スマホの高性能化もひと段落し、MVNOのSIMも手軽に入手できるようになったいま、セカンドマシンとしてお遊び用や通話専用端末を持つのも悪くありません。ちょっと前には高くて買えなかった端末を中古で買ってサブに使う、なんてこともいまなら簡単にできるでしょう。
ならば思い切って高級ケータイを買うのもおもしろいかもしれません。オークションを見ていると、たまにあの超ラグジュアリーな携帯電話が出品されていることがあります。そう、VERTU(ヴァーチュ)です。
VERTUと言えば安いモデルでも100万円、上は青天井で1000万円もざらなんていう超高級携帯電話。金やプラチナを使うなど素材の高さだけでお金を取っているわけではありません。つくりは高級腕時計のごとくしっかりしていますし、スピーカーやマイクの品質も最高。ディスプレーはサファイアグラスなので保護フィルムいらず。この集合写真は照明の当て方が悪いように見えますが、VERTUの本体の素材がそのまま光を反射してしまうためこうなってしまうのです。
折りたたみ式で日本語も打てる「アクスタ」
VERTUには複数のモデルがありますが、一番下の「Constellation」(コンステレーション)シリーズは定価でも68万円台からと低価格な製品でした。中でもこのConstellation Axyta(アクスタ)は折りたたみ式でコンパクト。毎日持ち運ぶのにちょうどいいサイズでしょう。中古価格はたまに10万円を切ることもあります。この3モデルはいずれも日本モデルなので日本語の入力も問題ありません。しかしすでに5年以上前のモデルなのに、革がめくれたり劣化していないあたりはさすがVERTUです。
ロレックスの中古を買うように、いま買っても十分使い物になるわけです。通信方式はW-CDMA 2100/1900/850/800MHzのみですが、セカンドマシンなら十分でしょう。
VERTUはハンドメイドなので、仕様の組み合わせにより多数のモデルが存在します。Axytaもよく見るとスピーカー部分とキーボード部分がセラミック仕様のもの(中)、十字キーの中心にルビーが埋め込まれているもの(上)、キーボードやディスプレー回りを艶消しに仕上げたもの(下)などがあります。
手に持ってみるとその重さに驚くかもしれません。Ayxtaの重量は174グラム。折り畳み型フィーチャーフォンが100グラムを切っていたことを考えると全く別の製品です。日本でまだVERTUが売っていたころに筆者もAyxtaを1台購入しました。持っているだけでもムフフとうれしくなってしまう、そんな圧倒的な存在感をVERTUは持っているのです。
中古でも数十万円するモデルも
そしてこちらがメインラインの製品である「VERTU Signature S」(シグニチュアS)。スマホ全盛のいまでもVERTUから継続販売されている製品です。こちらは最低価格が100万円以上、中古で出てきてもまだ数十万円はするものの、スリムなボディーに剣をイメージするかのような流れるようなデザインはほかには見かけません。音質も素晴らしく、ポータブルオーディオになるんじゃないかと思ってしまうほど高性能なスピーカーを搭載しています。
本体はネジ状のパーツが多数埋め込まれており、いかにも精密機器、といったデザインになっています。ちなみに、VERTUはいまでも偽物が多数売られています。しかし、偽物を買ってみると、見た目は似ているものの合皮と安っぽい素材の組み合わせにガッカリします。偽物は結局「高いだけの安物ケータイ」、たとえ数千円で売られていても買うだけお金の無駄です。そんなお金があったら1万円の格安Androidを買ったほうが幸せになれるでしょう。
VERTUは元々ノキアの関連会社。なので、フィーチャーフォンのシステムもノキアのフィーチャーフォンの「Series 40」を採用しています。しかし、VERTUはフィーチャーフォンでありながらも無線LANを搭載。ノキアのSeries 40採用機でもこれは非常に珍しい存在です。内蔵ブラウザーは低機能なので快適なブラウジングを望むのは難しいものの、何かのときに役に立つかもしれません。なお、通信方式はSignature SもW-CDMAです。
ブラウザーが使える「クエスト」
