7月1日、アメリカ放題利用時に届いた1通のSMS
それはある6月30日の昼下がり(米国の太平洋時間)、所用で米サンフランシスコ市内の銀行ATMで順番待ちをしていた筆者は、手持ちのiPhoneがSMSを受信をしたことに気づいた。
このiPhoneは日本でソフトバンクと契約しているiPhone 6で、普段の持ち歩きやApple Pay利用に重宝している。最大のメリットは渡米機会の多い筆者にはありがたい「アメリカ放題」が利用できる点で、飛行機が米国の空港に着陸してフライトモードを解除するとすぐにSprintのネットワークに接続してインターネット接続ができる(米デルタ航空は着陸後すぐに携帯電話の利用が許可されている)。
しかも、キャンペーン期間中でデータ通信は無料という太っ腹さだ。ところが、受信したSMSに書かれていたのは「アメリカ放題の無料サービス終了」と「7月1日から別途有料のオプション契約が必要」という説明だ。実際、この筆者の受け取ったSMSの文面をTwitterに投稿したのを見て、初めてアメリカ放題無料期間終了を知ったという人は多かったようだ。
筆者がSMSに気が付いたのは日本時間でいうと7月1日の早朝なので、すでに無料期間は終了してしまい、有料契約期間に突入してしまっている。7月1日からアメリカ放題の契約申し込み受付開始とあるものの、6月末時点で米国に入国してしまっている筆者には寝耳に水の話だ。
「データ定額パックを5GB以上契約のユーザーは無料」との説明があるが、実は筆者も自身のソフトバンクでの契約プランをよく把握しておらず、この時点で無料対象となるかはわからなかった。また、月額980円で利用可能ということが記されていたので、「残り滞在2日だし、少なくとも980円以上は余計に請求されることはないだろう」と油断して放置していたのがいけなかったのかもしれない。
後日請求を見てびっくり
ところが帰国から10日ほど、7月14日朝にTwitterのタイムラインを眺めていると、本田雅一氏のツイートがふと目に入った。前述のアメリカ放題の7月1日以降の利用で高額請求を受けているというユーザーの話であり、「もしや」と思って自分もMy SoftBankのページを確認してみると、7月分はいつもより9000円近く(正確には8940円)高く請求されている。
ほかにも8万円やら130万円やら思わずドキッとするような請求が書かれているが、これらは定額通信プランの効果により相殺されているようだ。というわけで、8940円の請求根拠は「海外パケットし放題定額」サービスの2980円が3日分請求されたものだと推察できる。筆者が米国西海岸を離れたのは7月2日の昼過ぎなので、日本時間でいうと7月3日の早朝、つまり3日分の請求というわけだ。
前出のツイートで紹介されたまとめサイトの情報によれば、やはり同じように高額請求を受けたユーザーが交渉の末に減額措置をしてもらった話が書いてある。実際、筆者も少なくとも初日は意図せずして課金が行なわれてしまったこともあり、銀座にあるソフトバンク直営店まで交渉にうかがった。
カスタマーサポートセンター経由での対応で協議の結果、「海外パケットし放題定額」の3日分についてはいったん請求を取り下げて、改めて7月1日にさかのぼって「アメリカ放題」を適用し、7月分の追加請求としては同利用料金の980円のみということで決着した。
筆者の契約プランは「ホワイトプラン+パケットし放題フラット」のため、今回のアメリカ放題の自動適用となるプランではない。そのため、別途改めてアメリカ放題を契約する必要がある。
今回は8940円のみの請求なので、最悪自身のミスということで納得することも可能な水準だったが、もし滞在日数が1週間や10日を超えていたらなかなか厳しい金額になっていたと考える。その意味で、もし米国にソフトバンクのアメリカ放題対応機種(iPhone 6s/6s Plus/6/6 Plus/SE、12.9インチ/9.7インチiPad Pro、iPad Air 2、iPad mini 3/4)を持ち込もうとしているユーザーは、ぜひ注意した上で事前にアメリカ放題を契約することを忘れないでほしい。
今回の騒動は、何が問題なのか?
今回の件の最大の問題はアメリカ放題の「仕様」にある。「そんなのローミング接続で使うのが悪いんじゃん」と思う方もいるかもしれないが、アメリカ放題の場合は「Sprintの電波さえ掴めば、勝手にデータ通信を開始する」ようになっている。
通常、海外でのローミングを利用したデータ通信では、設定メニューで「データローミング設定を“オン”」にしない限りはデータ通信は開始されない。
ところが、アメリカ放題では「データローミングが“オフ”の状態」でもデータ通信が開始され、あたかも日本にいるかのように利用できる点が特徴だ(実際、割り振られるIPアドレスも日本国内のものであり、国外では接続制限のあるサービスもそのまま利用できる)。つまり、モバイルデータ通信そのものを無効化する以外にSprint経由のデータ通信を止めることはできない。
これがアメリカ放題適用中であれば、何の問題もないのだが、前述のように自動適用対象外のユーザーであってもSprintに接続した瞬間にデータ通信が開始され、アメリカ放題の月額980円の適用なしにデータ通信が利用可能になり、結果として高額請求を生むことにつながってしまう。
この「意図せずつながってしまう」という部分が問題だ。しかも、有料サービスということもあり、事前申請なしではオプションは適用されないという部分も配慮がアダになってしまっていると考える。
冒頭でも書いたように、少なくとも筆者の周辺では6月30日でのアメリカ放題無料キャンペーン終了を把握していたユーザーは非常に少なく、告知上の問題もあったと考える。
これについてソフトバンク広報に確認したところ、告知そのものはホームページ上のお知らせに6月7日時点で、また米国に滞在していると認識されたユーザーには6月24日以降にSMS経由での通知を行なっているという。
筆者が受け取ったSMSがそれなのだろう。ただ、ホームページでの告知開始から1ヵ月経っていないこと、さらにSMSの送信対象が6月最終週の米国滞在ユーザーのみという狭い条件だったため周知に至らず、特に6月から7月の際どい期間にかけて渡米したユーザーの中には、高額請求に引っかかってしまったケースもあると予想する。
とはいえ、ソフトバンクでiPhone 6以降を契約し、さらにこの限られた期間に渡米したユーザーは少ないようで、「現時点で多くのクレームがきているかは把握できていない」とのこと。個々のクレームも個別対応に収まっていると考える。
渡米の可能性のあるユーザーは
アメリカ放題への事前加入をオススメ
いずれにせよ、今回の最大の問題は「米国に行くとSprintのネットワークに勝手に接続される」という点にある。この上で高額請求を防ぐ現時点での最良策は「アメリカ放題に事前加入しておく」ことで、iPhoneを所持していて、少しでも渡米の可能性のあるユーザーは契約時のオプションとしてアメリカ放題を必ず加えておくことをオススメする。
渡米時したときは月額980円が請求され、仮に渡米しなかった場合には、アメリカ放題の請求は発生しないので追加支払いは0円となる。一方で、ソフトバンクには、アメリカ放題が有料オプションとなった以上は、事故のないよう何らかの対策や告知をしっかりお願いしたいと考えている。
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