なぜMCJグループはベンチャー支援をするに至ったのか
MCJとスタートアップの素敵な関係 動きの速い時代の“ものづくり”のために
スタートアップに足りない要素を、日本全国約70店舗で補完する
ユニットコムのコラボレーション事例
ハードウェアスタートアップ企業はいくつも登場しているが、その多くはネット販売に頼っており、ユーザーとのタッチポイントが少ないのが現状だ。北海道から沖縄まで日本全国約70店舗をかまえる「パソコン工房」「GOODWILL」は、ハードウェアスタートアップにとって有益な“インフラ”として活用されつつある。
石田氏が紹介したのは「Qrio Smart Lock」とのコラボレーション事例。Qrioは当初ウェブ限定で販売を行なってきたが、スマートロックという製品の性質上、購入前にセキュリティーや設置への不安をウェブだけでぬぐうことは難しかった。そこでユニットコムとタッグを組み、Qrioの貸出や設定・設置サービスを店舗で提供。全国15拠点で展開することで、ウェブ販売に足りない要素を補うことに成功したという。
続けて石田氏は「ITリテラシーが高いお客様が多いことも、PCパーツを扱う店舗ならではのメリット」と話す。クラウドファンディングで勢いよくアーリーアダプターが飛びついてきたが、一巡すると落ち着いてしまうことも多い。次の層にリーチしたいと考えるスタートアップにとって、リアルな店舗に製品を置けることは非常に有効な手段だろう。安井氏も「基本的にハードウェアスタートアップは“今までになかったもの”を開発しています。今までなかったものを買ってもらおうとしたときには、やはり実際にユーザーに体験してもらうことが重要だと思うので」と話す。
さらにユニットコムでは、法人営業の拠点も店舗とともに全国に置いている。これにより、大型のアミューズメント施設やシェアハウスなど、ベンチャーが当初想像していなかった販路が開けているという。
このように、ものづくりに必要な一貫した価値を持っていることがMCJの強みだ。既存のベンチャーキャピタルとは異なる付加価値を用いて、新しい形のベンチャー支援を行なっていると言えるだろう。「ユニットコムでは製品修理のビジネスもひっくるめて“対面によるサービスの支援”を行なうことができます。スタートアップの皆さんにはいま何が必要かに応じて、我々を利用していただければと思っています」(石田氏)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります