外出中にちょっと利用できるWi-Fiのホットスポットは便利な存在ですが、最近はLTEのほうが速度が速い、なんてこともありますよね。
しかし、ニューヨークにある「LinkNYC」は通信速度が200Mbps越え、しかもUSB充電端子も備え、タブレットを使ってちょっとした検索もできるスグレモノなのです。これはぜひ日本にも設置してほしい!
市だけではなくクアルコムなどの名だたる企業が参加し、提供
LinkNYCとはニューヨーク市政府が中心となって、使われなくなった公衆電話を置き換える目的で設置されるデジタルキオスク。
この手の装置の設営にはなにかと税金がかかるものですが、LinkNYCは大型のデジタルサイネージを搭載することで、その広告収入などで運営費をまかなうという新たなビジネスモデルを採用しています。
つまり、ユーザーとしては完全フリーでサービスを利用できるわけです。このLinkNYCの設置コンソーシアムに参加しているのは、クアルコムやコムマークなど。クアルコムが絡んでいると聞くだけで、通信環境はかなり期待できます。
LinkNYCは2024年までに、ニューヨーク市内に7500スポットの設置が予定されています。現在はまだ数は少ないものの、3番街、8番街のふたつの大通りにはくまなく設置されています。
今後は他の道路への設営も進むでしょう。ひとつのデジタルキオスクからのWi-Fiは周囲150メートルまで利用可能とのこと。
場所によってはすぐそばにほかのキオスクが設置されているので、移動しても接続しなおすことでほぼそのエリア内は完全無料でWi-Fiを使うことが可能です。
LinkNYCを探すのは簡単。上記道路ぞいを歩いていれば、大型のデジタルサイネージがすぐに目につくからです。
ディスプレーは55型で、広告やLinkNYCの案内が常時流れています。よく見るとディスプレーの片隅に「BETA」とあるので、現在はテスト運営中のようです。今後さらに機能が追加されていくのでしょう。
Wi-Fiスポットに加え、タブレットや充電機能も提供
LinkNYCを側面から見ると意外と薄く、道路上で邪魔にならない大きさであることがわかります。その下の方にはタブレットが組み込まれており、自由に操作が可能です。
さらにその下には10キーパッドが見えますが、これは無料電話をかけるときに使うもの。あらゆるサービスが無料で使えるのです。
なにはともあれ、まずはWi-FIを使ってみましょう。SSIDは「LinkNYC Free Wi-FI」。利用にはメールアドレスの登録だけが必要で、すぐにつながります。
さっそくスピードテストをしてみたところ、下りは200Mbps、上りは100Mbpsを超えました。これはそこらの無料Wi-Fiより快適どころか、LTE回線を使ったローミングや現地プリペイドSIMより高速か’も。恐ろしい速度です。
タブレットの下側には、雨水が入らないよう下向きに設置されたUSB端子が2個あります。これはスマホなどの充電に使えます。
電池が切れてもここで充電しつつ、高速Wi-Fiでネットアクセスもできるのですから、なかなか便利です。もちろん単純に充電だけの用途に使っても問題ありません。
また、約10型ディスプレーのタブレット画面をタップするとホーム画面が現れますが、アイコンが5つ並ぶだけとシンプルなつくり。いずれここにも広告が配信されるのかも。
このタブレットから利用できるのはブラウザーを使ったネットアクセス、市内通話、警察への緊急通話、Googleマップの地図検索とシンプル。
タブレットはAndroidベースなので、使い勝手は市販の製品と変わりません。ブラウジングは日本語の表示もオーケーですが、日本語入力は残念ながらできないようです。
バッテリー食いな「Pokémon GO」のプレイにも最適
LinkNYCの設置場所を歩いてみると、市民や旅行者が結構使っていました。その光景を見ると、みなさんちょっとかがんで使っています。
これはタブレットの設置の高さが車椅子を意識したものになっているからなのです。実際に車いすでここを使っている人もいましたが、ちょうどいい高さで使いやすいようでした。このあたりの配慮はさすがです。
てなことで、USBケーブルだけを持ち、手ぶらで8番街または3番街だけを行き来することも可能です。ポケモンGOをやるのにもデータ通信回線は不要、LinkNYCのWi-Fiだけでなんとかなっちゃいます。
モバイルバッテリーを持っていなくても、どこでも充電できるのはとても便利。早くニューヨークのほかのエリアにも設置してほしいものです。
カフェで利用できる場所もあり、更なる展開に期待
また、キオスクのそばにカフェがあれば、PCを出して快適なネットアクセスも可能。仕事や作業もはかどりますね。
ニューヨークのカフェは大抵無料Wi-Fiを提供していますが、速度は下り数メガbps程度のものも多く、LinkNYCの速度にはかないません。
外観もスタイリッシュなLinkNYCのデジタルキオスクは、街の景観にも溶け込んでいます。今後設置場所が増えていけば、ニューヨーク市にとってなくてはならない公共インフラになっていくでしょう。
この取り組みはぜひ他のアメリカの都市にも導入してほしいもの。もしもオリンピックが開催される東京に設置されれば、海外からの渡航客にも喜ばれるでしょうね。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります