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経産省“飛躍 Next Enterprise”展示会

世界を目指す日本の技術ベンチャーが集結

2016年11月22日 09時00分更新

文● ガチ鈴木/ASCII STARTUP 撮影●曽根田 元

 経済産業省による海外進出を狙う中小、ベンチャー企業のための支援プログラム“飛躍 Next Enterprise”、その関連イベント“日本発グローバル・ベンチャー公開選考会”が2016年11月15日に開催された。

 この飛躍プログラムでは4つのコースを設け、シリコンバレー、ニューヨーク、オースティン、シンガポールへ企業を派遣し、現地で展示会への参加、関連企業とのミートアップなどが用意される。

 今回のイベントは海外をテーマにした4つのセッションのほか、来年3月のオースティン行きを狙う、独自技術をもつ20社以上の中小、ベンチャー企業が参加し、公開選考会の形で自社のサービス、プロダクトを展示した。

網膜に直接投影するアイウェア

 選考企業は独自技術をもつ企業だけに、展示もとがった内容が多かった。QDレーザは網膜走査型レーザアイウェア技術を開発するベンチャー企業。網膜に直接、投影するメガネ型のデバイスを実際に来場者が体験できるよう展示していた。CEATEC JAPAN 2016 で“経済産業大臣賞”を受賞している注目のプロダクトだ。

 網膜に映像を投影する超小型プロジェクターで映像の視聴だけでなく、ウェアラブルカメラの映像を届けることで、リアルタイムに周りの様子を見ることが可能になる。透過型のヘッドマントディスプレーでARでの利用のほか、視力の影響を受けにくいため医療用デバイスとしての利用も期待されている。実際、会場では近視のような状態を再現する特別なレンズを用意し、近視状態で利用しても映像が視聴できることが体験できた。

屋外でも5メートル先のライターの火を瞬時に検出

 岡山の中小企業アンテックもすごい独自技術をもった企業だ。地元の備前焼の作家のために陶芸用製品を開発、販売する。窯内温度を測る装置をつくっている、火を検出するスペシャリストだ。紫外線による火の検出センサー装置とシステムを販売する。

 展示していた手のひらサイズの世界最小センサーの精度は5メートル先で点けたライターの火を一瞬で検出するほど。1メートルの火柱であれば、70メートル先でも検出する。太陽光の紫外線の影響を受けずに、火の紫外線だけを検出できる独自の技術をもつ。

VR映像に“匂い”の演出を追加するデバイス

 ZaaZ(ザーズ)は匂いのプロダクトを開発するベンチャー企業だ。匂いを活用した販促活動をメインの事業としている。その匂いを活用し、ヘッドマウントディスプレーに装着する匂い発生ガジェットを開発した。会場でもとくに注目が集まっていたブースだった。

 会場ではアプリで匂いの発生を操作し、HMDの流す映像と連動した匂いを発生させた展示を行なった。フライドチキンを揚げる映像とともに香ばしい匂いを出したり、戦場の映像で砂埃、女性のCG映像とシャンプーの匂いと応用範囲の広さと、HMDの体験をよりリッチになせる可能性を感じさせた。

過去開催ライブのセットリストを共有

 『LiveFans』はスマホでの音楽をもっと楽しくできるアプリ、サービスだ。約20万件ものアーティストのライブセットリスト情報をもっており、自分のスマホに入っている音楽を、特定のライブのセットリスト順で再生できる。セットリストの中でもっていない曲は、サービス上からiTunesの購入先にアクセスできる。

 セットリスト情報はアーティスト、公演名、公演日、公演場所などの情報とともに大量にデータベース化されている。公式にアーティスト側から提供されているもののほかは、ユーザー投稿によるものだ。アーティストだけでなく、会場でも検索できるのは、情報収集をしたい音楽ファンにはおもしろいところ。

指向性ライトで波も演出

 会場入ってすぐのブースでカラフルなライトを四方に飛ばしていて、ひときわ目立っていたのがパイフォトニクス。ホロライトという太陽光線と同程度の“擬似平行光”を発生できるLED照明装置を開発、販売している。極めて高い指向性をもっていて、狙った場所のみに照射することが可能。

 建物の遠隔照明から海岸線に照射して波を発光させるようなイルミネーションでの利用のほか、工場内の進入禁止エリアを提示したり、工場内を移動する車両に取り付けて進行方向を表示して事故を防止したりと利用できる方法は多彩だ。LED装置の納品先によって、さまざまカタチにカスタマイズが可能で応用範囲も広そうだ。

■関連サイト
飛躍 Next Enterprise

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