総務省は昨年開催した「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の取りまとめを踏まえて改正案が公開されていた、SIMロック解除や端末購入補助の適正化に関するガイドラインについて、パブリックコメントを踏まえて、正式に改正が行なわれた。本記事ではSIMロック解除の変更内容について紹介する。
まずSIMロック解除の現状だが、端末の一括購入時/割賦購入時ともに、購入から180日程度を経過後でないとSIMロック解除ができない。これに対して改正案では、一括購入時は2017年12月以降は支払いの確認ができた時点ですぐに、割賦購入時は2017年8月以降は「端末代金の支払が少なくとも1回確認できる期間を考慮」して、100日程度にまで短縮される(2015年5月以降に発売の端末で適用)。なお、一括購入時での即時のSIMロック解除については、「継続利用を条件として購入代金の割引を行う場合を除く」とされている。
この部分にはキャリアからもコメントが出されている。まず、KDDIは「一括購入での支払を確認してSIMロック解除をするためのシステム開発が必要。開発規模が非常に大きくなるため、12月1日には間に合わない」としており、但し書きによって、3ヵ月を超えない期間での猶予が認められた。割賦払いでの「100日程度」という期間についても、“程度”の範囲を求める意見が提出され、これに対して総務省は「100日から更に10日を超えることはないと考える」と回答した。
また、キャリアが販売する端末が、そのキャリアのネットワークを用いてサービスを提供するMVNOのSIMでの利用を制限するSIMロックについては、「必要最低限の処置には該当しない」として認められなくなり、2017年8月以降に発売される端末で適用される。たとえば、au VoLTE端末をau MVNO(mineoなど)のSIMで利用するためにはSIMロック解除が必要だが、このようなSIMロックは不可能になることを意味する。
さらに、MVNOのSIMでは、GPSやテザリングといった端末の一部機能に問題が生じる点について、一般社団法人テレコムサービス協会や個人などから問題視する意見が複数提出されている。これに対して総務省は「端末に設定されたSIMロック以外の機能制限についても、事業者はSIMロックが解除された場合は併せて解除できるよう努めることが適当である」という従来からの原則を示しつつ、「依然残っている機能制限も解消されるよう新ガイドラインに沿った事業者の取組を促してまいりたい」とクギを刺す回答が行なわれている。
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