次世代のUSBポートとして徐々に知名度が上がってきた「USB Type-C」。新型MacBook ProやハイエンドAndroidスマホの採用で普及の兆しは見えてきたものの、状況は複雑になってきました。
増え続ける変換ケーブルやアダプターの問題
USB Type-Cが登場する前、筆者がよく使っていたケーブルが「Lightning」と「MicroUSB」に両対応できるケーブルです。これ1本で、iOSデバイスにもUSB充電対応のデバイスにも対応できるという優れものでした。
ここに「USB Type-C」が加わったことで、状況は少しややこしくなります。2016年1月にはトリニティの「NuAns NEO」がUSB Type-Cを採用。大手キャリア端末も2016年夏モデルからソニーモバイルやサムスン電子のフラグシップモデルが相次いでUSB Type-Cに切り替えました。
こうして現在ではLightning、MicroUSB、USB Type-Cの3種類が混在する状況になりました。ただし、端末側のポートだけを考えれば、変換アダプターを駆使して何とか対応できるレベルです。
ところが最近では、新型MacBook Proのように、ホスト側の端子としてUSB Type-Cを採用する事例が増えています。そこで必要性が高まってきたのが、アップルの「USB-C - Lightningケーブル」のようにホスト側の端子がUSB Type-Cのケーブルです。
こうしたケーブルがあれば、新型MacBook Proから直接スマホやUSBデバイスを充電できるようになります。Touch Bar搭載モデルの場合、4つのUSBポートをフルに活用できるようになるというわけです。
ただし、これで問題が解決したわけではありません。モバイルバッテリーやUSBハブのように、従来のAコネクターしか接続できないデバイスもまだまだ存在しています。
これらのUSBデバイスがすべてUSB Type-Cに置き換わるまでにはまだ時間を要すると考えられます。しばらくは従来型のUSBケーブルや、Type-AからType-Cへの変換アダプターを併用しなければならないのは面倒なところです。
品質問題や急速充電の混乱が課題に
ほかにもUSB Type-Cには、様々な問題が指摘されています。最近、ECサイトなどでは「56kΩ抵抗」に対応したケーブルが増えていますが、これは有名メーカー製のケーブルでも規格通りに実装していないものがあり、過大な電流が流れる恐れがあるという問題です。
また、端末とコネクターの相性で、物理的に挿さらないとか、挿しても認識しないといった問題が出ています。筆者が持っている端末とケーブルの組み合わせの中でも、妙に堅いもの、緩いものが混ざっており、Lightningに比べて品質にはバラツキがある印象です。
USB Type-Cで使える急速充電の規格としては、主にQuick Charge系とUSB PDに分かれていることが問題となってきました。クアルコムが発表したQuick Charge 4.0はUSB PDもサポートするため、今後は状況が改善に向かうと思われるものの、当面は悩ましい問題です。
こうした状況の中、モバイルで活用される機会の多いMacBook ProがUSB Type-C(Thunderbolt 3)を全面的に採用したことで、混乱した状況が急速に改善していくことが期待されます。
2017年には大手キャリアのスマホがさらにUSB Type-Cを採用してくる可能性があり、これまで以上に広い範囲のユーザーに普及することが考えられます。そうなる前に、先に挙げたような問題は解決しておきたいところです。
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