新Apple Watch Series 2実機レポート 「人をアクティブにするギア」へと方向を定めたアップルの思惑
初代Apple Watchの発表から丸二年が経った。このタイミングでアップルは、新しいApple Watch、『Apple Watch Series 2』をデビューさせた。基本的なデザインこそ以前と変わらないものの、2年を経て改めて打ち出すメッセージは、ずいぶんと削ぎ落とされ、以前に比べて強固に明確になった。
シリーズ2で新世代になったApple Watchのメッセージは、シンプルに言えば「自分をアクティブにしてくれるもの。それこそが、Apple Watchだ」というものだ。GPSの搭載や、スムーズな動作を実現する処理性能アップ、有機ELの輝度アップ(2倍!)は、そういった体験向上のために逆算したブラッシュアップということなのかもしれない。文字どおり磨き上げるという意味では、新しいOSであるwatch OS 3も、9月13日に登場する。
Apple Watchのパートの冒頭で、ポケモンGoで大躍進中のNianticのジョン・ハンケCEOを招いて、Apple Watch版のポケモンGoのデモを披露したのは、見事というほかない。(いまのタイミングで、ここまで幅広い世代にこれ以上の説得力のある材料はあり得るだろうか?)
近くにいるモンスターを見つけたり、ポケストップからアイテムをゲットしたり、タマゴを孵化させたり。こんなポケモンWatchがあったら欲しいよね、というデモをしっかりと見せてくれた。ポケモンがしたいから、人は歩くのだ。2016年末の登場が待ちきれないのだ。
次に披露したのが新フィーチャーでもある、スイミング対応。
シリーズ2の防水機能は、設計を見直して新たに50メートルの耐水性、スイムプルーフを実現した。単に「水泳でも使えます」というだけではなく、実際に700人のスイマーのデータをとって、カロリー燃焼を正確に表示できるように開発もしているという。控えめに言って相当に本気だ。
そして久々のNIKEコラボは、『Apple Watch Nike+』として、専用のバンドと、Nike専用のウォッチフェース、Nike+ Run Clubアプリが用意される。ここでも、やっぱりApple Watchの推しはスポーツだ。
シリーズ2のラインナップを整理してみると、初代モデルでつくられた各製品ラインの位置付けが実は相当変わっていることがわかる。初代モデルでは、"安価なエントリーライン"という位置付けだったアルミニウムモデルは、シリーズ2では表面処理を変えて高級感が増し、メインストリーム扱いに昇格している。事実、今回の発表の多くの場面で使われているのは、アルミニウムモデルであり、本体の新設計を説明するスライドでも、使われていたのはゴールドアルミニウムモデルだった。
ステンレスモデルは、ファッション性を意識した上位モデルで、Apple Watch Hermesへの採用がシリーズ2にも継続している。
驚いたのは最上位の『Apple Watch Edition』に、新たにフルセラミックボディのEditionが登場した一方で、最高218万円もした18金モデルはなんと消えてしまった(!)ことだ。
シリーズ2の構成は、考えようによっては、ほぼラインナップ再編レベルの変更だ。それを、製品の形をほとんど変えずに、ブランドのイメージだけを再構築するなんて、アップルのやり方は本当にウマい。
Apple Watch Series2は9月9日から予約開始。発売は9月16日からだ。価格は3万7800円から。50m耐水ではない初代に準じたモデルは、Series1に名前を変えて、デュアルコアCPUなど微妙にバージョンアップして2万7800円にて併売される。
とはいうものの、やっぱり今から買うならシリーズ2しかないんじゃないかと思う。そして、スポーツに寄せた新しいアプローチは、堅実に成功するような気がする。今回のプレゼンや実機を見るにつけ、アルミニウムのモデルは以前に比べてずっと良いモノに感じるからだ。ぜひ国内の店頭でも見てみてもらいたい。
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Apple Watch Series 2
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