VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!
どもどもVRおじさんこと、PANORAの広田です!
(担当が風邪を引いたため、掲載日が遅れてすいません!)
先週のニュースといえば、iPhone 7が注目を集めていますが、VR業界では同じ日に発表されたPlayStation VRを動かすための新型PlayStation 4が大きなトピックでした。
ほかには来週15〜18日に幕張メッセで開催するゲーム系展示会「東京ゲームショウ2016」(TGS)の出展情報がめちゃくちゃ多かったです。今年のTGSで初めてバーチャルリアリティー(VR)を体験する人も多そうなので、今回は初心に帰って、超基礎的な「そもそも話」をQ&Aでまとめていければと思います。
Q.なんで最近、やたらとVRと言われてるの?
A.安価になって身近になったから
VRはちょっと前まで質のいい体験を実現しようとすると機材に数百万、数千万円かかってしまい、大学や企業などでしか導入できない代物でした(アラブの富豪とかなら個人でも買えそうですが)。それがここ数年でゴーグルの仕組みを工夫し、スマートフォンの量産で安価になった部材などを使うことで、数万、数十万円レベルに一気に落ちてきました。画質や反応速度などの品質において、多くの人が気にならないレベルで「家庭用VR」が実現できる土台が整ったので、「このビッグウェーブに乗らないと!」とクリエイターや企業が続々と参入してきています。
Q.3Dメガネなの? 飛び出すの?
A.違うんだ。映像に入れる体験なんだ
VRヘッドマウントディスプレーについて、「あれでしょ〜、映像が飛び出すヤツ」という誤解も結構あります。もちろんVRヘッドマウントディスプレーにも立体視できるコンテンツはありますが、それよりも視界いっぱいに映像が広がって、上下左右に首を振るとシームレスに映像が切り替わっていく──つまり「映像の中に入れる」という要素のほうが圧倒的に新しいです。普段われわれがリアル世界を見ているように自然にバーチャル世界を見られるので、本当に別の場所に行ったように錯覚してしまうのが不思議です。
Q.で、結局ナニがすごいの?
A.CGに触ったり、歩けたりもできるんだ
映像の中に入れるだけでも結構スゴいですが、さらに手に持ったモーションコントーラーでCGを触って動かしたり、映像の中を歩くこともできます。「ポケモンGO」のようなゲームで例えるなら、目の前にいるモンスターに体を近づけて細部を見たり、手で触って反応を楽しむということができます。本当に投球モーションをとってモンスターボールを投げつけるというのもアリですね。仕組みとしては、外部のセンサーを利用して、ヘッドマウントディスプレーやモーションコントーラーの位置を検出し、それをバーチャル世界に反映しています。
Q.どんな種類があるの?
A.PS VR、HTC Vive、Oculus Rift、Gear VRなど様々
みなさんがなんとなく知っているVR機器といえば、おそらくソニー・インタラクティブエンタテインメントが10月13日に発売するPlayStation 4向けの「PlayStation VR」ではないでしょうか。また、Windows PC向けでは、米オキュラスVRが3月にリリースした「Oculus Rift」(リフト)、米Valveと台湾HTCが共同開発して4月に発売した「HTC Vive」(バイブ)が有名です。これらは「据え置き型」と呼ばれ、いずれも360度見られるだけでなく、外部センサーを使ってユーザーの位置や手の動きを取る機能を備えています。
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スマートフォンを使うタイプを知っている人もいるかもしれません。スマートフォンをガチャッとゴーグルにはめて、そのディスプレーと内臓センサーを使って、映像の中に入る体験を実現してくれます。韓国サムスン電子と米オキュラスが共同開発したGalaxyシリーズ専用の「Gear VR」を筆頭として、プラスチック製、ダンボール製、ウレタン製など、さまざまな材質のものが出ています。PCやゲーム機を使う据え置き型に比べると、スマートフォンなので処理能力が限られますが、ケーブルレスで運用できて持ち運びやすいのがメリットです。
最近では、ここに一体型というのが出てきました。別のハードウェアをつなぐ面倒さもなく、WindowsやAndroid、iOSなどのOSを見ることもなく、いきなりVRの画面を表示させてコンテンツを体験できるのがいいところです。
Q.で、どれがいいの?
A.待つんだ。まずは体験してほしいんだ
この連載でも何度も言っていますが、VR体験の新しさや面白さは、どんなに言葉を重ねても、写真や動画で見せても、本人が体験しない限り絶対に理解できないものです。なので、東京ゲームショウに行く方でまだVRは未経験という方は、ぜひかぶってきていただきたいです。
一般日にあたる17、18日には、幕張メッセの1〜8ホールの入り口にて、ソニー・インタラクティブエンタテインメントとHTCの整理券が配布されます(PANORAの記事)。ほかにも10ホールにはVRコーナーが設けられている上、各企業やスクールなどのブースでもVRの展示があります。
ひとつ覚えておいてほしいのが、体質や体調によって酔ってしまう可能性があるということです。筆者もVR大好きっ子ですが、めちゃくちゃ乗り物酔いしやすい体質で、ちょっとつくりが合わないコンテンツではすぐに気持ち悪くなってしまいます。ひとくちにVRコンテンツといってもさまざまで、ジェットコースターのようにダイナミックに視界が動いて楽しいものは、意外と人を選んだりします。酔ったら素直に途中でギブアップして休憩しましょう。
できれば、いくつかのコンテンツを体験するというのも重要です。スマホアプリが千差万別なように、VRコンテンツもいくつかの種類を試してみないと見えてこない広がりがあります。この東京ゲームショウを逃しても、量販店やネットカフェ、アミューズメント施設などの店頭で体験できる場所が増えてきているので、ぜひ訪れてみましょう。
広田 稔(VRおじさん)
フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。
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