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なぜMCJグループはベンチャー支援をするに至ったのか

MCJとスタートアップの素敵な関係 動きの速い時代の“ものづくり”のために

2016年09月07日 07時00分更新

スタートアップに足りない要素を、日本全国約70店舗で補完する
ユニットコムのコラボレーション事例

ユニットコム 石田雅人氏

 ハードウェアスタートアップ企業はいくつも登場しているが、その多くはネット販売に頼っており、ユーザーとのタッチポイントが少ないのが現状だ。北海道から沖縄まで日本全国約70店舗をかまえる「パソコン工房」「GOODWILL」は、ハードウェアスタートアップにとって有益な“インフラ”として活用されつつある。

「パソコン工房」「GOODWILL」。全国70拠点の“街のITステーション”を持つユニットコム

 石田氏が紹介したのは「Qrio Smart Lock」とのコラボレーション事例。Qrioは当初ウェブ限定で販売を行なってきたが、スマートロックという製品の性質上、購入前にセキュリティーや設置への不安をウェブだけでぬぐうことは難しかった。そこでユニットコムとタッグを組み、Qrioの貸出や設定・設置サービスを店舗で提供。全国15拠点で展開することで、ウェブ販売に足りない要素を補うことに成功したという。

ユニットコム店舗ではこれまで様々なコラボレーションを実施してきた

新製品を全国のユーザーへ届ける

 続けて石田氏は「ITリテラシーが高いお客様が多いことも、PCパーツを扱う店舗ならではのメリット」と話す。クラウドファンディングで勢いよくアーリーアダプターが飛びついてきたが、一巡すると落ち着いてしまうことも多い。次の層にリーチしたいと考えるスタートアップにとって、リアルな店舗に製品を置けることは非常に有効な手段だろう。安井氏も「基本的にハードウェアスタートアップは“今までになかったもの”を開発しています。今までなかったものを買ってもらおうとしたときには、やはり実際にユーザーに体験してもらうことが重要だと思うので」と話す。

 さらにユニットコムでは、法人営業の拠点も店舗とともに全国に置いている。これにより、大型のアミューズメント施設やシェアハウスなど、ベンチャーが当初想像していなかった販路が開けているという。

 このように、ものづくりに必要な一貫した価値を持っていることがMCJの強みだ。既存のベンチャーキャピタルとは異なる付加価値を用いて、新しい形のベンチャー支援を行なっていると言えるだろう。「ユニットコムでは製品修理のビジネスもひっくるめて“対面によるサービスの支援”を行なうことができます。スタートアップの皆さんにはいま何が必要かに応じて、我々を利用していただければと思っています」(石田氏)

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