9月2日よりドイツ・ベルリンで開催されているIFA 2016にて、シャープはヨーロッパにおけるテレビ事業のパートナー企業であるUMC社のブースで、27型8Kモニターを参考展示した。卓上PC用モニターに最適なサイズであり、今後の8K展開に強い期待を抱かせる。
Retinaディスプレイのスマホを数十枚重ねたモニター
参考展示された8Kモニターの基本スペックはピーク輝度が1000nitsでフレームレートが120Hz、HDRをサポートする。DCI色域は109%、BT.2020も78%をカバーしており、現代の要求に十分耐えうる基本性能である。
同社が得意とするIGZOテクノロジーが存分に活かされており、画素密度は326ppiで、アップルのiPhone 6sと同等の精細度を誇る。感覚的には5.5型のRetinaディスプレイスマホを数十枚貼りあわせたようなもので、言い換えればRetinaディスプレイがそのまま27型のPCモニターサイズに巨大化したというイメージだ。
ヨーロッパにおけるテレビ事業はスロバキア企業との協業
中国の鴻海に買収され、先行きが不安視されていたシャープだが、今回のIFA 2016では強い存在感を見せている。ヨーロッパにおけるシャープの事業は、白物家電がトルコのVESTEL社と協業体制を組んでいるが、AQUOSブランドを含むテレビ事業は昨年よりスロバキアのUMC社との協業体制に入った。今回のテレビ分野はUMCブースでの出展で、ブース内は至るところにシャープロゴが点在しているため、一目見た感覚では「まるでシャープ」なブース構成になっている。
協業相手のUMC社はスロバキアに本拠を置く2003年創業の若い企業。2015年にヨーロッパにおけるシャープのブランディング権を買収し、テレビ事業のマーケティングを担う。音声部ではハーマンカードンとパートナーシップを結ぶ同社がシャープと協業した理由は、キーテクノロジーのIGZOに高い価値を認めたためである。
カンファレンスに登壇したシャープ・ディスプレイカンパニーの桶谷大亥社長は、省エネ・省スペース・高解像度・高応答速度という4つの観点でIGZOの利点を訴え、同社が持つ次世代のテレビ技術をアピールした。省電力でデザインの自由度が高く、高解像度で残像感の少ない映像美を実現するIGZOディスプレーは、フレームレスのフラットモニターやスマートフォンなどの携帯デバイスのほかに、円形にして自動車用マルチメーターに搭載され、あるいはVRデバイスなどへの応用が可能だとしている。
同社のパネルは航空機分野でも広く採用されており、高い技術力と信頼性に支えられたブランド力を保っている。ヨーロッパでの展開を基に、幅広い分野でIGZOパネルの活用を目論むシャープ。力強い復活の狼煙はヨーロッパから上がっている。
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