ラインナップで比較してみたり、OCをしてみたり
ここからはRyzenだけでの比較をしていこう。まず価格は先の表のように、Ryzen 7 1800Xは5万9800円、Ryzen 7 1700Xは4万6800円、Ryzen 7 1700は3万8800円。
CINEBENCH R15の結果からすると、価格通りの差が生じており、IPC性能重点であれば、何も考えずにRyzen 7 1800Xが無難だ。
Ryzenシリーズはすべて倍率フリーであり、OC前提であれば、Ryzen 7 1700も狙い目になるが、RyzenシリーズのX付きには、XFRが備わっている、冷却環境によっては、XFRに任せるのもアリ。型番末尾のXはExtended Frequency Range(XFR)対応を示している。
ただしXFRについては、今回のチェック環境では、XFRらしい挙動が確認できておらず、UEFIにもXFRに関する項目はなく、そもそも有効化されているのかもわからない、分岐条件も発表されていないということで、現時点だとXFR前提の運用は様子見がいいだろう。
また今回のレビュワーキットには、「Ryzen Master」なるアプリケーションのベータ版が同梱されていた。AMD謹製のOCツールで、いずれ配信されるものだと思われる。
ベータ版段階だとフルマニュアルのOCツールであり、マザーボードメーカー各社が用意するお手軽OCツールのほうが楽。ともあれ、Ryzen Masterベータ版でOCしたCINEBENCH R15のスコアが以下である。
それぞれ設定されたブーストクロックまでは、すんなり上昇した。それ以上となると急にシビアになり、今回のチェック環境では厳しく感じた(及び時間的な問題)が、Ryzen 7 1700は4.0GHzまではあっさりと行けたため掲載している。
以下は簡易的に温度をチェックした表だ。CPUクーラーはnoctua「NH-U12S SE-AM4」、CPUグリスは付属のnoctua「NT-H1」、温度確認はHWiNFO64 v5.44と、クロスチェック用にマザーボード上の温度計を使用した。室温は22~24度。OCはブーストクロックの値まで上昇させた状況の温度を採用した。
ベンチ中の温度 | ||||
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製品モデル | Ryzen 7 1800X | Ryzen 7 1700X | Ryzen 7 1700 | |
アイドル | 52度 | 43度 | 31度 | |
CINEBENCH R15 | 75度 | 65度 | 46度 | |
CINEBENCH R15(OC) | 88度 | 79度 | 64度 |
※ファンの回転数は1800RPMに固定
CINEBENCH R15以外では3DMARK v2.2.3509 Fire Strikeもチェックしている。Physics testはCPUが影響するためだ。
またワットチェッカーを用いたTDPも念のためテストしたので、グラフを見てみよう。環境は先ページの通りだ。
動画はアスキーチャンネルでアップロードしている「大型ヘリカル装置LHD潜入映像:核融合炉の炉に飛び込んできた! 【4K映像】」を使用。4Kソースで約20分となにかとチェックに都合のいい動画である。
なお、FX-8370の消費電力計測環境は、ASUS CROSSHAIR V FORMULA、ASUS ROG STRIX-RX480-O8G-GAMING、Crucial BX200、DDR 3 1866 4GB×2、簡易間接水冷ユニット。
より予算を抑えた自作PCのチャンス到来
結論としては、AMDの発表通りの性能を確認できた。価格も競合であるインテルよりも安く高性能であり、今後の自作シーンが楽しみになってくる。ベンチのスコアだけでなく、チェック中のOSのレスポンス、価格からするとRyzen 7 1700が人気になりそうな気配だ。
ただ販売店および物流系からの情報によると、マザーボードの供給が間に合っておらず、Ryzenは潤沢でも、マザーボードが足りない状況が、数週間は続きそうだ。
少し先にPCを組む予定であれば、値上がり傾向にあるDDR4メモリーやストレージをそろえつつ、周辺情報を得ておくといいだろう。もちろん、ASCIIではモリモリとRyzenの情報をお送りするので、定期的にチェックしてほしい。
※お詫びと訂正:記事初出時にRyzen 7 1700のCINEBENCH R15ベンチ中の温度が76度と誤って表記しておりました。正しくは46度です。また、一部表記の誤りもありました。お詫びして、訂正させて頂きます。
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