週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

B2Cベンチャーサービス、チャットで変わるユーザー体験

2017年02月16日 07時00分更新

 トーマツベンチャーサポートの納富隼平(ノウトミジュンペイ)です。B2Cのベンチャーのいまを紹介する本連載第2回は“B2Cベンチャー×チャット”についてです。チャットUIのサービスがなんで増えているのかを考えたいと思います。
 なお、本記事における意見は筆者の私見であり、筆者が所属するトーマツ ベンチャーサポート株式会社およびその関係会社の公式見解ではないことをお断りさせて頂きます。

存在感を増すチャットUI

 チャットUIについては、いまさら説明は不要でしょう。LINEやFacebook Messengerのようなユーザーインターフェース(UI)のことです。チャットUIを採用するサービスは増えていますが、B2C、一般ユーザーにとってなぜチャットUIは利便性が高いのでしょうか。以下、3つの要因があると考えます。

1.スマートフォンの普及
 40歳以下の方なら今やほとんどが使用しているスマホ。PCを開けずともアプリやブラウザーで色々なサービスが利用可能です。したがって、ちょっとした空き時間や電車など、時間や場所を選ばずに使用できます。

 そうすると、流れをいちいち確認しなければいけなかったり、返信ボタンを押して「お疲れ様です……」なんて書き出さなければいけないメールや、一定時間以内に情報を入力しないとエラーになってしまうウェブのフォームよりは、ちょっとずつでも話を進められるチャットの方がスマホとの相性はよくなります。チャットなら上にスクロールしていけばすぐに流れがわかるのもメールより優れている点です。

2.スマホでも長文入力をしている
 30代以上の方ですと、スマホでの入力は面倒なのでPCをあけてしまうという方もいるかもしれませんが(筆者は30歳ですが、ちょっと長い文章は必ずPCから入力します)、今の大学生くらいまでの方ですとPCはほとんど触ったことなく、多少の長文ならスマホでの入力のほうがいい、という方も少なくないようです。そもそもとして、PCよりスマホを入力デバイスとして好んでいる方も多くなってきています。

3.チャットボットの登場
 2016年ごろからチャットボット(AIやアルゴリズムが回答してくれるチャット)が話題になっています。人工知能やアルゴリズムの技術が進展することにより、ユーザーが投稿したのと同時に回答が返ってくるようなシステム構築が可能になりました。回答が早すぎて逆に不自然だと言って、サービスによっては回答時間をわざと遅らせているサービスもあるくらいです。

 ボットは、メールではUI的になかなか実装しにくいので、チャットUIでこそ活きるシステムといえるでしょう。折角ユーザーが質問してきてくれたのに、回答に待ってもらっている間にユーザーが離脱してしまった、なんてことがないようにも、一瞬で回答してくれるチャットボットは魅力的です。この仕組みを活かすためにチャットUIのサービスが増えている、という一面もあるでしょう。

B2Cのさまざまなサービスでチャットが登場

 スマホ(≒30代くらいまでの若い方)と相性がいいため、スマホアプリでチャット形式をとるアプリが続々と登場しています。詳しくは下表をご覧頂きたいのですが、ライフスタイルに関連する衣・食・住の分野や、語学やスポーツ分野からも登場しています。

 また、特定のサービスがチャット形式になっているだけでなく、チャットボットと既存のメディアを組み合わせるといった事例も登場してきています。例えば、ラジオ番組とLINEを組み合わせたチャットボットが挙げられます。一見、ラジオというとチャットとは関係なさそうですが、チャットの仕組みを上手く使うことでラジオとしては新しいユーザー接点を持つことが可能となりました。

(関連リンク)
カノエラナのオールナイトニッポンモバイル

 最後に、チャットUIを採用しているサービスを、主に私が責任者を務めたイベントに登壇していただいたベンチャー企業から紹介させていただきます。

チャットUIを採用するB2Cベンチャーサービス

ペコッター
 食(フード)。各人の好みに応じた飲食店を検索できる。数分で何件も回答が返ってくる。

STYLER
 衣(ファッション)。好みに応じたファッションスタイルを検索できる。投稿したユーザだけでなく、他のユーザの閲覧も多い。

ietty
 オンライン接客型不動産サービス。

HiNative
 ちょっとした英語表現をチャットでネイティブスピーカーに質問できる。

JOBKUL
 転職相談チャットアプリ。コンシェルジュに転職相談が可能。

PLAYER!
 スポーツ観戦アプリ。リアルタイムにユーザ同士でコミュニケーションをとる。

ChatCast
 チャット形式で会話をし、そのログをメディア的に公開。

OK SKY
 ウェブ接客ソリューション。コールセンターなどの代替としても使われている。

ConciergeU
 チャットボット作成サービス。ファッションショーやラジオともコラボしている。

 チャットについてはいかがでしたでしょうか。ご意見、ご感想、こんな話をしてほしいなどありましたら、twitterなどに投稿してみてください(私の記事に関する投稿は、可能な限り全部みてます!)。

■関連サイト

納富隼平(トーマツベンチャーサポート)

著者近影 納富隼平

2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人で大手電機メーカーを中心に会計監査に携わった後、2014年にトーマツ ベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に携わる。毎週開催早朝ピッチイベント"Morning Pitch"、BtoCベンチャープレゼンイベント"sprout"、ベンチャーとベンチャーで働きたい人のマッチングプラットフォーム"faces"を責任者として運営。得意分野はファッションを含む衣食住等のライフスタイル関連のBtoCサービス。

●お知らせ
 B2Cベンチャーだけのプレゼンイベントsprout(スプラウト)を2月28日(予定)に開催します。sproutでは新進気鋭のベンチャー企業が20秒×10枚というスピーディーなプレゼンを繰り広げます。お酒も片手に最新のサービスを楽しみに来てください。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事