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3ヵ月経つだけで何かが変化、日本の匠の技を守り、常に進化続ける「富士通島根工場」を見た

2017年02月26日 00時00分更新

ロボットやIoTのセンシング技術も積極的に活用

 ロボットの導入にも積極的だ。例えばポートリプリケーターの製造では、人からロボットへの製造に移行している。ロボットは第1世代と第2世代があり、第1世代では2種類のネジ締めとゴム脚の貼り付けという簡単な作業だけだったが、第2世代では板金の組み付けや基板のハメコミ、カバーの勘合など複雑な力加減が必要になる作業がこなせ、ポートリプリケーターの組み立てに必要な人員を1名に減らすことができた。

複雑な力加減を制御できる、第2世代のロボット。人が部品をセットするだけでポートリプリケーターを組み立てる。

工場内を自走しているロボット。

 出荷前の検査では、IoTのセンシング技術を活用。不具合が見つかった製品は修理工程に回されるが、IoTゲートウェイとビーコンを導入し、修理工程内にある製品の所在やステータスをピンポイントで把握できるようになった。修理する製品の優先度を調整することができ、修理が必要な製品の台数や所要時間なども分かる。修理自体の効率化に加えて、トラックに載せて当日出荷しなければならない製品を優先して修理することもできるようになっている。

出荷前の製品の修理状況が把握でき、出荷を急ぐ製品を先に修理するなど、優先度の調整も可能になっている。

基板も自社で製造

 島根工場では組み立てだけでなく、基板も製造している。

 基本的な工程としては、プリント基板にハンダを印刷し、そこに部品を置き、高温の炉で焼くというのが基本だ。最終的な検査には人の目が入るが、自動化が進んでいる。工程ごとの検査で品質を確保する点、ロボットを利用した無人検査の導入など、パソコン本体の製造に共通した考え方でラインを構成していると感じる面もあった。

基板の製造工程1。プリント基板にハンダを印刷する。

基板の製造工程2。実装機で基板に部品を実装する。

基板の製造工程3。その上で高温の炉でハンダを溶かしメインボードができる

基板製造のフロアーにはごみなどの付着を防ぐために特殊な床を踏んで入る。

基板を製造するフロアーのレイアウト図。10ラインが稼働している。

工程ごとの検査で品質を確保する。ここでもシミュレーションを活用。ロボットによる検査を導入しようと思うと、例えばロボットが基板を持つ部分に部品を置かないといったルール決めも必要であり、設計段階での連携が重要になるそうだ。

小ロットで多品種を製造するために、基板にQRコードを印字し取り違えをなくすための工夫や、部品の共通化や基板サイズの種類を削減するといったことが必要になる。

 以下、実際に基板ができあがるまでの工程を順に見ていく。

●基板にハンダを印刷する工程

メタルマスクを利用して適切な位置にハンダを印刷する

パーツなどを付ける前の基板

ハンダ印刷機

ハンダ検査機

ハンダにはいくつかの種類がある。自販機のような機器にストックされており、そこから補充する。

●基板に部品を実装する工程

部品を取り付けるための汎用マウンター。テープの中に部品が入っており、これを高速に基板に置いていく。

部品がきちんと実装されているかどうかを画像処理で検査するための機械

汎用マウンターで部品を装着しているところ。

高速マウンター。テープを交換しているところ。部品は大小さまざまある。

●基板を炉に通したあと、検査する工程

リフロー炉。基板を温め、はんだ付けするための機器。ハンダは217~220℃ぐらいで溶けるため、220~270℃まで温める。

基板のハンダ付けの状態を画像処理で自動で検査する。

できあがった基板を自動で検査するため、ロボットが活用されている。

2台のロボットがせわしなく動く

できあがった基板

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