レノボ・ジャパンは6月30日、神奈川県横浜市みなとみらいの同社大和研究所において、報道関係者を対象にした説明会「大和TechTalk」(テックトーク)を開催した。
ThinkPad事業の現状や、ThinkPad X1 CarbonやThinkPad X1 Yogaの最新状況などについて説明した。また今年夏の発売とアナウンスされていた「ThinkPad X1 Yoga」の有機ELディスプレー搭載モデルの直販価格は、税抜32万3000円になると発表した。
ThinkPad X1 Yoga(有機EL版)の主なスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-6500U(2.5GHz) |
メモリー | 8GB(LPDDR3) |
SSD | 512GB(PCIe NVMe) |
ディスプレー | 14.0型有機EL(2560×1440ドット)、10点マルチタッチ |
I/O | USB 3.0×3、HDMI、Mini Displayport、OneLink+、microSDカードスロット |
通信 | 1000BASE-T(要アダプター)、IEEE 802.11ac、WiGig対応、Bluetooth 4.1 |
本体サイズ | およそ幅333×奥行き229×高さ17mm(最薄部15.5mm) |
重さ | 約1.27kg |
ペン入力 | 対応(ThinkPad Pen Pro-3) |
バッテリー駆動時間 | 約13.3時間(JEITA 2.0) |
IBM PC5150から35年、レノボ・ジャパンからは10年の節目
今年は、IBMが最初のPCとなるIBMパーソナル・コンピュータ「IBM PC5150」を1981年に発売してから35年目、また、日本においてレノボ・ジャパンが設立してからから10年目の節目となる。
レノボ・ジャパンの内藤在正取締役副社長は、「ThinkPadは、オフィスから離れても生産性を維持でき、顧客の成功を支えることを目的に開発してきたツール。これまで使い道がなかった飛行機の待ち時間や、電車の移動時間などを効率的に利用することで、個人の時間を増やすことにも寄与する。エンジニアの一人ひとりが、なぜその機能を搭載しているのかを自分の立場で理解して開発している製品である」と、ThinkPad開発の基本姿勢を示した。
さらに、2005年に、IBMのPC事業がレノボに買収された際に、ThinkPadが変わらないという方針を打ち出し、「ThinkPadの成長のためにはいじりたかったが、3年間はいじらなかった。3年を経過し、変わらないことを感じていただいてから、次の時代への変化を開始した」と振り返った。
ThinkPadを座布団代わりにする、そんな想像もしない使い方にも対応してきた
また、2011年には、NECのPC事業を統合して、NECレノボ・ジャパングループとなったことに加えて、現在のみなとみらいへと大和研究所に移転。堅牢性試験ラボを設置して話題になったことに触れながら、「海外で使われているThinkPadが壊れてばかりいたため、実際に現地の学校を訪れて視察したところ、学生がサッカー観戦をするときに、お尻が冷たいので、ThinkPadを下に敷いているといったように、信じられない使い方をしていたことがわかった。こうした使い方をされても壊れないPCを作るために、堅牢性試験ラボを充実させた」などと述べた。
2012年以降に発売したThinkPadは、第5世代と呼ばれ、その流れは現在まで続いているが、「タブレットや2in1といった新たなフォームファクターの製品を投入したほか、クラムシェルのPCでは、リターン・トゥ・ベーシックの考え方により、薄く、軽く、長時間のバッテリー駆動が可能になることを目指した。また、すべてのThinkPadで同じペンが利用できるようにする点にもこだわってきた」と語った。
大和・米沢の力を結集して取り組む
内藤副社長は、「大和研究所は、米沢の開発、製造拠点とあわせたJAPAN TEAMとして、今後も、日本の開発、製造拠点はこうあるべきだという姿を示したい。PCの誕生は、メインフレームのパワーを手元に置きたいということから生まれたものであり、基本はオフライン。それに対して、スマートフォンは、オンラインであり、クラウドの申し子ともいえるデバイス。この2つがこれからどう融合するのか、それによってオフィスで使いやすく、より効率性を高めるツールはどうなるのかといったことを考えていく必要がある。PCのエンジニアとしてPCだけでやっていては次の時代に対応できない。新たな提案のためには、新たな技術分野へのスキルの拡張が必要である。それによって、顧客に役立ちたいと考えている」と述べた。
新たな技術へのスキル拡張や新たな提案に向けて、大和研究所のなかに疑似ホームを設置。様々な製品や技術を活用した検証も行っていくという。「カメラが家のなかに入ると、なにが便利で、なにが嫌なのかといったことも検証したい。また、音声認識もいまから3年前までは、いくらやってもうまく動かないものであったが、それがいまでは多くの人が利用できるようになっている。こうした技術の進化が、我々の製品にどう生かされるべきかといったことも考えてきたい」とした。
レノボでは、PC事業を担当する組織の名称を、PCSD(PC & スマートデバイス)と呼んでおり、PCだけにとらわれることがないデバイス開発に取り組む姿勢をみせている。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう