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パナソニックがつくる極上のおうちコーヒーサービス「The Roast」体験会レポート

iPhoneで操作する「スマートコーヒー焙煎機」でつくる極上コーヒーは情熱のカタマリだった

焙煎の楽しさとは?『The Roast』のプロファイル作り

『The Roast』が面白いのは、素人には難しい焙煎を、豆ごとに用意された焙煎プロファイルを利用することで、誰でも美味しく自動焙煎できるようにしたことにある。この焙煎プロファイル作りを担当しているのが、福岡で豆香洞コーヒーを営むオーナー兼焙煎士の後藤 直紀さん。2013年に仏ニースで開催されたコーヒー焙煎の世界大会で世界一に輝いた、紛れもない世界トップクラスの焙煎士だ。

豆香洞コーヒーのオーナーで焙煎士の後藤直紀さん。スマートコーヒー焙煎機の開発に当たっても、焙煎士の目線で多くの注文をしたという。

 福岡のお店は、店舗に喫茶スペースはあるものの、基本的には焙煎したコーヒー豆を一般の方々に販売する焙煎店。このため、お店で飲む特別なテクニックを要する1杯ではなく、毎日自宅で、美味しく飲めるコーヒーを目指して、焙煎しているという。ではそもそも焙煎とはどのような作業なのだろうか。

「コーヒーの生豆というのは、そのままではとても飲めません。それを美味しいコーヒーを抽出できるように加工するのが焙煎です。例えば、生で食べられない食材を調理する、その"調理"にあたります。行程としては焙煎機を使って生の豆の水分を抜いていきます。このときに豆にいろんな化学変化が起きるんです。そして、だんだんと香ばしい香りがしてきて、見慣れたコーヒー豆になります。豆は加熱するだけではだめで、そのままにしていると、豆自身の余熱で焙煎が進んでしまいます。ですから、冷却して味を安定させるまでが焙煎なんです。『The Roast』はこの冷却まで自動でやってくれます」(後藤さん)

焙煎の基本的な流れ。生豆を投入して水分を飛ばしていく。言うと簡単だが、熱量や火加減で味が変わるという。

煎り具合による味の違い。酸味が好きなら浅煎り、苦みが好きなら深煎りが基本。

 焙煎という行程は、ただ、コーヒー豆を煎って水分を抜くだけのようにも見える。しかし、その奥は深い。コーヒー豆は生豆から、浅煎り、そして深煎りへと焙煎が進んでいく。このときの火の入れ方で、酸味と苦みのバランスが刻々と変わっていくという。

「コーヒーって酸味と苦みを楽しむ飲み物だと思うんです。ざっくりいうと、深煎りになると酸味が減り、苦みが増えます。浅煎りは逆です。なので酸味が苦手なら深煎りが好みに合うはずです。味に正解はありませんが、バランスが大事。」(後藤さん)

 後藤さんは、『The Roast』に向けて、浅煎り、中煎り、中深煎り、深煎りの4つから選び、2~3種類の焙煎プロファイルを用意するという。1つのプロファイルを作るのに、集中的に取り組んで5~6時間掛かるという。

「焙煎プロファイルには、(焙煎士だけが知っている)味作りの面白いところ、苦しいところが詰まっています。お客様はその中からストレスだけを除いて、楽しく焙煎してもらえたらと思っています」(後藤さん)

毎月、豆1種類に対して2~3つのプロファイルを用意。焙煎具合によって異なる味が楽しめるようにしている。

 通常、プロが焙煎するときは、専用の計測器で生豆の水分量などを計算し、気温や湿度、過去のデータなどから算定した条件をもとにサンプルを焙煎していく。後藤さんはこれまで2万回以上にわたる焙煎データと、経験を元にベストなプロファイルを作りあげている。これを『The Roast』ではスマートフォンからダウンロードするだけで、自宅で再現できるというわけだ。

 では、自宅で焙煎することにどのようなメリットがあるのだろうか。
 後藤さんは、「焙煎直後から飲み頃までの味の変化が楽しめることだ」と語る。というのも焙煎直後のコーヒー豆は、ガスが含まれており、コーヒー本来の味が出にくい。このためお店でも焙煎後24時間、時間を置いてから販売するという。『The Roast』を使えば普通は焙煎士だけが楽しめるような、焙煎直後のフレッシュなコーヒーも飲める。

「焙煎直後のコーヒーは味や風味はあまりありませんが,フレッシュな香りが強いんです。これが好きな方もいる。そして、数日、豆によっては一週間ぐらいかけて、味や風味がピークを迎えていく。このエイジングによる変化が楽しめます。これって非常に贅沢なコーヒー体験だと思いますよ」(後藤さん)

焙煎したコーヒー豆の鮮度変化。美味しいと感じたところで冷蔵庫などに移すことで、エイジングを穏やかに止められる。

エイジングによる変化により、挽いたときの香りと、コーヒー本来の香りそれぞれのピークが楽しめる。

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