キューバのセサル・ロペス氏をプロデューサーに迎えた、新星ジャズシンガー、Ema(エマ)のデビュー作。日本曲をキューバ流のアレンジでどう料理されるかが聴きものだ。3曲目、サックスのおしゃれなオブリガードから始まる「卒業写真」。日本の卒業式のしっとりとした情緒というより、アーバンで、モダンな雰囲気。さらっとした愛の歌という感じだ。
ユーミンの粘性の高い歌いの卒業写真に慣れていると、こんなフレッシュでヴィヴットな卒業写真があったのかとまさに新鮮な驚きだ。ピアノとアコースティック・ギターの前奏から始まる12曲目の「いい日旅立ち」。これまた山口百恵のもののあわれを感じさせる情感とはまったく違って、気軽に近郊へ繰り出すハイキングだ。声の擦れと、外人風の日本語の発音が、意外な心地よさ。
FLAC:88.2kHz/24bit
Sony Music Labels Inc.、e-onkyo music
Live At Abbey Road
GoGo Penguin
イギリスのジャズバンド「ゴーゴーペンギン」の最新アルバム。1曲目、Branches Break[Live]。冒頭のエレクトリックピアノの和音弾きが印象的に始まり、オブリのようなピアノの旋律が、明確な隈取りで語られる。リズムとベースが加わるあたりになると、この曲の姿が見えてくる。
ゆったりとしたピアノの旋律を、音価を細かく刻むドラムスとベースが支える。細かな動的バイブレーションと、悠然たる旋律の対比の面白さ。248kHz/24bitだが、しっかりとした音調で、各楽器の実体感と存在感は確実に感じることができる。
FLAC:48kHz/24bit
Decca、e-onkyo music
Juan Diego Florez - The Ultimate Collection
Juan Diego Florez
ペルー生まれのリリックテノール、テナフアン・ディエゴ・フローレスのデビュー以来15年のベストセレクトだ。3曲目の「Donizetti: L'elisir d'amore / Act 2 - "Una furtiva lagrima"、愛の妙薬から人知れぬ涙」。バスーン、ハープが明確な音像を持ち、テノールはセンターにきちんと定位。基本的に声質はスウィートだが、輪郭はシャープ。
尖鋭な音の表皮に包まれ、音の内側は弾力感のある麗しさが、本テノールの音色的魅力。メタリックな輝きを表側に持つマシュマロだ。音場はひじょうに透明で、オーケストラのサウンドもすがすがしい。
15曲目「Lacalle: Amapola、アマポーラ」。愛の歌はどこまでも甘く、優しく、叙唱はクリヤーだ。硬質な高域がキラキラしている。やわらかさとシャープさが同居するのが、フローラの声の絶大なる魅力だ。
FLAC:48kHz/24bit
Decca 、e-onkyo music
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります