Reproが手がけるグロースハックジャーナルより、海外の著名ユニコーン企業が行なっているグロースハックの手法記事をまとめた集中連載をお届けします。
これからグロースハックを始める人から「ダッシュボードでウォッチすべき指標はなんでしょう?」という質問をしばしば受けます。以前我々のテックブログ”Pinterestはどうやって持続的なグロースを行なっているか”でどんな指標を重要視しているかというお話をしましたが、今回はその指標を決めた背景と、Pinterestのグロースチームがダッシュボードで日々どんな指標をウォッチしているかをお話ししたいと思います。
ダッシュボードは我々が定めたユーザーのグロースモデルを元に作られています。最初にMAU(Monthly Active Userの略。月間アクティブユーザー数のこと)を見て、そのあとはユーザーライフサイクルのファネルに従って見ます。最初に獲得に関する指標、次にアプリの利用開始に関する指標、その次にエンゲージメントに関する指標、最後に休眠ユーザーの復活に関する指標という具合です。
MAUに関する指標
1.ゴールまでの進捗状況
現状のMAUと、四半期ごとに目標としているMAUにどれくらい近づいているかを見ています。
2.MAUの予測
前年度の同期間の成長率から将来的なMAUを推定しています。成長率が季節変動によるものなのかを確かめるために見ている指標です。
3.プラットフォームごとのMAU(iOS版/Android版など)
4.性別ごとのMAU
5.各国別のMAU
国ごとのMAUの合計を1つの図で見るのは大変なので、いくつかの国をまとめて表示しています。表示分類は「アメリカ」「グループ1」「グループ2」「グループ3」「それ以外の国」としており、グループはインターネット人口やネット広告の市場規模などによって分けています。
6.MAUの内訳
MAUに関わる指標の変化を見ることで、MAUの成長に最も寄与しているのはどの要素かを知ることができます。新規サインアップしたユーザー数、休眠状態から復活したユーザー数、離脱した既存のユーザー数、新規で入ってきたものの当月中に離脱したユーザー数に分けて見ています。
獲得に関する指標
7.総サインアップ数
8.プラットフォームごとのサインアップ数(iOS版/Android版など)
9.流入元ごとのサインアップ数
10.招待メール数
11.招待メールを送ったユーザ数
12.招待メール経由のサインアップ数
アクティブユーザーになるまでの指標
13.総合的な初期のアクティブ率
サインアップ後1週間以内に1回以上アプリを使ったユーザー数を「1d7s」という指標で表しています。これを利用して初期のアクティブ率を「1d7s÷新規サインアップ数」として測っています。これはつまり、新規サインアップ後1週間以内に再びPinterestを使っているユーザーの割合ということです。
14.プラットフォームごとのアクティブ率(iOS版/Android版など)
13の指標をプラットフォームごとに見たものです。実際プラットフォームごとに初期のアクティブ率がまったく違ったりします。
15.流入元ごとの初期のアクティブ率
16.性別ごとの初期のアクティブ率
17.「1rc7」の割合
この指標は「1d7s÷新規サインアップ数」と似ていますが、新規サインアップをしてから1週間以内にrepin(リピン)かpin(ピン)(repin(リピン)、pin(ピン)はPinterestの機能)を行なったユーザーの割合です。この指標をどれくらい多くのユーザーが高くエンゲージメントするようにアクティベートできたかを測る、先行指標として使っています。
18.プラットフォームごとの「1rc7」ユーザーの数(iOS版/Android版など)
19.プラットフォームごとの「1rc7」ユーザーの割合(iOS版/Android版など)
20.プラットフォームごとの「エンゲージメントファネル」通過ユーザーの数
この指標でアプリのコア機能を使い続けているユーザーの割合を新規サインアップから1週間ごと、28~35日間後まで計測し続けています。特に我々はサインアップから35日後のユーザーを見ています。サインアップから1ヶ月間で何割がMAUに入るか、WARC(週1回はrepinかpinしているアクティブユーザー)、WAC(weekly active clicker:週1回はpinしているアクティブユーザー)、WAR (weekly active repinner:週1回はrepinしているアクティブユーザー)かをチェックしています。
21.性別ごとの「エンゲージメントファネル」通過ユーザーの数
22.新規サインアップから35日後のWAU(weekly active user)
初期のアクティブ率を測る指標として特に注目している指標です。サインアップから1ヶ月後もまだWAUとして残っているユーザーの割合を追っています。特に新規サインアップから28~35日後のユーザー割合を見ています。
エンゲージメントに関する指標
23.*AU率
DAUをMAUで割った数、WAUをMAUで割った数、DAUをWAUで割った数を見ています。期間の違うUUで比率をとるのはエンゲージメントしているユーザーがどれくらいいるかを測るときによく使われる指標です。
24.メールに関する指標
メールを送った合計数、開封率、CTRをメールの種類ごとに見ています。
25.プッシュ通知に関する指標
プッシュ通知を送った合計数とプッシュの開封率をiOS版とAndroid版でそれぞれ見ています。
復活サービスに関する指標
26.プラットフォームごとの復活ユーザー数
28日間以上使っていなかったけれどPinterestに戻ってきたユーザーの合計数をプラットフォームごとに見ています。
27.流入元ごとの復活ユーザー数
まとめ
要するに、我々がアクティベーション、つまり新規ユーザーを毎月のアクティブなユーザーに誘導するプロセスを重視しているのがおわかりいただけたでしょうか。これはアクティベーションがアプリの長期的・持続的なグロースに重要であると我々が考えているからです。アプリを何百万ものユーザー数にまでスケールさせるには高いアクティブ率が不可欠です。性別、国、流入元ごとの分析も重視しており、この分析によってセグメントごとにどうPinterestが使われているかを深く知ることや、どのセグメントがパフォーマンスを下回っているか把握することができます。
この記事に関して何か質問がありましたら、Twitterでメンションやメールをくださればと思います。
この記事は、PinterestのグロースハッカーJohn Eganのブログ記事”The 27 Metrics in Pinterest’s Internal Growth Dashboard”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。
※本記事は「グロースハックジャーナル」からの転載です。転載元はこちら
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