6月22日、グーグルは地図サービス「Googleマップ」に、業種の翻訳情報が追加した。実はこの機能、日本が中心的な役割を果たす形で開発されたものだ。開発を担当した、ソフトウエアエンジニアの須之内 雄司さんとハーマン シェレメティエフさん、そして、マップ全体の開発を統括している、シニア エンジニアリング マネージャーの後藤正徳さんに話を聞いた。
日本語が読めない人にも「街歩き」を!
Googleマップでは、地図上のポイント情報も翻訳対象になっている。例えば、道の名前や駅の名前、有名な観光地などは「自分が設定した言語」で表示されるのが基本だ。
しかし、すべての地点の翻訳が終わったわけではない。
「翻訳が終わっていない部分も、カテゴリーだけでも翻訳し、ぱっと見で旅行者にわかるようにできないか、という発想で進めました」、須之内さんはそう語る。だが、言葉だけだとよくわからない。
「自分がロシア語の地図を見ている、と考えるとわかりやすいかもしれません」とハーマンさんは言う。
要はこういうことだ。
旅行中、行きたいところはいくつもある。観光地のような場所もあれば、単なるコンビニエンスストアやドラッグストアに行きたい、ということもあるだろう。だが、地図には「店の名前」で、しかも現地の言葉で書いてある。それが読めないと、そもそもなんの店がどこにあるかもわからない。ホテルの場所を「駅を出てすぐのコンビニエンスストアを曲がり、蕎麦屋の近く」と教えられても、どれがコンビニでどれが蕎麦屋か分からなければ、やはり意味がない。
そこで、各地点情報のうち「業種カテゴリー」を翻訳し、地図上に併記すれば「全部が翻訳されていなくても役に立つのでは……?」、彼らはそう考えたのだ。例えばコンビニは当然「Convenience Store」。ドラッグストアは「Drug Store」。そして、居酒屋は「Izakaya Restaurant」。レストランであること、そしてそこが「Izakaya」と呼ばれる業態であることがわかることが重要なのである。
実はこの機能、日本で作られているだけでなく、日本からスタートするサービスでもある。そこにはもちろん理由がある。
「文字が近いラテン語系言語は、まだなんとなく理解できます。だから、なるべく文字がが違うもの、英語から離れていて旅行者も多いところ……と考えると、『日本語』が最適だったんです」(ハーマン)
対象言語は、英語・アラビア語・韓国語など19種類。人口でいえば、中国語なども最初に入ってもよさそうに見えるが、「元の言葉から推測が難しい言語」から対応する、という原則に立てば、漢字がある中国語圏よりラテン語系、アラビア語などが優先になった。ここに韓国語が入っているのは、韓国ではもう漢字はほとんど使われておらず、ハングルが基本になっているからだ。中国と韓国のように近い国でも、今回の機能の狙いを考えると、優先度は変わってくる……ということだ。
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