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人工衛星や宇宙観測などの分野での活躍に期待

キヤノン、InPのイマージョン回折素子の開発に成功

2016年10月19日 13時24分更新

 キヤノンは10月19日、Ge(ゲルマニウム)、CdZnTe(テルル化カドミウム亜鉛)に続き、InP(リン化インジウム)のイマージョン回折素子の開発に成功したことを発表した。

 InPイマージョン回折素子とは、InPの透過波長であるおよそ1.5~8μmで使用できる分光用デバイスだ。イマージョン回折素子は、一般的な反射型の回折素子と比較して、屈折率(InPでおよそ3.2)に比例して大きな分散を得ることができる。

 人工衛星や天体望遠鏡には、宇宙が放つ光に含まれる情報を取り出すために、光を波長ごとに分ける分光器が搭載されており、宇宙観測において重要な役割を担っている。イマージョン回折素子は、一般的な反射型素子に比べて分光器の小型化、高性能化を可能にする分光用のデバイスだ。InPのイマージョン回折素子は、同じ波長をカバーする一般的な反射型素子を搭載した分光器と比較して、分光器の体積をおよそ1/27に小型化できるという。

 これにより、今まで大きさや質量の制約で搭載が難しかった高性能分光器を人工衛星に搭載出来るようになり、宇宙観測の可能性が広がることが期待できる。また、次世代の地上大型望遠鏡に適用することにより、望遠鏡の小型化につながるとしている。天文分野はもちろん、科学や医療、通信分野などへの活用を見込んでいるとのことだ。

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