オーティコン補聴器は7月5日、周囲360度の音を聞くことを重視した新しい補聴器「オーティコン オープン」を発売した。予想実売価格は両耳セットで約100万円。
補聴器は一般的に、指向性を高める(特定の位置の音だけを集中的に拾う)ことで単一の話者の話が聞き取りやすいようにする。しかし、パーティー会場など大勢が集まって話をするような場面では、周囲の音が聞き取れないことで逆に聞く対象を絞れず、結果的に認知負荷がかかって疲れやすくなる。
オーティコン オープンは周囲360度の音が聞き取りやすいように工夫することで、一般の補聴器と比較して疲労度の軽減や会話の覚えやすさが20%向上し、会話の理解力は30%向上するという。
具体的には「オープンサウンドナビゲーター」という技術を開発。周囲の音環境を分析し、さまざまな音源を検出。その音源間のバランスをとりつつ、バックグランドノイズを抑制する。
また、左右の補聴器を使うことで、音源の位置を検知する「音空間認知機能 LX」を搭載。左右の補聴器が情報を交換し合い、音源の正確な位置を割り出す。
この機能を実現するにあたり、「Velox」(べロックス)という11コアの処理エンジンを採用。毎秒100回以上の音分析と毎秒500回のノイズ低減などを行なえる高速プロセッサーとなっている。
左右の補聴器は「NFMI」という近距離無線技術で接続されるほか、Bluetoothにも対応しており、スマートフォンなどとの接続も可能。スマホの音楽を聴けるのはもちろん、「IFTTT」と呼ばれる各種ウェブサービスを連携させるサービスを利用可能で、Eメールの受信通知などを補聴器で知ることができる。
このほか、テレビ用の音声アダプター(税別希望小売価格 2万8000円)も用意。このアダプターを介することで、テレビの音声を補聴器で聞くことができる。
オーティコンはデンマークに本社を置く補聴器業界トップクラスの企業で、創業は1904年。オーティコン補聴器はその日本法人で、1973年から営業を行なっている。
同社プレジデントの木下 聡氏は、「補聴器のイメージは年寄りやかっこよくないなど、ネガティブなのが現状」とする一方で、労働人口に占める65歳以上の割合が10%以上となっている現代においては「補聴器はもっと広がってもいいマーケット」であると主張。
さらに、補聴器により認知症の加速が食い止められるとの研究結果もあり、「聴覚はヘルスケアにつながる」として補聴器の利用を積極的に勧めていきたい意思を示した。
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