週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

いつも見ているネットは表面1%の薄皮一枚!

普通のブラウザーではアクセスできない「ダークウェブ」とは?

2016年07月11日 11時00分更新

Facebookのダークウェブ版ページ。普通にログインして利用できる

ダークウェブを使っても、捕まるときは捕まる

 今回、警察庁の情報技術犯罪対策課に取材し話を聞いた。Torは匿名性があると述べたが、完璧とは言いがたい。色々と穴があり、身元の特定も可能だ。まずは、ダークウェブ上での販売で検挙した事例について。

 愛知県警が逮捕した事案では、ダークウェブ上で銀行口座を売り渡そうとした輩がいた。掲示板で銀行口座や住民票、社会保険証などを売ると書き込むと、客がアプローチしてくれるのだ。実際、現在でもそのような書き込みを確認できる。

今回お話を伺った警察庁 サイバー犯罪対策のウェブサイト

 警視庁(東京)は、ウイルスを販売していた輩を逮捕している。ダークウェブで数万円で購入したコンピュータウイルスをカスタマイズし、ダークウェブやLINEで知り合った人に売っていたのだ。今回は個人の犯行だったが、組織的に行われる可能性もあるという。筆者が確認したところ、ウイルスの価格は5万円前後で、9万円も払えばカスタマイズツールが購入できそうだった。

 3件目は児童ポルノ。手持ちの画像を集中的にアップロードし、販売していたのだ。こちらは京都府警が逮捕している。3件とも、違法にお金を手に入れようとしていたのが、垣間見える。

 「匿名性が確保されている」と信じられていたTorの日本の利用者を、逮捕した事例は上記のほかにもある。日々、情報が警察庁に集まり蓄積されているので、全国の県警が、手法やスキルを開発しているとのこと。サイバー犯罪は国境が無い犯罪で、県境なんかもっとない。そのため全国のサイバー対策犯罪課は横でつながって協力しているという。警察の部署の中では、最も一体感のある部署のようだ。

 今後、ダークウェブ犯罪を厳しく取り締まっていくのか、と聞いたところ

 「ダークウェブだからやるとか、やらないということではありません。事件化できる証拠が揃えば、どんどん検挙していきます」とピシッと答えてくれた。

 実際、素人がTorを自分のPCにダウンロードし、そのままの設定で自宅からアクセスするような場合、身元を突き止めることはそれほど難しくない。それにアメリカ政府はすでにTorを解読しているとも言われており、大規模な犯罪組織をいくつも摘発している。そもそも、銃やドラッグを購入しても税関で摘発されるに決まっている。

 警察庁の担当者も、「実際に逮捕されている人が何人もいるわけですから、Torを使っても犯罪者として検挙されないという保証はありません。面白半分で、そんな犯罪に手を染めることはしてほしくないですね」と言っている通り、馬鹿なことはしないにこしたことはない。

 ダークウェブの壁はすでに穴だらけ、悪いことをすれば普通に捕まると言うことは肝に銘じておこう。興味本位でダークウェブを使うことはやめておくことをお勧めする。


この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります