勝負の決め手は、ライブ感・現地価格・メーカー直結
「爆買い」の舞台は中国本土へ 信頼性で急成長する越境ECベンチャーbolome
中国市場と日本の橋渡しに
インタビューでは水野共同創業者のほか、bolome執行役員の三浦浩之氏も同席してくれた。じつは同社の成り立ちは、中国本土へ挑戦してきた日本人ベンチャーの土台がある。中国人と日本人の共同経営で成り立っているこの会社は、もともと三浦氏が単身で「中国でビジネスをやりたくなってつくった」(三浦氏)ベンチャーに端を発しており、中国本土立ち上げでのアプリビジネスを展開した企業も含めた一連の流れにある。
結果的に、三浦氏がかかわっていたネットビレッジ(現・fonfun)からMBOしたUUCUN社を、Zhang代表と水野共同代表が二人三脚で成長させ、バイドゥに50億円での売却まで果たした。だが、三浦氏自身の立ち上げ当初は苦労も多く、中国本土でのビジネスについて、やはりあくまで代表が中国人であるというのは最低限のポイントとなるようだ。とはいえ、結果的に中国発の混成チームであったことが、bolomeでは大きな強みとなって生きている。
中国市場ということで、取引規制のリスクについてもたずねたが、そもそも越境ECのための保税区があるのは、爆買いでの個人輸入に国として関税がかけられなかった部分にあるという。政府としては、自分のおひざ元で見える形での取引があったほうがよいというわけらしい。
約1年半で500万ダウンロードと、月商5億円を生み出したbolomeだが、中国市場ではすでに越境ECの淘汰も始まっているという。百度(バイドゥ)をはじめとした50億円を超える資金調達も、勝ち組としてさらなる成長を目指すためにある。
動画ライブの仕組みで新規ユーザーは一気に増えたが、現在では落ち着きつつある側面もあるという。今後は、商品数を増やすなど試行錯誤の取り組みが待っている。あくまでターゲットは若い女性であり、日本、韓国の商品だけを取り扱うというスタイルは崩さないと水野氏は語る。
日本国内での取引先も150社を突破。爆買いでの盛り上がりを背景にしつつ、問屋との取引を開拓した段階はすでに終わり仕入れも安定してきている。「やはり日本人として日本の商品が好きなので、知られていない商品を紹介したい。中国のユーザーに買ってもらうことで、日本側にもお金を流すやりがいがある」
中国のeコマース市場はまもなく、100兆円という日本の約10倍の規模に達する。さらに2020年には、200兆円以上の市場になると予想されている。bolomeの目標は、この市場を手中に入れ、中国のGDPに影響を与えることだという。
桁違いの巨大市場で勝負し、さらに桁違いのスピードで成長を続ける日中混成チームによる中国ベンチャー「bolome」の今後に注目したい。
●株式会社bolome
2015年創業。本社は中国・上海の保税区内にある。「スマートフォン」に特化したライブ中継スタイルの越境ECアプリ『bolome(波羅蜜)』を中国で展開。日本・韓国の商品を販売している。
中国・シンガポール・韓国のVC、エンジェルから複数ラウンドで合計4300万米ドル(約50億円)を調達済み。
社員数は200名。日本の支社は40名。
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