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Pepperが本当に働き始めたいま、人類に残された仕事とは

2017年02月10日 10時00分更新

 2014年に登場後、人型ロボットの代名詞的存在になってきた「Pepper」。ソフトバンクが2月8日・9日のに開催した「Pepper World 2017」では、Pepperが本格的に働き始めた事例が続々と紹介されました。

単なる客寄せではなく、業務を担う存在に

 いまやショッピングモールなどにPepperが配置された光景は、珍しいものではありません。多くの店舗がPepperを導入していけば「客寄せ」としての価値はどんどん薄れていくことになります。

 その代わり、今後増えていきそうなのが本格的な業務への導入です。その先行事例となった回転寿司チェーン「はま寿司」の場合、実験中の3つの店舗において、受付や案内の業務をPepperが担当しています。

来店客は全員、Pepperに人数や座席タイプを入力し、プリンターから番号札を受け取る。順番待ちの番号を読み上げるのもPepperの仕事だ。

 たしかにPepperは、寿司を握ったり皿を片付けたりすることはできません。自走して注文を取りに行くことはできそうですが、子供が倒すと危ないという理由から定位置に固定されています。

 しかしはま寿司の場合、既存の座席管理システムにPepperを連携させたことで、役に立つ存在になりました。Pepperだけでアプリを作り込むのではなく、他の業務システムと連携することが鍵なのです。

 2月7日の記者発表会では、Pepperがカフェ店員を務めるデモがありました。単に注文を取るだけでなく、決済端末を使ったカード決済や、身分証を読み取って会員登録ができることを示しています

他のシステムと連携してカード決済や会員登録をこなすPepper。

身分証を置くとPepperが読み取ってくれる。

 正直なところPepperの受け答えは遅く、てきぱきと注文をさばくベテラン店員に比べるとイライラしそうです。しかし会員登録や新メニューをすすめる場合には、人間よりロボットのほうが適しているといいます。

 たしかに店員さんに「ポイントカードをお作りしますか?」と提案されても、たいていは遠慮しがちです。しかしPepperが相手だと、心理的な負荷が少なく、あっさり承諾する人が増えるというのです。

 それでいてPepperは、コンビニの端末や券売機といった完全な「端末」とも違います。人間と機械の中間という、ロボットならではの「距離感」を理解することが効果的な活用につながるというわけです。

「Pepperマスター」が活躍する時代が来そう

 こうしたPepperの普及から、「ロボットが人間の仕事を奪っていく」と感じる人もいるでしょう。しかし現実には、そこまで急激な変化はなさそうです。

 はま寿司の場合、Pepper導入の効果は人件費を減らせるほどではない、としています。それでも従業員が本来の仕事に集中できるようになることで、全体として無駄が減り、収益向上につながると評価しています。

 すでに厨房では寿司ロボットが活躍しているように、ロボットが得意なことはロボットに任せ、人間は人間にしかできない仕事に集中する。これは人類として正しい進化の方向性といえます。

 さらにPepperの普及を後押ししそうなアプリとして、「Pepper Maker」も登場しました。Pepper本体を持っていない人でも、Webブラウザー上でPepperを動かして「作品」を作れるようになります。

あらかじめ用意された動きや音を組み合わせることで、プログラミングなしにPepperを動かせる。

 当初のターゲットは、小学校でのプログラミングの授業など、教育用途とされています。しかしこれをビジネスに応用すると、専門の技術者に頼ることなく、現場担当者の判断でPepperを動かせるようになるのは魅力的です。

Pepperの開発ツール「コレグラフ」よりも操作は簡単。ブラウザー上だけでなくPepperの実機で動かすことも可能。

 今後の機能強化では、本格的な条件分岐やループにも対応していくとのこと。決まった時間にタイムセールの案内をさせたり、気温に応じておすすめメニューを提案させたり、いろいろなアイデアが思い浮かびます。

 こうした進化により、Pepperに仕事を奪われるケースが増えていくことは間違いないでしょう。その一方で、Pepperを思い通りにあやつる、Pepperマスターとでも呼ぶべき付加価値の高い仕事が生まれようとしています。

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