2016年1月にサービスを開始したクラウド電子カルテ「Clipla」。ブラウザオンリーで利用でき、直感的なインターフェースを備えるなど、これまでの電子カルテとは大きく異なる特徴を持つ「Clipla」は、日本の医療にどう貢献しようとしているのか──6回にわたって探っていきたい。
1回目の今回は、多くの方々に「Clipla」を知ってもらえるよう、その特徴と生い立ちについて焦点を当てた。
思い立ったらすぐに利用開始できるクラウド電子カルテ
ブラウザだけで利用できる診療所(クリニック)向けクラウド電子カルテ──それが「Clipla(クリプラ)」だ。2016年1月のサービス開始以降、内科、小児科、精神科などを中心に全国の診療所への導入が加速しており、開発元のクリニカル・プラットフォームでも、今後次々と新機能を追加していく構えを見せている。
従来の電子カルテの常識を覆す革新的なサービスであるだけに、「Clipla」には特筆すべき点が数多く存在する。
まず1つは、普通のノートPCやタブレット端末、それにブラウザさえあれば、基本的な機能はすべて利用できてしまう点だ。一般的な電子カルテはクライアント&サーバー型のシステムであり、院内に専用のサーバーを設置するとともに、診察室、受付、検査室などそれぞれの場所ごとに高価なクライアント端末が必要だった。このため高いコストがかかるうえ、導入・運用にはかなりの時間と手間を要してしまうことになる。
一方「Clipla」の場合、特別なアプリケーションやハードウェアは一切必要ないため初期費用は不要で、利用料も患者数101名以上が月額9800円からとなっており、劇的なコスト削減が見込める。しかも、今すぐにでも使い始めることが可能であり、システム面での運用管理の負荷は“ゼロ”だ。
2つ目の特徴が、直感的に操作できるシンプルなユーザーインターフェースを実現している点である。ほとんどマニュアルを見ないままであっても、誰もがすぐに使いこなせてしまう「Clipla」のインターフェースは、医療現場で活躍している数々のアドバイザーによる監修があって初めて実現できたものだ。
例えば「診療待ち」「診察中」「検査・処置・手術」「会計待ち」「会計済み」といったフローに沿った患者のステータスも、受付画面を見れば一目瞭然なうえ、ドラッグ&ドロップだけでステータスを変更できるので、画面を何度もクリックする必要もない。また診療行為の入力では、マスターに登録されている内容をプルダウンメニューで呼び出すことができ、処方や処置の入力では、一部を入力するとマスターの情報から候補が示されるようになっている。
この他にも「Clipla」には、患部の状態をスマートフォンで撮影し直接カルテに保存できる「スマホアップロード」機能や、患者が自分のPCやスマートフォンから診察予約を行える「Webチェックイン」機能など特徴的な機能が満載。また、診療報酬請求に必要なレセプトソフトについては、日本医師会が提供する「ORCA」と連携しており、会計業務の効率化を図ることもできるのである。
「ベネフィットの大きい電子カルテを!」がきっかけ
これまでの電子カルテとは一線を画した、ユーザーフレンドリーで高いエクスペリエンスを実現する「Clipla」は、どのように誕生したのだろうか──開発元であるクリニカル・プラットフォーム株式会社の代表取締役、鐘江康一郎氏は次のように語る。
「日本では電子カルテのROI(投資収益率)があまりにも低すぎるのではないかという疑問が「Clipla」を開発したそもそものきっかけでした。日本のクリニックでは電子カルテの普及率はわずか35%に過ぎませんが、これは他の先進国と比べると著しく低い数値です。ここまで普及が進んでいないのは、導入するクリニック側のベネフィットが少ないからだと考えたのです。
そこでまず、クラウド化することでコストを下げ、合わせてクリニックでの業務の効率化を支援することで、クリニックが享受できるベネフィットを最大化するサービスを提供することを目指しました。また、私自身も患者となった際に、電子カルテが導入されていないため長い時間待たされたり、何度も同じような内容を紙に記入しなければならなかったりと、不便な思いを何度もしていましたから、「Clipla」は、そんな状況を外から変えようとした結果でもあるのです」
今回、「Clipla」とは一体どのようなサービスなのかを知ってもらうべく、今回はその特徴について簡単に紹介した。そこで次回は、「Clipla」の操作性にフォーカスして、誰でも簡単に使える理由を具体的に示していきたい。
(提供:クリニカル・プラットフォーム)
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