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なぜTSUTAYAはアプリにレンタル取り寄せ機能を追加しないのか

2016年10月20日 12時21分更新

 TSUTAYAは10月3日、「TSUTAYAアプリ」にモバイルTカードとオススメ作品プッシュ通知機能を追加した。

 モバイルTカードはアプリ経由でDVD/CDのレンタル、購入ができる機能だ。あらかじめTカードに現金をチャージしておき、スマホを専用端末にかざす、あるいはアプリに表示されるバーコードを提示することで決済が可能となる。

 オススメ作品プッシュ機能はユーザーのレンタル・購入履歴を活用し、作品をプッシュ通知。ユーザーに質の高いエンタメ体験を提供するという。アプリ内で機能をOFFにすることもできる。

 新機能について説明をしたUX推進部 ユニット長の小野寺 直樹氏によるとモバイルTカードは「ユーザーから要望があった」機能だそうだ。

 TSUTAYAが調査したところ、ユーザーがアプリをダウンロードする大きなきっかけは「クーポンが提供される」「在庫検索ができる」「店舗検索ができる」の3つ。「ユーザーはクーポンと在庫検索をよく利用し、店頭まで来てくれている」と小野寺氏は話す。

 さらに機能の要望を尋ねたところ「商品の取り置き・予約がしたい」「会員証としてアプリを使用したい」「レンタルの返却予定日の確認がしたい」が挙がったという。

 こうした調査結果をもとに借りたいタイトルの在庫検索をし、商品があればお店に直行して借りる、この一連の流れをアプリでできるようにしよう、という考えからモバイルTカードの導入にいたった。

 また上記のとおりクーポンや在庫検索で店頭に来るユーザーがいるとわかったので、アプリを改良していくことで店舗とユーザーをつなげられると考えたようだ。今後も接点としてアプリを作り込んでいく予定があるという。どのような機能が追加されていくのかは明らかにされなかったが、店舗に行くきっかけを作ってくれるのであればユーザーにとっては便利になっていくだろう。

店頭端末でお取り寄せするサービスもスタート

 TSUTAYAは同日に店頭の検索機でレンタル/販売品を取り寄せできる「リクエストお取り寄せサービス」も発表。店員に尋ねることなく注文でき、店舗で受け取りもしくは自宅まで配送が選べる。

 小野寺氏は「取り寄せの場合はこれまでユーザーが店員に聞き、店員が倉庫に在庫確認といつ届くのかを確認していたので、時間がかかっていた」と話す。

 それどころか取り寄せ不可の店舗もあったそうだ。ではなぜいきなり検索機で取り寄せできるようになったのか。

 実は急でもなんでもなく、ネット宅配レンタルサービスのTSUTAYA DISCASにより在庫を抱える倉庫が拡充したこと、日販が持つ本を在庫として使えること、合わせて流通が作り上げられたことが新サービスに活きている。これまでのサービスで培ったリソースをうまく使ったことにほかならない。

 あとは在庫をシステムで管理し、店頭端末と接続すれば在庫確認から取り寄せまでできると判断。リクエストお取り寄せサービスはこうしてできあがった。

 小野寺氏いわく「規定では取り寄せから手元にとどくまで1週間をいただいているが、だいたい3~4日で店舗に届く。倉庫に近い場所であれば1日で届けるのも不可能ではない」という。

 また在庫に関しても「映画のシリーズタイトル最新作が公開されるとき、過去の作品が人気になるが、そのような状態でも取り寄せできるくらい」は抱えているそうだ。ただ、渋谷や新宿などの一部でレンタルされているカルト作品や名作については対応できていない。

 なお、取り寄せをアプリで対応しなかった理由を聞くと「TSUTAYAの別サービスの取り寄せ実態を見ると、自宅に配送よりも店舗で受け取りの方が圧倒的に多かった」からとのこと。

 自宅に配送してもらった方が圧倒的に楽な気がする。しかしユーザーはお店に来たがっているという。とても不思議な話だが「店頭に来て、ほかのエンタメも探してくれようとしている」とにらんでいるらしい。また店頭に来てもらえるならすべてアプリ対応の前にまずは店頭でサービス提供、と踏み切ったそうだ。いずれにせよユーザーの利便性を一気に高めた発表だった。

 さて個人的な欲を言うとテレビを貸し出してほしい。いま若者の間でテレビのない家が散見されるようだが、わたしの家にもない。映画を観るために狭い部屋にスペースを作ることに足踏みしているので、セット貸しのようなサービスが始まるといいのにとひそかに思っている。今後のTSUTAYAにも期待をかけたい。

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