強力なグラフィックボード(GPU)を使うのはゲームを快適に楽しむため、という人が大多数だろう。だが今のGPUは数値計算でも絶大な強みを発揮する。この計算力を“仮想通貨”の採掘(マイニング)に応用すると、CPUよりも効率が良いということは数年前から知られている。そこで現行ミドルクラスGPUで、仮想通貨マイニングに適したGPUは何かをちょっと試してみたい。今回は以下のようなハード構成で仮想通貨をマイニングしてみた。グラフィックボードは調達の都合上ASUS製に統一したが、近頃はRadeon RX 480や470の値下がり著しいことを念頭に入れつつ読み進めて頂けると幸いだ。
今回使用したグラフィックボード | |
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ROG STRIX-RX480-O8G-GAMING(Radeon RX 480) | 実売3万4000円前後 |
ROG STRIX-RX470-O4G-GAMING(Radeon RX 470) | 実売価格2万5000円前後 |
ROG STRIX-RX460-O4G-GAMING(Radeon RX 460) | 実売価格1万7000円前後 |
ROG STRIX-GTX1060-O6G-GAMING(GeForce GTX 1060 6GB) | 実売価格3万8000円前後 |
ROG STRIX-GTX1050TI-O4G-GAMING(GeForce GTX 1050 Ti) | 実売価格2万3000円前後 |
グラフィックボード以外の検証環境 | |
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マザーボード | ASRock Z270 GAMING K6(Intel Z270) |
メモリー | Corsair CMU16GX4M2A2666C16R(DDR4-2666 8GB×2) |
インテル | Intel SSDPEKKW010T7X1(NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Corsair RM550(550W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Pro 64ビット版(Anniversary Update) |
Nicehashで仮想通貨をマイニング
仮想通貨のマイニングにはソロマイニングとプールマイニングがあり……といった仮想通貨マイニングの仕組み解説はざっくりと省くが、今回はWindows環境でお手軽にプールマイニングに挑戦できる「Nicehash」というサービスを利用して、現行GPUにおけるマイニングパワー比較を行なってみる。
以下にNicehashを使ったマイニングのやり方を解説するが、実際にマイニングするにあたっては仮想通貨を保存する「オンラインウォレット」に登録し、ビットコインアドレスを得るという作業が必要になる(これも省略)。Nicehashでは複数の仮想通貨のマイニングに対応。以下手順で採掘したいアルゴリズムを選択することで、対応する仮想通貨のマイニングを可能とする。今回は比較的よい収益「Ethereum」と「ZCash」のマイニングを行なって比較した。
下記はRadeon/GeForce環境でNicehashを使い、「ZCash」および「Ethereum」のマイニングを試みて比較した結果。マイニング中は断続的に計算量(ハッシュレート)が表示されるが、その時々で変動する。それぞれ10回のハッシュレートを平均した数値で比較した。それぞれアルゴリズムが違うので、単位が違う点に注意だ。
どちらのやり方でも、RX 480のハッシュレートが突出しており、RX 470とGTX 1060がほぼ同等という序列になっていることがわかる。そして、RX 460やGTX 1050 Tiは安いぶんハッシュレートも低い。今回使ったグラフィックボードではRX 460はRX 480のほぼ半額で購入できるが、ハッシュレートは半分以下に落ちてしまう。
各グラフィックボードの最安価格は、RX 480がASUSの「DUAL-RX480-O4G」で2万3000円前後、RX 470が玄人志向の「RD-RX470-E4GB」で2万800円前後、RX 460がPowerColorの「AXRX 460 2GBD5-DH/OC」で1万200円前後、GTX 1060が玄人志向の「GF-GTX1060-3GB/OC/DF」で2万3000円前後、GTX 1050 Tiが玄人志向の「GF-GTX1050Ti-4GB/OC/SF」で1万5600円前後。もちろん、製品によってスコアーが若干上下するので、今回と同じような結果にはならないが、コスパ的にはややRX 470が優れているといえるだろう。
3万円以下のミドルクラスではRadeonが優秀
今回検証した仮想通貨はたった2つだが、仮想通貨マイニングはアルゴリズムやマイナーがさまざまである。そのため、今回の結果は仮想通貨マイニングのある一側面を切り取ったものにすぎない、という部分は強調しておきたい。Radeonが強いという結論も、PCゲームでこれはRadeon向きだ……と言うのと大して変わらないのだ。
さらに言えば、消費電力に対するハッシュレートなど、何をもってマイニングに最適なGPUとするのか断言するのは少々難しい。だが、比較的安価なRadeonが仮想通貨マイニングでも威力を発揮することがわかったのではなかろうか。日中仕事に行っている間、自宅のPCはずっと電源を落としているという人も、Radeonを入れて効率よく仮想通貨マイニングをすれば、何らかの足しになるかもしれない。特に“現代の杜子春”とまで後輩に言われている当記事のRadeonスキーな担当編集ジサトラ ハッチ氏にこそ、オススメしたいものである。
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