6月24日に行われた国民投票の結果を受け、英国のEUからの離脱が日本でも話題になっています。今後は具体的な離脱に向けて、議論が進んでいくことが予想されます。
ついカッとなって海外からガジェットを輸入したり、海外に行くたびにSIMカードを買ったりしている我々にとって、どのような影響があるのでしょうか。
ポンド安で通販サイトに注目
まず注目すべきは、英国の通貨「ポンド」が安くなったという点です。ポンド以外にユーロも大きく売られ、日本円が買われたことで、一時は1ドル=99円台を記録するほどの急激な円高が進みました。
原稿執筆時点では1ポンド=135円前後に落ち着いていますが、これは国民投票が始まった頃の160円に比べて15%以上の下落です。この円高・ポンド安を即座に利用できるのが、英国のオンラインショッピングです。
たとえばスマホやタブレットなら、日本でもよく知られているClove TechnologyやHandtecといったサイトがあります。これらの業者は日本向けに発送してくれる上に、英国内で課せられる20%の付加価値税(VAT)を海外向けに差し引いてくれるのがポイントです。
たとえば英国で199.99ポンドで売られている「Xperia XA」の場合、国民投票前は約3万2000円だったのに対し、現在では約2万7000円と、5000円近く値下がりした計算になります。
長期的には為替レートの実勢値にあわせて価格改定が進んでいくと考えられるものの、それまでの間は「全品15%オフ」のバーゲンセール状態が続きそうです。
海外旅行で爆買いのチャンス
今後、英国が本当にEUから離脱すると、旅行に影響はあるのでしょうか。
おそらく日本から英国を訪れる日本人にとっては、あまり変わりはないでしょう。現在でも英国は、欧州内をパスポートチェックなしで移動できる「シェンゲン協定」に加盟しておらず、「UK Border」で入国審査を受ける必要があります。
このUK Borderでは、EU/EEA加盟国やスイスのパスポートを持っていると、専用レーンを使って簡単に入国することができます(日本人でもこのレーンを使うためのRegistered Traveller制度がある)。英国がEUから離脱するとこのあたりの仕組みが変わる可能性はあるものの、ほとんどの日本人にとって大きな変化はないでしょう。
入国さえしてしまえば、円高のおかげで旅行はずっと楽になりそうです。もともと英国は物価が高かったとはいえ、ようやく日本人が「爆買い」するターンが回ってきたともいえます。
一方、大きな買い物をして帰るときは注意が必要です。欧州からロンドンを経由して日本に帰るような場合、英国がEUから離脱していると、税金の還付申告は欧州内で済ませる必要がある、といった場合が出てきそうです。
SIMカードのEUローミングはどうなる
SIMカードはどうでしょうか。いまから約1年後、2017年6月15日にはEU内のローミング料金が撤廃され、EU内で購入したSIMカードはEU内の他の国でも同じ料金体系で使えるようになります(もちろん日本のSIMは対象外)。
これはEU全体のデジタル市場を統合する「Digital Single Market」構想のもとで進められてきた施策ではあるものの、英国がEUから抜けてしまうと、英国だけ使い勝手が悪くなる可能性もあります。
最近、筆者がよく使っているスペインのOrangeによる「Mundo SIM」の場合、EU/EEA加盟国内で低価格のデータローミングを利用できるものの、そのどちらにも加盟していない国(主にスイス)は非対応。今後、英国の扱いがどうなるか気になるところです。
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