閲覧者の国籍によって「使いやすいサイト」は異なる?
今回シンガポールに作られた「エクスペディア・イノベーション・ラボ」だが、アメリカとイギリスではすでに開業している。世界3番目のラボとして新しくアジアに作った理由は「アジア人は欧米人と異なる感情を持っているかもしれない」からだそうだ。
シニアバイスプレジデントのArthur Chapin氏は「シンガポールは多国籍のアジア系が住んでいる土地なので、研究に最適な場所。我々のデータは実際に旅行予約をしているユーザーから得ており、なぜそのような決断をしたのかを明確化します」とコメントした。
また、アジア地域の特徴として「スマートフォンの普及率が高い」と語るのは、エクスペディア・アジアのCEO Jonty Neal氏。アジア地域のユーザーは欧米に比べてPCを持っていない層が多く、スマートフォンだけでサイトの閲覧から予約までを済ませてしまう場合が多いそうだ。そのため、今後はラボにスマホ用の測定装置を稼働させる計画もある。サイト閲覧者の国籍ごとにUIや検索結果が変わる未来は、そう遠くないうちにやってくるだろう。
エクスペディアが集めたデータはパートナーにも開示
エクスペディアが収集しているデータはラボに限ったことではない。実際にツアーを購入して旅行に出かけた顧客からも満足度のデータを収集し続けている。これらの集めたデータはパートナーシップを結んでいる企業に提供され、サービス改善に一役買っているそうだ。
記者団に向け、普段は公開されない航空会社やホテル会社などのパートナー企業向けのツールが紹介された。「Expedia Partner Central」と呼ばれる画面を見ると、満足度や収益などが数値化されていた。データはリアルタイムに刻々と変化するため、企業はタイミングに応じたサービスの向上を行なえるというわけだ。
ダラ氏は記者会見の最後に「いくらデータを測定しても正しくない結果も多い。しかし、データが正しくなかったとしても得た結果を元に仮設を立てながらテスト・アンド・ラーンを繰り返している。これがエクスペディアと旅行業界を成長させるために必要なこと」とコメントした。
エクスペディアが開発中のVRホテルがスゴイ!
プレスカンファレンスの途中に立ち寄った部屋で、旅行会社のオフィスに似合わない「HTC Vive」を発見。近くにいたスタッフにお話を伺うと、なんとホテルの客室を体験できるVRシステムとのこと。さっそく体験させてもらった。
ヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着すると、そこはどこかの高層ホテルの一室。客室を自由に歩きまわり、ベッドやシャワールームなどを確認できた。写真よりもわかりやすい! しかも椅子やドアを動かすことができ、ベランダにも移動できた。ベランダから眺める夜景はとても美しく、「こんな部屋に泊まってみたいなぁ……」と心の底から思ってしまったほど。
スタッフによると、これはまだテスト段階で今後の展開は不明とのこと。もしも実験が成功してエクスペディアのサイトに実装されたら、ツアーを購入する前に内装をチェックできるようになる。Googleストリートビューと組み合わせたら、世界中の高級ホテルにバーチャル宿泊できるようになるのかもしれない。今後の展開がとても楽しみだ。
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