行のプロなので、筆者が行きたいと考えている動物園にも詳しく、経験談を踏まえてたくさんのアドバイスをもらった。ちなみに、エクスペディアでは航空券とホテルだけでなくナイトサファリのチケットも購入できる。すっごーい!
取材が終わりホテルに着いたころは日が落ちかけていた。日本だったら「こんな時間から動物園?」と思うだろう。しかし、けものフレンズの聖地(と勝手に筆者が呼んでいるだけなので誤解なきよう)シンガポールの動物園「ナイトサファリ」は、その名の通り夜間だけ営業している動物園なのだ。営業時間は19時15分~24時で、シンガポール市街地からタクシーで40~50分ほどかかる。
ホテルに戻って5分で身支度をし、タクシーでナイトサファリに向かった。異国の地でタクシーに乗ると「ぼったくられるのでは?」と不安になるが、今回の旅はスマホのGPS機能があるので安心。土地勘がまったくなくても、Googleマップのカーナビがあるからだ。
もし、ドライバーが迂回ルートを走ろうとしてもGoogleマップで表示したルートを見せればいい。ただし、今回お世話になったタクシードライバーさんにはそんな心配もなく、Googleマップのルートどおりの道を走ってくれた。東京よりも安全な街と言われているシンガポールなだけはある。
帰宅時間とぶつかってしまったため道は混んでいたが、市街地からナイトサファリまでは約50分程度で到着できた。気になる運賃は約4000~5000円程度。到着したころは完全に日が落ちて真っ暗だったが、さすが赤道近くの国シンガポール! 日中約30度だった気温はそれほど下がらず、4月上旬だというのにムワッと暑く湿度も高い。日本の真夏のように感じた。
ナイトサファリはどんな動物園?
ゲートをくぐって園内に入ると、すぐチケットカウンターがあった。日本のテーマパークの雰囲気と似ている雰囲気だ。うれしかったのは、掲示板に日本語も書かれていたこと。チケットカウンターだけでなく、園内のあちこちにある看板にも日本語が書いてある。英語が苦手な方でも不自由なく観光できる動物園だ。
ここでナイトサファリのレポートをお届けする前に、動物園の基本情報をご紹介しよう。ナイトサファリはシンガポールのジャングルを活用して作られた、世界初の夜間営業動物園だ。
集められた約1000頭の夜行性動物たちは野生に近い状態で飼育されているため、照明や檻、柵はほとんどなく、園内の大部分が真っ暗。来場客は園内を走る「トラム」と呼ばれるバスでぐるっと回るほかに、4種類の遊歩道(トレールコース)を歩いて散策可能。夜行性動物を自然のままの姿で見られるという、かなりユニークな動物園だ。
さっそくチケットを購入して園内に入ってみよう。チケットカウンターには平日の夜中だというのに、20人以上の観光客が並んでいた。主な客層は家族で、筆者のようなソロのフレンズはいない。
ナイトサファリのチケットカウンターで日本人であることを伝えると、日本語が堪能な添乗員つきのトラムを予約してもらえる。通常の入園料45シンガポールドル(約3600円)に加えて、日本語トラム料10シンガポールドル(約800円)を支払って園内に入った。
園内に入ると、いきなりバスの停留所のようなものがあった。どうやらここからトラムに乗るようだ。筆者の日本語トラムまでまだ時間があったのでしばらく時間を潰していると、英語のトラムがやってきた。ヒョウやトラ、シマウマなどの模様が描かれた連結式のトラムは、まるで「ジャパリバス」のよう。思わず「ジャパリパークは本当にあったんだ!」と叫びそうになった。いけない、水を飲んで落ち着かないと。
早く乗りたいのだが日本語トラムまではまだ時間があるので停留所のまわりを歩いていると「サーバル」が描かれた看板を見つけた。なんだこれ? 急いでパンフレットを開いて調べると、どうやらトラムとは別の催し物で「クリーチャー・オブ・ザ・ナイトショー」というショーをやっているそうだ。しかし。サーバルちゃんの書かれた看板には「FULL」と書かれている。「FULL」が「満員」という意味なことくらいは筆者も理解できる。今回は無計画でやってきた自分が悪いので、ショーは断念せざるを得なかった。
「ジャパリバス」のようなトラムに乗車!
日本語トラム発車時刻の10分前に、チケットカウンターで伝えられた5番停留所に移動した。平日のためか、並んでいる日本人は10数人しかいない。どんな模様のトラムが来るのかなぁ~と楽しみにしていると、シマウマ柄のトラムが到着。3両編成のトラムに10数人しか乗車しないので、広くスペースを使える後方に陣取って愛機のデジタル一眼レフ「EOS 5D mk3」をセッティングした。なお、トラムはドアも窓ガラスもなく、台車に椅子がついているだけの乗り物だ。
出発前に添乗員のおねえさんから説明があった。園内では動物を驚かせないようにフラッシュ撮影禁止、トラムに動物が近づいても触らない、危険なのでトラムから手足を出さないなどなど、一般常識をわきまえていればオーケー。ひと通りの説明が終わると、トラムは静かに出発した。
照明で明るかった停留所のエリアを抜けると、そこは南国の密林。月明かり程度の照度しかないので、周囲はほとんど見えない。これはワクワクする!
添乗員さんの解説によると、このナイトサファリは動物にとって住みやすい場所らしい。過度な照明も園内BGMもないからだ。そのため動物はほとんど警戒せず、トラムが走ってきても逃げ出したりしないそうだ。そんな説明を聞いているうちに、トラムは「ヒマラヤ山脈ふもとの小丘(Himalayan Foothills)」エリアに入った。
添乗員さん「左をごらんください!」
言われるがままにコースの左側にある丘を見たが、暗すぎてなにも見えない。どこかに「ヒマラヤタール」と呼ばれる動物がいるらしいのだが、筆者には発見できなかった。ある観光客は「あれかな?」と指差していたが、どう見てもそれは「岩」である。結局ヒマラヤタールを見つけられなかったが、トラムは一時停車することなくヒマラヤタールエリアを走り去ってしまった。かなり難易度が高い動物園のようだ。
数十秒後に添乗員さんは、また解説を始めた。今度は右側に「マーコール」と「ムフロン」を並べて飼育されていると言う。徐々に目が慣れてきたのもあって、この2種類の偶蹄類は見えた。しかし肉眼では見えるが、暗すぎてデジカメのオートフォーカスでは撮影できない過酷な状況が続く。
今度は「フラミンゴ」とのこと。前回と違ってフラミンゴのスペースは若干の照明が設置されており、とても見やすかった。シャッターチャンスとばかりに静音モードで連射した写真がコレ。何羽ものフラミンゴが固まってエサを食べているようだった。
このような感じで、トラムは園内のコースを約40分かけて走っていく。コースの左右には数十秒~数分おきに異なる動物がいるため、飽きることなく楽しめる。ときにはトラムのすぐ横まで動物がやってくることもあり、動物ファンにはたまらない動物園だ。
ヒマラヤエリアから始まったトラムは、インド亜大陸(Indian Subcontinent)、アフリカの赤道付近(Equatrorial Africa)、アジア森林の川辺(Asian Riverine Forest)、ネパールの渓谷(Nepalese River Valley)、ビルマの山腹(Burmese Hillside)と6つのエリアを回って園内を一周し、出発したトラム停留所に到着した。「あ~、たのしかった!」とトラムを下車したそのとき、当初の目的を忘れていたことに気付いた。
「サーバルちゃんに会っていない」
これでは単なる観光レポートになってしまう。目的を果たすために、園内マップで「サーバル」の飼育場所を調べてみた。
サーバルは徒歩で移動しなければ会えない
「サーバル」はナイトサファリのほぼ中央部にあるエリアにいるようだ。ここはトラムのコースから離れているため、徒歩で行かなければならない。ナイトサファリはトラムの他に、徒歩用のトレールコースが4つ用意されている。それぞれのコースはテーマごとに別れていて、見られる動物が異なるのがおもしろい。
サーバルを見られるのは「イーストロッジトレール」と呼ばれるコース。さっそく移動開始だ。地図の通りに遊歩道を歩くと、サーバルの展示場はカンタンに見つかった。サーバルの展示はほかの偶蹄類などの展示と異なり、ガラスが張られている。きっと低い柵だけだとジャンプで逃げてしまうからだろう。さらにこの飼育場は見やすいように照明がついてる親切設計……なのだが、明かりを嫌っているのかサーバルの姿は見えない。
カメラを構えて待ち続ける筆者の横を、観光客がどんどん過ぎ去っていく。「この日本人には何かが見えているのか?」と言いたそうな顔をしていたのが印象的だった。
待つこと十数分、「いいかげん暑いし暗くて怖いから帰ろうかな」と思ったそのとき、草むらの奥でゴソゴソなにかが動き出した! サーバルちゃんだ! しかし、草むらの奥の方で右へ行ったり左へ行ったり、同じ場所をぐるぐるしているだけで手前には来てくれない。きっと明るい照明はイヤなんだろう。しかもガラスの向こう側には怪しいおっさんがカメラを構えて動かないし。仕方ないので草むらの奥で左右に移動しているサーバルちゃんを撮影した写真が、記事冒頭でもご紹介したコレだ。
美しいサーバルちゃんの写真を期待しながら、ここまで長ったらしい記事を読んでくださったフレンズの期待を裏切るようなオチでごめんなさい。これ以上待っていると閉園時間になってしまうので、どうしても移動しなければならなかったのです(言い訳)。出口までに撮影したいくつかの動物をご紹介します。
もし今後、シンガポールに行く予定のあるけものフレンズファンの方がいたら、ぜひ自身の目でナイトサファリ」を確かめていただきたい。日本の動物園ではなかなか味わえない夜行性の動物を見られて、感動すること間違いナシですよ!
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります