導入事例に見る、医療者にとっての「Clipla(クリプラ)」のメリット
「Clipla(クリプラ)」の利点は単科クリニックでも導入できる“使い勝手とコストの両立”
2016年1月にサービスを開始したクラウド電子カルテ「Clipla(クリプラ)」。ブラウザオンリーで利用でき、マニュアルを読み込む必要がない直感的なインターフェースを備えるなど、これまでの電子カルテとは大きく異なる特徴を持つ「Clipla」は、日本の医療にどう貢献しようとしているのか──6回にわたって探っていきたい。
地域医療のため、そして円錐角膜の患者のためにクリニックを開業
東京ビジョン アイクリニック 阿佐ヶ谷は、JR阿佐ヶ谷駅に直結する駅ビル内に今年2月1日にオープンしたばかりの眼科医院。院長の井手武氏(眼科専門医 医学博士)は、クリニック設立の目的について、「他科のプロと連携しながら地域医療を支えるとともに、円錐角膜(角膜の中央付近の厚みが薄くなり、角膜が円錐状に前方へ突出する病気/同クリニックWebサイトより)の経過観察ができる医療機関をつくりたかったのです」と語る。
円錐角膜は、統計的に2000人に1人が罹患すると言われており、診療には特殊な設備が必要なことから、対応できる医療機関は限られている。駅に直結した場所で開業した理由の1つは、近場に円錐角膜を診療できる医療機関が存在しない遠方の患者にも、なるべくアクセスが容易なようにという井手氏の配慮にある。実際、開業以来同クリニックには、関東一円から同疾患の患者が訪れているという。
開業までの井手氏は、大学病院の関連病院で、眼科専門医として手術等を中心にした治療を続けてきた。その病院では紙のカルテが使われており、井手氏らは電子カルテの導入を模索していたものの、既存の眼科向けの電子カルテは、必要のない機能が多いうえ、非常に高価なため、なかなか手を出せずにいたのである。
「眼科というのは内科や外科などと比べて医師の数も少ないため(1万2938人/2014年 厚生労働省調べ)、眼科専用の電子カルテはどうしても高価格となってしまい、また個々の眼科医の個人的な希望までをそのまま取り入れる傾向にあることからオーバースペックになりがちでした」と、井手氏は言う。
そうした経験から東京ビジョン アイクリニック 阿佐ヶ谷を開業するに当たっては、当初から電子カルテを導入するとしたうえで、あらためて求める要件や機能などを整理していった。その際に井手氏が特に着目したのが、電子カルテの最も本質的な目的である「手間の再利用」であった。
「電子カルテの要は、1つの手間(処理)を複数の人間が共有することで、同じ内容の入力が不要といった手間の再利用にあると考えました。そして共有できるからこそ病院全体としてのコストを下げられるわけですから、電子カルテの入力に必要となる人件費と、手間の再利用によるコスト削減効果とのバランスを考えながら電子カルテを選定するようにしたのです」(井手氏)
多くの診療科の意見を取り入れて進化するサービスだと直感
クリニック開業を目指して、複数の電子カルテを比較していた井手氏がある日出会ったのが、「Clipla(クリプラ)」だった。眼科専用の電子カルテシステムと違い、様々な診療科の医師等の意見を取り入れてつくられた「Clipla」を見て、井手氏は自身が求めるシステムに近い思想のもと開発されていると直感した。
「数多くの診療科の意見が反映されているということは、診療科にかかわらず共通した新機能を加えるなど、これから先も様々な意見を受け入れながら進化を続けることができるサービスなのだと考えました」と、井手氏は振り返る。
また、クラウドサービスであることも、同氏にとっては欠かせない要素であった。初期費用を抑えて一律の課金モデルが採用できるのに加え、将来的には遠隔医療も視野に入れているからである。
「他のクラウド版の電子カルテサービスも検討しましたが、眼科向けのAPIや、眼科用の入力項目など、ベンダーと一緒に開発したいという私からの声がけに反応してくれたのは、クリニカル・プラットフォームだけでした」(井手氏)
こうして「Clipla」の採用を正式に決定した井手氏は、電子カルテに入力するスタッフの手間を少しでも減らすべく、より動きが自然になるようクリニカル・プラットフォームの開発担当に適宜フィードバックを行った。
さまざまな診療科に対応できる「Cliplaエコシステム」の構築を目指して
まだ日は浅いものの、井手氏はもちろんのこと、すべてのクリニックのスタッフは既に不自由なく「Clipla」を業務で活用しているという。
「使い方を直感的に覚えることができるので、わずか数日でスタッフも自在に使いこなせるようになりました」と井手氏は笑顔を見せる。
そしてこれまで実際に使ってみた結果、いま井手氏は「Clipla」に対しさらなる期待感や満足度を抱いている。
「例えば汎用的な電子カルテシステムのプラットフォームとして「Clipla」が存在し、各診療科のコミュニティーに参加している開発ベンダーが、それぞれの科ごとのニーズを反映した機能を加えていくといったように、「Cliplaエコシステム」のようなものが構成されるようになるだろうと期待しています。そんな次のステップへと「Clipla」を進化させるためにも、引き続き現場の声をフィードバックし、サービス開発のための協力を惜しまないつもりです」と井手氏は力強く語った。
(提供:クリニカル・プラットフォーム)
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