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ファーウェイ呉氏に聞く、「日本のSIMフリー市場は一気に加速」「iPhoneのFelica搭載はAndroidメーカーに脅威」

2017年03月07日 18時00分更新

 MWC 2017でファーウェイは大きな注目を集めた。サムスンからフラッグシップの発表がない中、同社が発表した「HUAWEI P10」「HUAWEI P10 Plus」は来場者の関心を引いた。ファーウェイはすでにスマホの世界でNo.3の地位を築き、サムスンとアップルの2極状態を切り崩しにかかる。

 日本で端末部門を統括する、ファーウェイ デバイスカンパニー 日韓リージョンプレジデントの呉波(Oliver Wu)氏に、MWCの会場で話を聞いた。

国内での発表会でもおなじみの呉氏に話を聞いた

日本での目標は「生き残り」
そのためにユーザー視点での製品投入や価格設定を行なう

 日本市場でのファーウェイは、SIMフリー端末市場の拡大を追い風に成長してきた。「BCNのレポートでHuaweiはSIMフリー市場の売上でトップとなった。投入した製品がミドルクラスからハイエンドだった結果だ」と語る。今回最新機種が発表されたPシリーズについては、「2015年にP8 liteを投入して好意的な評価をいただいた。2016年にはその後継としてP9 liteを発売した。2~3万円の価格帯の後継という位置付けだ」と流れを説明する。

 日本ではさまざまな価格帯の製品を展開しており、現行のフラグシップであるHUAWEI P9は5万円前後の価格帯になる。「P9はユーザーの評価が良く、いい結果を出せた」と呉氏、この価格帯のシリーズは今後も強化していくという。となると、今回発表となったP10、P10 Plusの日本市場展開に期待したくなるが、これについてはあくまで「可能性はある」と述べるにとどめた。なお、グローバルではP10/P10 Plusはファッションやデザインを重視するユーザーをターゲットとしているとのことだ。

MWCで公開されたHUAWEI P10 Plus。画面サイズのみならず、カメラや防水対応など性能面ではP10よりさらに上だ

 日本での優先課題としてきたブランディングについては、「SIMフリー市場でファーウェイの存在感が高まっていると言われるが、これは我々がブランディング活動を強化した結果。小さな一歩を踏み出すことができたと思っている。軌道に乗ることができたとは思うが、課題も多い」と述べた。ブランディングは今後3年にわたって継続して取り組んでいくとのことだ。

 呉氏は「日本での目標は“生き残り”」と常々語っている。製品でもブランディングでも出発点は消費者のニーズ。「ファーウェイの製品が技術的に先進的で、高品質であり、ユーザーの需要を満たすことができるという点を伝えていきたい」とする。

 「生き残りが戦略なので、当然価格設定も利益を追求したものではない。微々たる利益から効果的なブランディング活動を展開する」とのことだ。具体的には、製品のエンドユーザーと直接つながるような活動を強化していきたいとした。例として、先に開設した大阪のカスタマーエクスペリエンスセンターで、多くのユーザーが「HUAWEI nova」を手にとった写真をツイートしてくれたと報告した。

上位2社に対する強味はネットワークやSoCの開発力
消費者のニーズを理解してそれに応じることが必要

 グローバルでの戦いについては、「アップル、サムスン、ともにそれぞれの良さ、得意分野があり、そこで力を伸ばしている」と、呉氏はライバルに敬意を表した。それに対抗するファーウェイの強みについては、「1つ目は端末のほかにネットワーク、チップセットも開発する唯一の会社であること。2つ目はファーウェイの端末は消費者のニーズを出発点としていること。この理念は、営業・販売から研究開発まで、上下左右に浸透している核心的なコアとなる考え方だ」という。

 そのアップルがiPhoneで実現したFeliCa対応については、「アップルは日本市場の消費者のニーズを理解して、それに応じた。メーカー各社はアップルから学ぶことができる」とした一方で、「Androidメーカーにとってはシェア縮小の原因になる可能性がある」と警戒した。

 自社製品がこれまで成長してきた要因については「チップセットなどにおける技術的優位性と製品の革新」「品質」「ユーザー体験」の3つを挙げる。2つ目の品質については「一度ファーウェイの製品を使ったことがある人が他のメーカーの製品を使うと、操作感などで違和感を感じるようだ」と胸を張る。ユーザー体験についても、「Androidスマートフォンの中で、12ヵ月、18ヵ月と使えば使うほど操作がスムーズになるというユーザー体験が得られるのはファーウェイのみ」と語る。

 勢いづいているものの、グローバルにおけるファーウェイのデバイス事業は2016年の社内目標に達しなかったという報道がある。これについて聞いたが、「2016年の販売台数は前年比35%の伸びとなった。グローバルの平均は0.6%であり、我々はこれを大きく上回っている。トップ3でもファーウェイの成長は残り2社を超えている」と呉氏はその成長を強調した。

 日本では今後、ハードウェア(デザイン)とソフトウェアの2つでユーザーを引きつけるべく計画を練る。「究極のソフトウェアを使う。Mate 9はiPhoneの操作性を上回っている」と呉氏、kakaku.comのデータで満足度No.1に輝いたことなどを紹介した。「小さい積み重ねを通じて最終的にユーザーの満足度を高めていく」と言う。

 狙う市場は今後もSIMフリーが中心となりそうだ。

 「この3年間、SIMフリー市場は倍で成長を続けており、2017年はさらに成長すると見ている」とし、今年は3倍の成長になると見込んでいるという。「今年は一気に加速の年になる。参入企業も増えているし、メディアの注目も高まっている。消費者もSNSで取り上げることが増えている」と言う。

 「世界で見ると、日本は中国、米国に続く重要な市場。日本国内のスマートフォン市場は年間200億ドルと言われる巨大な市場だ。ファーウェイは2017年も継続してスピード感のある成長を継続していきたい。日本における投資を今後も拡大する」と意気込んだ。


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