横浜市内のベンチャー、スタートアップ企業が参加した“第4回 横浜ベンチャーピッチ”が2017年2月14日にパシフィコ横浜の会議場で開催された。数年後に横浜を代表する企業に育つ、そんな成長発展を目指すベンチャーが、事業拡大の機会を求めて参加している。今回のテーマはAI、ロボティクスに関連する企業5社が登壇して、集まった大手企業やベンチャーキャピタリスト、地方自治体に自社サービスをアピールした。
実装の手軽さが魅力の人工知能
SOINNは汎用型人工知能の『人工脳 SOINN(ソイン)』技術を活用して、さまざまなソリューションに展開して提供しようとしている東工大発のベンチャー企業だ。PC1台でも動かすことができるほど低負荷、低価格での実装が最大の特徴だ。
たとえば工場内で大量に流れてくる部品を目視で検品するなどリアルタイムでの単純な画像処理にソインのソリューションを導入して、サービス開発を行なうなどが可能。顧客の課題、所有するシステムにどう人工知能を活用して解決するかをカスタマイズして提供する。実装については早くて4ヵ月から半年でできるという。
産業用ロボにIoTとAIを導入
ダブル技研はファクトリーオートメーション化を提案し、ロボットの手と眼を開発、販売する企業だ。大学と共同開発、実験なども行なっており、事業の応用で福祉機器の領域にも参入を狙っている。可動域などを柔軟にカスタマイズでき汎用的に使えるマルチロボットハンド『D-Hand』はひとつのモーターで手をとじたり、つかんだり、ひとつのアクチュエーターで制御動作するのが特徴だ。
またロボットの眼となる『D-Vision』は、距離センサーを活用した3次元のばら積み対応のピッキング技術。赤外線が戻ってくる時間で距離情報を得る方式を採用しており、照明にほとんど影響されないので、真っ暗な場所や外でも利用できる。
ロボットの組み込み部品の設計から量産まで対応
アサイ・エンジニアリングはタミヤ、京商というホビー領域でキャリアを積んだ、浅井伸一氏が代表を務める注目のロボットベンチャー企業だ。ロボットの中から外までオールインワンの開発ネットワークをもち、サーボモーターなども既製品ではなく部品から開発し、工場での量産までを請け負うメーカーだ。企画、開発、生産まで担当するため、短納期でのリリースが可能となっている。
最新作となる踊る卓上ロボット『プリメイドAI』はDMM.make ROBOTSで販売するまで、企画からリリースまで1ヵ月しかかからなかったというから驚きだ。ラジコンのホビー領域からのロボットの開発へ、ホビー文化を創造するメーカーを目指す。
複合現実“MR”のボードゲーム
ミニロボットとスマホアプリによる戦略ボードゲームを開発しているのがハードウェアスタートアップ企業のMIRA(ミラ)だ。回路、基板、組込、アプリ、ウェブまで設計するトイロボットプラットフォーム。リアルタイム戦略ボードゲーム『CODE HORIZON』を販売している。自律行動AI、高精度位置センサー、ブルートゥース搭載マイコンロボットを利用する。
ゲームではロボットをテーブル上に戦略的に配置、敵の情報を収集しながら、相手の動きを予測しつつ、敵を攻撃する。見えないドットのパターンが印字されたマップ上から、ロボットが情報を読み取って展開する仕組みだ。同社はこのプラットフォームをキャラクターコンテンツなど有名なIPをもつ企業に活用してもらえるようマッチングに期待していた。
汎用CPU、GPUを超える廉価版FPGAを実現
FPGAに特化して製品開発、サービスの提供を行なうテクノロジー企業がベクトロジーだ。FPGAとはField Programmable Gate Arrayの略で、プログラミングで設計再構築が可能な半導体のこと。FPGAのエキスパートな開発者で構成され、企業が必要な用途に対して、FPGAの製品開発や導入を推し進める。
汎用のCPUやGPUに比べて、用途により適した高速処理を実現できる。とくに圧倒的な計算能力が必要なシミュレーションや今後増えていく人工知能の導入に向けて、FPGAの実装で解決しようとしている同社の示した事例では、囲碁専用の人工知能『AlphaGo』はGPU176個、CPU1202個で構成されているというが、同社のFPGAであれば約100個で同様のパフォーマンスを期待できるという。
■関連サイト
横浜ベンチャーピッチ
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