前回の記事から引き続き、ソニーのポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-2A」使ってXperiaを本格的なオーディオプレーヤーにする計画を進めます。
PHA-2Aから接続するケーブルとして付属するのは、ソニーのウォークマンに利用できるWM-PORT端子用と、Xperiaなどスマートフォンに利用できるmicroUSB用の2本です。
microUSBを備える「Xperia X Performance」や「Xperia Z5」シリーズであれば、付属のXperia用デジタルケーブルをPHA-2Aに接続して電源を入れると、自動的に認識されてXperiaからアンプを通した音が楽しめます。
しかしながら「Xperia XZ」や「Xperia X Compact」では、接続端子がmicroUSBから両面挿しのUSB Type-Cに変更されたため、当然そのままでは使えません。
これはスマートフォンに限ったことではなく、現在でもコンパクトな充電対応機器の端子はmicroUSBが主流です。徐々にUSB Type-Cへの移行が進んではいますが、USB Type-C搭載機器の充電やPC接続はmicroUSB端子→USB Type-C変換アダプターを利用することでまかなえていました。
PHA-2Aの発売タイミングは2016年10月、Xperiaシリーズに当てはめてみると「Xperia X Performance」から「Xperia XZ」に切り替わるタイミングということで、これは致し方ないことなのかもしれません。
さて、ここでひとつ落とし穴があります。付属のXperia用デジタルケーブルにmicroUSB→USB Type-C変換アダプターを挿すとXperia XZとPHA-2Aは物理的にはつながります。……ですが、Xperiaが認識してくれないという事態があるかもしれません。というのも、わかりにくいポイントですが変換アダプターがUSBホスト(OTG)に対応していないと利用できないのです。
単純にPHA-2A付属のケーブルであれば、接続端子を変換すればいけそうに思えますが、必ず“USBホスト(OTG)対応”と注釈のある変換アダプターを用意しましょう。
ちなみに、microUSBケーブルで接続する場合でも、USBホストケーブル(OTGケーブル)を接続することでXperiaで認識されることも確認しました。こちらの場合はケーブルが長くなるため持ち運びには向きませんが、距離を離して設置したい場合であれば、こういう方法もあります。
市販のmicroUSBケーブルの一部で“充電専用”と書かれているタイプの製品は認識しないという落とし穴もあるので注意が必要です。
ここさえクリアーすれば、改めてType-C端子を搭載するXperia XZやXperia X CompactでもPHA-2Aを接続してデジタルデータを転送し、いい音を楽しめる準備はOKです。
せっかくここまできたついでに、PHA-2Aの性能をフルに発揮させてみましょう。PHA-2Aは一般的なステレオミニプラグに加えて、バランス対応標準プラグの端子を備えています。
本体右側にあるのが3.5mmステレオミニプラグ、左が4.4mmのバランス対応標準プラグです。バランス接続とは、信号のロスを低減してL/Rチャンネルを正相(+)と逆相(-)の出力をもつ2つのアンプで構成することで、信号線がお互いにノイズになってしまうクロストークを大きく抑え、左右がしっかり独立したクリアーな音が楽しめるのが特徴です。
ソニーのハイレゾ対応密閉型インナーイヤーレシーバー「XBA-N3」は、ハウジングとケーブルが着脱できるMMCX端子を採用しているため、好みのケーブルに替えることが可能です。そこで、4.4mmバランス標準プラグを備えたヘッドフォンケーブル「MUC-M12SB1」を用意して挿し替えます。
ケーブルは、KIMBER KABLE社の協力で開発されたという8芯Braid(編み)構造を採用するためなかなかなしっかりとした太さがありますが、線材は予想外に柔らかく取り回しには困りません。
さて、これでXperiaをベースとしたオーディオプレーヤーが完成しました。Xperiaにハイレゾ音源から圧縮音源まで、お気に入りのデジタルオーディオデータを転送してPHA-2AのDACでアナログ変換し、イヤフォンから原音により忠実な高品位なサウンドを楽しめます。
Xperiaにダイレクトにイヤフォンを接続して聴いているよりもセパレーションが良く、もちろん解像感もまるで違います。そこまで肥えていない筆者の耳ですら、聴いている音楽の世界観に浸れます。
どう見ても元々のXperia単体からするとヘビー級の重さなっているため持ち運びにはそれなりの覚悟はいりますが、こうした拡張も楽しみのひとつかもしれません。
バランス出力は320mW+320mWとかなりハイパワーなこともあり、大型のヘッドフォンでも余裕でドライブしてくれます。そうなると、さらにステップアップもしたくなります。……これが“オーディオ沼”の入り口かもしれませんが。
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