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大阪市シードアクセラレーションプログラム

2億超の調達、売上3倍の事例も 大阪市ベンチャー支援プログラム4ヵ月の成果

2016年10月13日 07時00分更新

 大阪市が主催するベンチャー支援の取り組み“大阪市シードアクセラレーションプログラム”。10月6日、第1期に参加した各ベンチャー、スタートアップ企業による成果を発表する“デモデイ”が大阪イノベーションハブで行なわれた。

 2016年6月下旬から9月下旬までの第1期プログラムでは、ベンチャー、スタートアップ企業が大手企業との事業連携、資金調達を目標に、運営を行うトーマツベンチャーサポートの支援のもと全国から集まった約100名のメンター陣からのサポートや個別インキュベーション、各種メンタリングなどが実施された。

 合計400回にも及ぶメンタリングのほか、資金政策や人材採用、組織構築などのベンチャー向け勉強会なども行なわれ、参加したベンチャー企業にとってかなり濃密な4ヵ月間となっていたようだ。結果的に、期間中の資金調達は非公開4件を含む6件で合計2億600万円、大手企業との事業連携も数は発表されなかったが、進んでいるものも多いという。

 デモデイに参加した大阪市の吉村洋文市長も、「繰り返していくことでイノベーションが生まれるエコシステムとなる。ベンチャーが生まれ、技術、雇用、産業が生まれていく都市にしたい」と、この成果を受けて期待を示していた。

大手と連携、資金調達の成果

 プログラムだけの成果とは言いにくいところはあるが、期間中に資金調達、大企業との提携を進めた企業も出ていた。元プロ選手による優れた指導を受けたいユーザーをつなぐ、スポーツのオンラインレッスンアプリ『スポとも』を開発、運営しているだんきちはABCドリームベンチャーズからの資金調達、大手メディアとのアプリ共同開発が進んでいると報告した。

 腰痛対策を支援するウェブアプリ『ポケットセラピスト』をリリースしたバックテックも、サイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を実施。今後、2017年1月末にiOSアプリをリリース予定で、4月には法人向けサービスの展開を控えている。

メンタリングでサービスが進化

 開発しているサービスの方向性をより良いものにしていくのも各種メンタリングでも成果が得られた。気軽に始められるオンライン学習サービス『ShareWis(シェアウィズ)』は無料サービスと有料サービスを当初分けて展開していたが、無料から有料へ移る際のユーザー離脱を指摘され、2つのサービスを統合する方向にシフトした。また東南アジアで日本語学習のニーズが高まっていることから、学習コンテンツを現地で学べるように東南アジア向けに翻訳して、ベトナムの求人メディア“ベトナムワークス”と提携するなど、新たな展開の準備を始めていた。

 ウィファブリックは当初大量に出る繊維廃棄物をなくすために自社で再デザインして販売していたが、本プログラム開始時に事業を転換。繊維のデッドストックを手軽に売買できるファッション業界のためのB2Bのフリマサイト『SMASELL(スマセル)』を開発し、在庫問題の解決に乗り出していた。新たに始めるサービスだったが、大企業やベンチャーキャピタルとのメンタリングをとおして、サービスの可能性を改めて確信できたという。

認知度の向上で顧客・売上3倍増の事例

 従業員のモチベーションをテクノロジーによって支援するマネージメントツール『Habi*do(ハビドゥー)』を開発するBe&Doは、期間中にサービスをリリース。メンタリングをしてくれる大手企業自体が同社の顧客となるため、初動の顧客獲得にもプログラムが役に立つこととなった。

 目に見える形で成果を上げていたのが、グループで使えるメール、SNSを統合できる問い合わせ顧客対応ツール『Re:lation(リレーション)』を運営しているインゲージだ。顧客獲得実績はプログラム期間中300%アップに急上昇。売上も320%上昇するなど、大きな手ごたえを得ていたようだ。メンタリングによってサービスのウリを再発見でき、メディアでの露出増にもつながったことが大きかったようだ。

 大阪市シードアクセラレーションプログラムは今後、11月から第2期のプログラムを開始する。大阪梅田の大阪イノベーションハブを中心に、プログラムを実施してく予定だ。

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