あいちベンチャーハウスとトーマツベンチャーサポートが共同で、中部地方のベンチャー企業のサービスを紹介、メンタリングすることを目的にしたイベント“第1回スタートアップピッチ”を2016年6月23日に開催した。
開催場所は名古屋にある“あいちベンチャーハウス”で、愛知県がIT産業の集積と発展を図ることを目的に、創業5年未満のITベンチャー企業に対して、事業スペースを賃貸無料で3年間提供するシェアオフィス兼インキュベーション施設だ。インキュベーションマネージャーが入居企業に対して、技術、経営などをビジネスサポートを行なう。
タイで人気の訪日観光アプリ
登壇企業1社目のエヌブリッジはインバウンドアプリの開発を行なうベンチャー企業。タイの訪日観光客に特化したアプリ『JapanTip』を開発、2016年2月の公開からタイ国内ですでに5000ダウンロードを超え、訪日観光アプリでは上位の人気となっている。特徴はタイ人の特性、趣向にマッチしたものを開発していることで、上田晋作代表取締役は「自分がウケることと相手のウケるツボは違う。外国人になるとさらに外れる。日本人がいいと思うものは、外国人にとって必ずしもウケがいいとは限らない」と説明する。
特性についてはタイ人は文字よりもビジュアルを好むことから、日本の観光情報についてビジュアルを前面に出したユーザーインターフェースとし、地図もただ表示するのではなく方角を示すコンパスを大きく表示させるなどの工夫をしている。また趣向に関しては日本在住5年以内のタイ人が実際に日本の良いと思うものを記事にして掲載している。たとえば中部地方で言えば、日本人が良いと思う伊勢神宮はウケが悪く、長野県の地獄谷野猿公苑が1番人気で、ほかにも日本人がまったく知らないような場所が上位になっているという例もあるという。
イベント写真の共有サービス
続く2社目、ラポの『スマラポ!』はイベント写真の共有サービスだ。結婚式や同窓会など人の多く集まるイベントで、スマホで撮った写真をリアルタイムに共有できる。利用はイベント用に発行したQRコードや専用のURLにアクセスして、写真をアップロードするだけで1ヵ所に写真が共有される仕組みだ。専用サイトではアップロードされた写真が表示され、プロジェクターを投影して、イベントを盛り上げることができる。
同様のサービスは結婚式を対象にしたものなど競合はいるものの、日置リン代表取締役はあらゆるイベントで利用可能なところを同サービスの強みとして、プロカメラマンの撮った写真もフラッシュエアを利用してサービス内で利用できるとしている。今後は中国、台湾、シンガポールなどへ進出する考えだ。
ブルーオーシャンの物理教育
多くの人が苦手として、脱落率も高い“物理”をビジュアライズに楽しく体感できるサービスを開発しているのが、登壇3社目、個人開発者の植田達郎氏。物理に特化した教育はブルーオーシャンと、スマホアプリを活用するアプリによる物理塾を開業したいとしている。開発中のアプリは、物理の数式を“可視化”するもので、映像の中で振ったボールの運動がリアルタイムに図式化され表示される。また移動中の電車の加速度がリアルタイムにグラフになるなど、いま目の前で起こっている現象を表わして物理を身近に感じさせてくれるものだ。
モノづくりの基礎であり、自分のやりたいことを仕事にできるのが物理学だと植田氏は語る。脱落しやすく、教えにくいが少しでも物理学を学ぶ生徒を増やしたいとしている。
イベントではベンチャー起業家、開発者のプレゼンに対してメンタリング、ビジネス面でフィードバックが行なわれた。メンターからは、サービス説明に注力する日本のピッチに対して、アメリカは投資を目的としてビジネスモデルをきっちり説明する違いを例に、「何がしたいかを明確にして、これにお金がほしいというプレゼンを時間きっちりで行なうべき」といった意見も出るなど、内容面だけにとどまらない指導が行われていた。
■関連サイト
あいちベンチャーハウス
スマラポ!
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