目指すは物流業界の標準となるプラットフォーム作り
Amazonと異なる流通最適化とは?オープンロジの倉庫ハック
雑誌流通を目の当たりにして物流代行の必要性を痛感
そもそも、物流業務の請け負いは、実際には容易ではない。インターネットやITが普及し、「業務改革」、「ビジネスを新しいスタイルへ変革する」といったスローガンは決して絵に描いたものではなくなってきており、実際にレガシー領域で新たなビジネスを起ち上げたベンチャー企業も少なくない。
だがその中にあって現在でも、「外から見えにくく、レガシーな世界のままになっているのが物流業務」だと伊藤氏は指摘する。インターネット、Eコマースの台頭により、「例えばメルカリのように、個人やセミプロでも自分で作ったものをアプリから売ることができるといった新しいビジネスが登場している。一方で、商品販売そのものに対して不可欠な物流について、根本から新しいアプローチを行っている企業はまだ存在していない。誰もやっていないからこそ、新たに事業として取り組む意義があると感じ、物流を請け負う、オープンロジ創業を思い立った」(伊藤氏)
そもそも伊藤氏がこのような物流業務を請け負うことがビジネスになると感じたのは、前職での経験からだった。
伊藤氏は雑誌を買いたい人と出版社を結びつけるビジネスを行っているFujisan.co.jpを運営する富士山マガジンサービスの創業メンバーの一人。Fujisan.co.jp時代に物流代行業務を最前線で担当していた。
初期段階のFujisan.co.jpでは、オーダーがあると出版社に依頼を行い、商品を発送してもらう形式を採用していた。しかし大手以外には、発注を受けた雑誌を発送する専任の担当者は存在しない。
「発注を受けたら即発送が基本ではあるが、時には編集者自身が発送を請け負うケースもあった。受注はしているものの『申し訳ないですが、現在出張中で戻ってから発送しますので!』といったケースも。また専任担当ではないため、注文した号とは違う号が届いたというクレームも多く、物流代行を自社で行う必要性が顕在化していた」
雑誌の物流代行は、出版社が個々に行っていては規模が小さいため、配送料、保管料を含めコストメリットは出ない。しかし、複数の出版社の案件をまとめることでスケールメリットが生まれてくる。
提案を行ってみると、Fujisan.co.jpで構築した物流代行の仕組みに乗ってくる出版社が何社もあった。最終的には印刷所からFujisan.co.jp側の倉庫に商品を納入し、返品も含めてFujisan.co.jp側にフィードバックする仕組みを自社で構築。出版社は印刷所に指示を出すだけで、配送も含めた物流部分はFujisan.co.jpがバックエンドで業務を担当する仕組みを作り上げた。物流代行という事業に必要性があり、十分ビジネスになることを証明したのだ。
「この仕組みを出版以外の分野で提供していけば世の中に受け入れられるのではないか。そう考えて、起ち上げたのがオープンロジになった」
2013年12月にオープンロジは設立となったが、Fujisan.co.jpでの経験があるので起ち上げも容易だったのでは?と聞くと、「扱っていたのは雑誌や書籍だけだったが、オープンロジで取り扱う商品はさまざま。似ているのはビジネスの土台だけだった」と前職時代のノウハウをそのまま活用できたわけではなかったようだ。
いったい現場での煩雑なオペレーションをどのように乗り越えたのか。
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