なぜMCJグループはベンチャー支援をするに至ったのか
MCJとスタートアップの素敵な関係 動きの速い時代の“ものづくり”のために
パートナーシップを組むなかで見つけた、新たな可能性
マウスコンピューターのVRコラボレーション事例
一方マウスコンピューターおよびユニットコムでは、MCJのリリース以前にもそれぞれが独自でスタートアップ支援を行なっていたという。マウスコンピューターは、個人から企業まで様々なパートナーとタッグを組むなかで見つけた事業の可能性があるようだ。同社は一般コンシューマ向けの「mouse」、PCゲーマー向けの「G-Tune」、クリエイター向けの「DAIV」など、ニーズに対してPCブランドを立ち上げ、それぞれ異なるメッセージを打ち出している。ここ数年のスマートフォンの普及とともに「PCの必要性の低下」が叫ばれるなか、杉澤氏は新たに、PCにしかできないことを探していたという。特に追いかけ続けてきたキーワードが「VR」だ。
開発者向けVRキット「Oculus Rift DK1」が登場した2013年。杉澤氏は、アーリーアダプターや有志団体との出会いがあったそうだ。まさに「PCを必要とする人たち」とのコミュニケーションを重ねるうち、たとえば個人同士のコミュニティーでは、VR体験イベントのために大規模な会場を借りることができない場の問題や、VRに用いるハイスペックPCを個人で複数台用意することが難しい機材の問題も見えてきた。
そこでマウスコンピューターは、VRに対して「攻め」の姿勢を持つ個人や企業、コミュニティーなど、規模の大小を問わず関係性を築くことに注力する。杉澤氏が「VRあるところにマウスありと思っていただければ」と語るとおり、無償での機材協力も数多く実施してきた。現在では、機材協力をしていなくてもイベントでマウスコンピューターのPCが使われているケースも多く見受けられるようになってきたという。
関係を築きながら進めてきたデベロッパーたちとの議論は、製品開発でも役立っていると杉澤氏は語る。例えば“持ち運べるデスクトップPC”をうたう「LITTLEGEARシリーズ」は、「VRを盛り上げようとする人たちとの出会いがなければ思いつかなかった製品」(杉澤氏)だという。
新しく立ち上がるジャンルと積極的に関わることが、本業であるPCビジネスに対してプラスに働いていった。
「VRに限らず、PCのビジネスを伸ばせる可能性を求めています。スタートアップの皆さんは様々な発想から新しい体験の開発を検討されていると思いますが、体験をともなう際にはやはり機材だったり、ノウハウが足りない部分があると思います。ぜひ気軽にお声かけください。弊社ならこういった協力ができるかもとディスカッションし、お互いに伸びていけるようなパートナーシップが組めればと思っています」(杉澤氏)
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