どうせならちょっとしたブラウジングくらいしたい、って人にはSymbian S60を搭載したスマホの「VERTU Constellation Quest」(クエスト)が向いてます。定価は50万円からだったので、中古で10万円を切るモデルが見つかることもたまにあります。ただし、このQuestは日本では発売されなかったので、海外版のみとなります。Symbian S60の日本語化アプリなどはもう入手もインストールも難しいため使い方はかなり難しくなりますが、ブラウザーや内蔵アプリの利用、テザリング用途などには使うことができるでしょう。
Questの最大の特徴はこのキーボード。QWERTY配列でキートップはダイヤモンドのような形状をしています。光の当たり具合で複雑な反射をするため、本体を見る向きで表情が大きく変わるのも魅力です。このあたりの詳細は週アスの過去記事をぜひお読みください。
Questの画面解像度は480×640ドット。大きさは2.46型と小さいながら、いまでも使えないことはないかもしれません。ベースモデルはノキアの名機、E71の後継モデルのE72。E71は日本で発売直前に中止になりましたが、ノキアジャパンでは日本語化の開発は完了していたはずです。その後継モデルのE72もおそらく日本語化はノキアの方で簡単に行なうことができたでしょう。ところが、E71とE72の画面解像度は240×320ドット。Questの日本投入予定に際し、画面解像度が倍になったことで日本語化は困難を極めたかもしれません。もしもQuestの画面解像度がE72と同じだったら、日本語バージョンも発売され、中古をいまになって入手しても日本語を使うことができたはずです。
でも、画面解像度を考えるとVGA以下ではいまや実用は難しいでしょう。当時のノキアやVERTUの日本での動きをついつい思い返してしまいます。
バッテリー問題はサードパーティー製で解決
さてSigunatureを除く、ほかのモデルは製造中止になってからすでに5年が過ぎています。いまでもVERTUの店舗ではバッテリーを買うことができるモデルもあるものの、そもそも純正バッテリーはお値段も高く、入手も簡単ではありませんね。でも、VERTUの過去機の各モデルはベースがノキア端末なのでバッテリーも流用が可能。そのノキアのバッテリーも純正品の入手は難しいでしょうが、サードパーティー品ならいまでも中国製のものなどが入手可能です。
純正電池を使うほうがカッコイイんでしょうけど、バッテリーが経たってしまったなんてときは互換品を買うのも手かもしれません。各モデルのバッテリーは以下の互換品が使えます。BL-5Cなら入手は今でも入手は容易。ま、Signatureを入手するのが大変ですけどね。
Constllation Ayxta=ノキアBL-4U
Constllation Quest=ノキアBP-4L
Signature=ノキアBL-5C
VERTUは純正の革ケースや名刺入れなどのグッズも出していました。これらは現在販売されていなものが多く、いまとなっては入手困難。ちなみに本革の収納ケースはそれだけでiPhoneが買えちゃうくらいの高価なものでしたが、いまでも革の柔らかさを保ったまま使えるのはさすがです。
VERTUの本物の質感をぜひ体験してみて
ちなみにVERTUの現行モデルはAndroidスマホ。スマホとして普通に使うことが可能です。とはいえ100万円をスマホに出すのもなかなか勇気がいりますね。OSのバージョンアップへの対応も気になるところですし。また今のVERTUは経営が変わってしまったので、デザインもやや冒険気味なアバンギャルドなものも増えています。
VERTUの魅力はやはり「本物の質感」。携帯電話ゆえに国によって通信方式の対応が完全ではないケースもありますが、そこはメインのスマホでカバーすればいいでしょう。中古で買っても外観が綺麗なものが多いのも本物の素材を使っているから。実はAyxtaのピンクは筆者が先月入手したものですが、5年前購入品とは思えない美品でした。スマホ時代にあえて音声通話専用のVERTUを買うというのもいいものですよ。
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