「国際IT(情報技術)家電見本市」から「IoT・CPSを中心とした最新技術による展示会」へ。CEATECが変わろうとしている。
CEATEC (シーテック。Combined Exhibition of Advanced TEChnologiesの意)は、1958年のテレビラジオパーツショーに出自を持つ家庭用電子機器・半導体・産業用製品の展示会”エレクトロニクスショー”と、情報・通信分野の展示会だった“COM JAPAN”が統合されて2000年にできた。
インターネットが当たり前になった時代、ITと家電を結び付ける形で始まったCEATECだが、2007年の動員数ピークを経て、近年は国内大手メーカーの不在や来場者数の減少など、「目新しさがない」「空洞化」「家電凋落の象徴」といったイメージがつきまとっていた。
同様の家電ショーでは米国の“CES”が世界的に有名だが、こちらは時代に合わせた変身をとげている。有名なところでは、スタートアップ企業の急進があるだろう。テレビの大型化やノートパソコンの軽量化を追うだけではない。IoTをキーワードとするようなウェアラブル、アプリ関連のサービスや技術展示が大きく増えている。
すでにCESは「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」という名称を使っていない。実際、米国ではTESLAやAirbnb、Uberといったスタートアップのサービスや製品がそこにある以上、「Disrupt」(破壊的変革)の波はより身近だ。2017年は自動運転や人工知能といった分野でより大きな発表の動きが噂されている。
同じく海外では、ドイツで行なわれる国際見本市の“CeBIT”がインダストリー 4.0の名のもと、BtoBの最新テクノロジー、IoT、CPSの展示会に変化しており、2017年は日本がパートナーカントリーの役割を担うことが決定している。
では、 “CEATEC JAPAN 2016”は何を見せてくれるのか。
2016年、デジタル家電の総合展示会だった“CEATEC”は、モノのインターネットである“IoT(Internet of Things)”、物理空間を多様なセンサーでデータ化してネットワークで収集して利用する“CPS(Cyber-Physical System)”の2つのテーマによる最新テクノロジーの展示会へと姿を変えるという。
自動運転、ドローン、5G、ヘルスケアなど目立つ分野だけではない。インフラ、サプライチェーン、街そのもの・住まい、医療や果ては農業まで、IoTが関連するビジネスの推進が、現在国内では大手企業も含めて求められている。CEATEC JAPAN 2016でも、大手とのマッチングでは海外からもベンチャー30社を招いたマッチング実施など、本格的に将来のプラットフォームや標準化などを見据えた動きがある。もちろん国内からもスタートアップは参加しており、出展ベンチャー企業は、100社を超える規模となっている。
IoT、新技術によって得られるデータを収集、分析して、社会的課題を解決、新しいビジネスを創造していく、そんな技術との出会いや情報交流ができる場として、果たしてCEATECは変わったのか。今回、IoT・CPSを中心とした会場の様子をASCIIでは特集記事として追いかける。その変化を、ぜひ確認してほしい。
IoT、CPSの展示会へ会場の構成も一新
“CEATEC JAPAN 2016”の会場は幕張メッセ。10月4日から7日まで、今年は土曜の開催がなく、4日間すべてビジネスデーで行なわれる。CPS/IoTへの展示会に替わったことで、会場の構成も大きく変わった。テーマ別に展示会場を4エリアに分けて、そのテーマに沿った製品、技術、サービスをもつ大手企業から中小、ベンチャー企業、行政、大学、研究機関がブースを構える。
“社会”エリアでは公共インフラ、災害対策など、“家”エリアでは暮らしをサポートするロボットやエンターテインメント、“街”エリアでは住みやすい街づくりの提案やインバウンド対応、“CPS/IoTを支えるテクノロジ・ソフトウェア”エリアでは電子部品や素材、関連ソフトウェアが集結する。
また主催者特別企画展示“IoTタウン”、“-AI-人工知能パビリオン”、“IoT推進コンソーシアム連携企画”、“日欧国際共同研究シンポジウム”、“日独経済連携企画”などの特別企画展を設置。2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けた技術展示、連携カンファレンスも行なわれる。
国内外から100社を超えるベンチャー企業が出展
“ベンチャー&ユニバーシティエリア”では、新しい製品、技術、サービスを開発、運営するベンチャー、スタートアップ企業がブースを構える。
大手企業とは違ったスピード感でサービスを実現する、新しいビジネスモデルを発見できるエリアだ。日本の新しいモノづくりの形がわかり、将来、日本を代表するような企業の発掘から、大手企業での新規事業と協業するオープンイノベーションの促進にもつながる注目のエリアだ。
そのほかIoT推進ラボによる、海外ベンチャー企業約30社とのIoT推進ビジネスマッチング実施。ベンチャーエリアにて、展示ブースを設置する。参加するのはASEAN、インド、イスラエルから応募のあった164社の中からの選りすぐりの30社が来日する。
10月4日には野村総合研究所による、NRIハッカソン 2016 “STARTUP AWARD”のオープンステージが開催。フィンテックサービスを展開するベンチャー企業が参加し、新しいサービス提案を行なう。IoT、CPSを実現するモノだけじゃない、サービスという点でも新しいCEATECの姿が見られそうだ。
■関連サイト
CEATEC JAPAN 2016
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