山梨県から起業、創業を増やすため、ハンズオンによる事業支援、ブラッシュアップを行なう3日間のトレーニングプログラム“Mt.FUJIイノベーションキャンプ2016”が、2016年9月23日から25日に甲府市内で開催された。最終日となった25日には3日間の成果を発表する“イノベーティブビジネスプランコンテスト”で、ベンチャー企業や創業を目指す起業家らが事業やビジネスプランをプレゼンで披露した。
プレゼンは始動部門と協創部門に分かれて、ファイナリストに選ばれた全14チームのベンチャー企業や起業家が参加。
始動部門で最優秀賞に選ばれたのが“Domaine des Tengeiji(ドメーヌ ド テンゲイジ)”、耕作放棄地にワイナリーをつくり、世界基準のワインをつくろうとしているスタートアップ企業だ。クローンの苗木管理を徹底してたブドウの栽培技術、山梨大学院ワイン研究センターやニュージーランドで学んだ醸造技術に加えて、ワイン輸入ポーターをしていた代表の経験を生かした、販路開拓、販売促進にも力を入れる。すでに甲府のワインは国内でも有名だが、新しいワイナリーモデルを築いて、強みを生かして山梨の地で世界でも通用するワインづくりを目指す。
優秀賞はアルステクネ、アートとテクノロジーを融合して文化財のデジタル化“スマートデジタル文化戦略”を進めているベンチャー企業だ。立体的な油絵を平面の紙に出力しても、裸眼では立体に錯覚する3D質感処理技術“DTIP”をコア技術にもつ。その質感からフランス国立オルセー美術館とハイエンドデジタルアーカイブ契約を凍結し、主要作品102点の記録を行ない、グローバルマルチユース権を取得。プレゼンではこれらのリマスターアート技術や作品を利用して、文化財の多い山梨県で知的体験型観光や教育などに利用しようと提案した。
協創部門の最優秀賞には世界最小の尿検知センサー『Carin』を開発する、2016年1月創業のライフセンスグループジャパンが選ばれた。尿漏れに悩んでいる女性をサポートしたいと、センサーで尿漏れ、量、運動状態を見える化して、尿漏れのパターンにあった改善方法の骨盤強化トレーニングをアプリで配信する。試験では3ヵ月で改善効果があったという。
優秀賞は昨年のMt.FUJIイノベーションキャンプにも参加して、その後の2015年12月起業した、まさにこのイベントの申し子とも言えそうな猫株式会社の小林一樹氏が選ばれた。猫の生活用品すべてを自社開発して提供している。ペットの安全のため、保証できる材料を利用して、県内生産の鹿肉ジャーキーのペットフードを開発。でんぷん糊の爪とぎベッドや有機わらの猫ちぐら(購入まで6年待ち!)を36都道府県92店舗で展開している。
山梨県内で起業、創業のエコシステムを構築することを目的に開催されてきた、Mt.FUJIイノベーションキャンプだが2年間ですでに7社の起業、8つの新規事情につながっている。大きくスケールすることを目的にもしており、今回の登壇者は表彰式で「将来のビジネス展開のシナリオが描かれていた」と評されており、ここから次代につながるイノベーティブな事業が生まれるかもしれない。
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Mt.FUJIイノベーションキャンプ2016
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