「ニコニコ町会議 全国ツアー2106」といえば、4月に開催された「ニコニコ超会議」の地方出張版として、全国9ヵ所をツアー中のイベントだ。岡山、富山に次いで、10月1日に開催された7会場目となる「北海道函館市 函館いか祭り」の様子をがっつりレポートしていこう。
「うちの嫁にこなイカーーー!」
今回の函館における一番のハイライトは、なんといってもサプライズの公開プロポーズだろう。
町会議は、「うちの町に来て!」というユーザーからの応募を受けて、初めてniconicoの運営が自治体や併催する地元のお祭りの運営団体と開催の交渉に入る。今回、函館に町会議を招致したのはMASSANさんで、「五年前から交際している女性にプロポーズをさせてください」という文面で申し込んでいた。
そんなMASSANさんのアツい思いを受けて、いつもは町会議に集まったお客さんと出演者が一緒に遊ぶ「大人数遊び」のパートで、このプロポーズ大作戦が執り行われた。
流れとしては、まずMASSANさんが彼女を会場外に連れ出し、来場者と出演者の準備が整ったら電話がかかってきて、企画の一つである「町VRホラーカー」に彼女と一緒に乗車する。VRホラーカーは2人で体験するコンテンツで、目にはヘッドマウントディスプレー、耳にはヘッドホンをつけるので周囲の状況がわからない。先に彼女に装着してもらい、MASSANさんも乗車。……と見せかけて影武者にすり替わって、ホラーコンテンツが終わったらいきなりプロポーズという形だ。
アスキー的には、VRとドローンという流行の技術を取り入れているのがポイントだろう。彼女はVRヘッドマウントディスプレーをつけたまま、ドローンを通じて撮影された映像で彼のプロポーズを受ける。最後にMASSANさんが「うちの嫁にこなイカーーー!」と叫んだら、ドローンが急浮上し、会場のみんなでつくったハートとイカの人文字が映し出される演出だ。
海外では、VRかドローンのいずれかを使ったプロポーズの例が報告されているが、両者を組み合わせたものとなると世界初といえるだろう(筆者調べ)。仕込みではないガチな企画なので、そもそも彼女がサプライズが嫌いだったり、会場に集まったメンバーが即興で実施するがゆえうまくいかなかったりと、何かとリスクもある。そうしたハードルを乗り越えて、はたして結果はイカに……!?
会場が固唾を呑んで見守る中、MASSANさんはドローン越しに彼女にこう語りかけた。
「付き合う前に偽名を名乗っていたことが判明したときは戦慄が走りましたが、そんな他の人とは違っているところに惹かれていました。多趣味な僕がいろいろなことに手を出しても小言は言いつつ、付いてきてくたことには本当に救われています。自分がサバイバルゲームを勝手に初めて連れていったとき、見学していて打たれてばかりなので、今度は自分が打ってやると始めた時は本当に驚かされました」
「何事にも人一倍真剣なところは、年下だけど本当に尊敬しています。だれよりも一生懸命で、寝ボケたところがかわいくて、どちらかが好きになればどちらかも好きになる、どちらかが折れそうになればどちらかが支えてくれる。たくさん喧嘩もしたけど、最高のパートナーだと思っています。30歳になる前に結婚しようと散々いってきたけど、本当にたくさんの助けをもらって待たせてごめん。どうか結婚してほしい、大好きです。最後に、イカ祭りということもあり、これしか思いつかなかった。マナぼくと結婚してくれなイカー!」
この成功のために、niconico運営側も社内からトップエンジニアや精鋭のドローンパイロットを現場に招聘し、会場が人口密集地なのでドローンは事前に撮影許可を申請して……と万全の体制で臨んでいたわけだ。さまざまな人の努力と思いが集結して、見事成功できたのは感無量としか言い表せないだろう。
ちなみに会場で取材していた筆者だが、MASSANさんが全力プロポーズしている様をVRヘッドマウントディスプレーを通じて見ていた彼女が、雰囲気に飲まれて涙するのではなく、逆に「ガンバレー」と応援していたのが印象的だった。この大舞台で肝の座っている感じ、年下だけど意外とMASSANさんが尻に敷かれていたりしませんかね……!?
そして出会いがあれば、別れもあるのがコミュニティーだろう。今回の町会議では、出演者である踊り手の「れいちぇる」さんが、「会社の仕事が忙しくなったので、来年の3、4月あたりを目処に活動をお休みしようと思っている」と衝撃の引退発言。また、同じく踊り手で道南出身の「のら」さんも、「来年4月ぐらいを目処に活動を一区切りをさせていただこうと思っていて、(ユニットの)『高速猫仮面』としても、北海道で踊れるのもこれが最後かと思う」と告白していた。
2006年12月12日のスタートからすでに10周年となるniconicoだけあって、当時10代後半、20代前半だったコア層がそのまま20代後半、30代前半にスライドし、社会人として重要な仕事を任されたり、家庭や子供を持ったりと、ユーザーを取り巻く状況も変わって来ている。今年で5年目になる町会議も、子連れの参加者が結構目立っていたのも時代の流れだろう。
マンネリといわれつつも、着実に「ニコ厨」とともに人生を歩み続けているniconico。有名ユーザーの2代目デビューなど、次の10年で起こる変化に期待です。
*次ページより、激アツな会場の様子を写真でお届け!
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