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API連携はクラウド電子カルテの真骨頂

「Clipla」がもたらす患者へのメリットと、クリニックの業務効率向上に役立つAPI連携を知る

2017年04月27日 11時00分更新

文● 小池晃臣  編集●村山剛史
提供: クリニカル・プラットフォーム

2016年1月にサービスを開始したクラウド電子カルテ「Clipla(クリプラ)」。ブラウザーオンリーで利用でき、マニュアルを読み込む必要がない直感的なインターフェースを備えるなど、これまでの電子カルテとは大きく異なる特徴を持つ「Clipla」は、日本の医療にどう貢献しようとしているのか──6回にわたって探っていきたい。

今回は誰もが享受できる電子カルテ全般のメリット、そしてクリニックの業務効率改善にも役立つクラウドサービスならではのAPI連携について紹介する

導入するだけで患者の待ち時間短縮や、感染リスク抑制にも貢献

 これまで3回にわたってクラウド電子カルテ「Clipla」が、いかに医療の質を高め、医者をはじめとしたすべてのクリニック・スタッフにとって働きやすい環境を実現できるかについて、実際のクリニックでの導入事例も交えて解説してきた。

 しかし、「Clipla」導入によって恩恵を受けるのは、クリニック側ばかりではない。むしろ、医療現場の主役である患者にとっての“安心”“便利さ”の向上にこそ、「Clipla」の本質はあると言ってもいいのだ。今回はその理由をいくつか紹介してみたい。

 まず、従来の紙のカルテから「Clipla」のような電子カルテに変えた時点で、患者側にもかなりのメリットが生じることを知っておいてほしい。

「Clipla」の導入はクリニックのみならず、患者側にも待ち時間の短縮や二度手間の解消といったメリットをもたらす

 じつは患者が来院するたびにファイリングされた紙のカルテを探し出す時間と手間というのは、積み重なればかなりのものとなってくる。クリニックのスタッフがカルテを探している間は患者に対応できないため、患者サービスの質が低下することになる。

 こうしたクリニック側でカルテを探す際に生じていた無駄な手間を「Clipla」であれば一掃してしまえるため、患者にとって付加価値の高いサービスにスタッフが時間を振り向けられるようになる。なお、患者の検索は、氏名だけでなく疾病名、薬剤名、来院日などでも可能で、検索結果には患者ごとのメモも記載されるため、スタッフ間での情報共有が可能になる点も魅力だ。

 その結果、体調の悪い患者の待ち時間短縮につながり、インフルエンザをはじめとした様々な感染症が拡大するリスクを抑えることにもつながることだろう。

薬剤名称で検索をかけた場合に表示される画面

 さらに、医師が「Clipla」に記載した診療や検査や処方の内容が、そのままレセプトコンピューターへと送信される。紙カルテの場合、スタッフが手作業でレセプト入力を行なうため、時間がかかる上にミスが発生することも多いが、電子カルテを導入することにより、会計時の待ち時間を短縮することができるのである。

 そしてスタッフ間での情報共有に関しても、診療から会計までのフローを「Clipla」がつなぐことで、受付や診療室で自身の体調などを何度も繰り返し伝えなければならないといったような、これまでしばしば患者が味わっていた煩わしさを解消することになる。

クラウド電子カルテの真骨頂
API連携による機能拡充で付加価値を高める

 クリニックを運営するにあたっては、電子カルテ以外にも患者の予約、問診記録管理、レセプトコンピューター、経営管理などさまざまなシステムが必要となる。これらをワンパッケージにしたソリューションはあらゆる機能を備えてはいるものの、小さなクリニックには必要ない機能も加わっているため高価であり、なかなか手が出ないのが現状だ。しかも別のシステムと連携させて運用するとなれば、その連携を実現するためには膨大な追加料金が発生してしまう。

 翻って、一般的なビジネスソリューションはクラウドサービスへの移行が徐々に始まっており、それらはAPIによる連携が主流となっている。ある1社が全機能を開発してワンパッケージで提供するものを使うのではなく、複数の企業が開発した個別の機能を、自社の目的に応じて選び取って使うという仕組みだ。

 クラウド電子カルテである「Clipla」もこの手法を取り入れている。すでに株式会社メドレーのオンライン病気事典「MEDLEY」、そしてミーカンパニー株式会社の医療機関データベース「スクエル・データベース」との連携が始まっている。

 昨年2月に連携した「MEDLEY」は、「約300人の協力医師による監修のもと、1400以上の疾患や約2万の医療用医薬品に関する詳細情報を掲載」するオンライン病気事典。協力医師の編纂による恒常的な情報アップデートが強みだ。この「MEDLEY」と「Clipla」を連携させると、医療者が「Clipla」に傷病名を入力することで「MEDLEY」内の該当傷病ページへのリンクが自動的に生成される。医療者はそのページを患者に提示しながら説明をすることで、疾患に対する患者の理解を深めることができ、さらに、必要に応じて該当するページを印刷して患者に手渡し、傷病への理解を深めてもらうことが可能になる。

「Clipla」に傷病名を入力すると、「MEDLEY」の該当傷病ページへのリンクが自動生成される。医療者は該当ページを参照することで、限られた診察時間でも効果的な説明ができる

 一方、昨年3月に連携開始した「スクエル・データベース」は「約42万件にのぼる全国の病院・診療所・歯科医院・調剤薬局・介護事業所の名称、名称(かな)、住所、電話番号などの基本情報の他、診療科目、診療時間、病床数、バリアフリー情報などの最新データ」を擁する一大医療機関データベース。連携することで「Clipla」に医療機関名サジェスト機能を追加できる。具体的には、診療情報提供書(いわゆる紹介状)作成時に、医療機関名の一部を入力するとプルダウン形式で候補が自動表示されるようになるため、紹介状作成時間の短縮、そして誤った医療機関名を記入してしまうといったミスを軽減できる。

 作成した紹介状のデータはデータベースに保存されているため、将来的には、自院からどの医療機関に何人の患者を紹介したのかといった統計データを取得、分析できるようになる予定だ。

紹介状作成時に、医療機関名の一部を入力するとプルダウン形式で候補が自動表示される

 「Clipla」は上記のような他サービスとの連携によって、それぞれのクリニックに必要な機能のみを拡充できる特徴を持つ。これこそクラウド電子カルテの真骨頂と言えるだろう。

(提供:クリニカル・プラットフォーム)

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