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2年で上場2社の高打率をほこる“TBS”のCVC設立の経緯

2016年08月01日 06時30分更新

経営陣を動かした思いとは

 TBSによるベンチャー支援のきっかけとなったのは、民放キー局を中核とした巨大メディアグループとしての危機感であった。

「既存のメディアは昔と比べてパワーが落ちているのでは、とよく言われます。やはりITの進展などで世の中の外部環境が急激に変わっている中でも、我々のような国から免許を受けている放送事業者というのは、どうしても安全志向になってしまうので、すぐには新しい波に乗れない側面があるのも事実です。設備投資は大型に、意思決定は過去の継承型になることも多く、このままではいけないという思いが日々強くなっていました。そこで、外部の力をうまく使って新しいことに挑戦しようと考えたんです」と片岡氏は振り返る。

 2013年当時、経営戦略部に在籍していた片岡氏は当初ベンチャー投資はリスクが高いため否定的な報告をあげていたが、上司の「自分の目で確かめてみろ」というひと言から、プロジェクトチームを率先してベンチャー業界に飛び込んだ。その後、まさに起業家の熱量の高さを直に体感し、上司と共に積極的なベンチャー投資の必要性を経営陣に力説した。同様の危機感を抱いていた経営層もすぐに理解して、プロジェクト発足後、わずか3、4ヵ月程でCVCの設立へと至ったのである。

「もともと視聴者の皆さんに向けて見た事のない感動や驚きを届けたいという気持ちで誰もが仕事をしていますから、新しいことに挑戦するのが本来は好きな会社なんですね。なので、危機感ももちろんですが、それ以上に『おもしろいことにチャレンジすべし』という思いを経営陣の間にも強く感じました」(片岡氏)

 片岡氏の先見性と提案力、そして社内から出されたアイデアをすぐに実践に移していくというスタイルは、今に始まったことではない。そこで次回は片岡氏の新入時代からの新規事業開拓のエピソードを紹介することにしよう。

東京放送ホールディングス 次世代ビジネス企画室投資戦略部 片岡正光部長

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TBSイノベーション・パートナーズ

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