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組むなら大手か、ベンチャーか? 障壁を乗り超えるには?

泥臭いで一致?パナソニック、村田製作所、三井不動産の新規事業開発

2016年09月05日 07時00分更新

既存の事業を邪魔しにくいリプレイス型を進めた三井不動産

 続いてコメントした三井不動産の光村氏は、「5種類のイノベーションと『顧客の3階層』との相関関係」という図版を元に、定義がぶれがちな新規事業のキャリブレーションからスタートする。

5種類のイノベーションと『顧客の3階層』との相関関係

 光村氏は「レッドオーシャンに関わることはすべて新規事業というわけではない」と述べ、新規事業を①商品ラインナップを拡充する「シェア拡大型」、②既存事業のやり方を変える「リプレイス型」、③グローバル展開などを軸にした「市場横展開型」、④ベンチャーへのM&Aなどを仕掛ける「オープンイノベーション型」、⑤マーケットが価値に気づいてないという「ブルーオーシャン型」などに分類した。①と②は既存の事業の延長なので手を付けやすく、効果も得られやすいので「サラリーマン的な評価も得やすい」(光村氏)というもの。光村氏は、②にあたるリプレイス型の新規事業として、三井不動産が出資したリビングスタイルという会社の事例を披露した。

三井不動産 31VENTURESアクセラレーター 光村圭一郎氏

 リビングスタイルは60万点くらいの家具のデータを持っているVRベンチャーで、VR上でマンションの間取りに仮想の家具を設置できるサービスを展開している。これだけだと単に顧客満足度の向上だけだが、実際はここから家具の販売につなげていきたいという。「引っ越しの際は家具の販売も多いけど、今まではマンション販売のオプションとしてご提案するだけにとどまっていた。それをマンション選び・部屋選びのタイミングから入っていって、売り上げにつなげていく」(光村氏)というのが目的だ。

 ガチ鈴木が光村さんに得意領域を聞くと、「野心的には左側(ブルーオーシャン型)がやりたいんですけど、会社の中でもわかりやすさや既存の事業が反対しないという意味では右側(シェア拡大型、リプレイス型など)に寄ってくる」と語る。不動産業界では従来型の持続的イノベーションですら滞っているところもあるが、やり方を再考するだけでもさまざまな事業が掘り起こせるという。一方、ブルーオーシャン型の方は圧倒的にスタートアップの方が進んでおり、マネタイズの実験をどんどん進めているというのが光村さんの実感。こういう事業は、スピードの遅い大手が自ら仕掛けるより、スタートアップと組んでいった方がよいという。

イノベーションにオープンは必要か? ベンチャーと組むのが望ましいのか?

 残り15分というところで、クロストークのネタとしてガチ鈴木が出したのは「イノベーションにオープンは必要なのか?また、組むならベンチャーが望ましいのか?」というお題だ。

 牛尾氏は、「オープンが必要かというと、それでもない。いろんなやり方がある中で、必要な方法を選択すればいい。ただ、間違いなく、1つの企業、限られた人材で新しいモノを生み出すのは限界なので、多様性という意味ではオープン性は必須ですね」と語る。では、外の人になにを求めるのか?「イノベーションって『ひょんなこと』から生まれるじゃないですか。だから、『ひょんなこと』を起こそうと思うと、思いもかけないことをいう人が必要になる。その期待感ですね」(牛尾氏)。

製造業の関係者も多く集まったイベントでのディスカッションの模様

 実際、業務時間外のハッカソンから新規事業がスタートした中村氏は、まさに「ひょんなこと」が起きたという事例。中村氏は、「オープンかはわからないけど、強みを持ち寄るのは絶対必要。もしくはまったく事業領域の異なる人と話すことに慣れることは大事だと思います」と語る。また、組織改革へのインパクトを考えると、モノカルチャーの大企業の人が、ベンチャーと話すことは特に重要だと感じているという。

 光村氏は強みを持ち寄るという意味ではオープン性は必要だが、ベンチャーと組めばよいかはケースバイケース。持続型イノベーションであれば、規模の経済も働くので、大手同士のタイアップでもいいという。とはいえ、「ベンチャーと組むと魔法のようにスピードが上がると思いこんでしまう人もいるが、(ベンチャーと自社では)人でのかけ方、リスクの取り方、時間の置き方などが違うということを理解できるマネージャーがいなければ、大手が出て行っても、かえってベンチャーに迷惑だと思う」と指摘する。

 マネージャという観点では、中村氏は「上のマネジメントが全員理解してくれていたのでラッキーだった」という。とはいえ、リスクとリソースの分配をきちんと理解できるマネジメントは少ないし、シェア拡大で事業を成長させてきた事業部に理解してもらうのはそれなりの苦労は必要だという。

 牛尾氏の新規開発事業部は人が増え続けており、現在はすでに50名を超えているという。「もっと事業になるモノを探して来いよということで、1年の期限付きで開発テーマを探すため、新規開発事業部に送り込まれる人材もちょくちょくいます」と牛尾氏は語る。こういう人こそ、オープンイノベーションの取り組みで、外に連れ出した方がよいという。

 最後3氏はまとめとして、「方針を決めきって、泥臭いことをコツコツやるしかない」(中村氏)、「40分は短かったので、上の階で話しましょう(笑)」(牛尾氏)、「地味なことが多いので、新手法というほど立派なモノはない。あと、体系的に理解することは重要」(光村氏)と語り、セッションを締めた。大手2社の製造業の新規事業開発に加え、アクセラレーターの立場の三井不動産が入ることで話が膨らんだセッション。IoTのようなプロジェクトで苦しんでいる人には、けっこう参考になる話だったのではないかと思われる。

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