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ユーザー数がなんと100万人超え!

Galaxy S7 edgeの事前予約でもらえる「Gear VR」って何がスゴい?

2016年05月15日 10時00分更新

文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

 どもども!! VRおじさんことPANORAの広田です。今週のVR業界では「Japan VR Summit」のニュースが各メディアで多く取り上げられましたが、ここでは韓国サムスン電子と米Oculus VRが共同開発したGalaxyシリーズ専用のVRヘッドマウントディスプレーの「Gear VR」についてピックアップしてみます。

 というのも、ドコモとauが夏モデルとして「Galaxy S7 edge」を5月19日にリリースしますが、発売日前日までに予約すると、なんとGear VRがプレゼントされるというキャンペーンが告知されました。さらにOculus VRの発表で、4月のユーザーが100万人を超えたことが明らかになるなど勢いづいている状況です。このGear VRはどんな製品で、業界の中でどんな位置付けなのかを深掘りしていきましょう。

Gear VRは「お手軽さがウリ」のモバイル型

 現状、VRヘッドマウントディスプレーは、大きく分けて3種類あります。PCやゲーム機につないで使う据え置き型、スマートフォンを全面に着けるモバイル型、それ単体で動作する一体型という分類です。

 Gear VRが属するのはモバイル型。2016年の「VR元年」を迎える前からダンボール製の「Google Cardboard」や「ハコスコ」、プラスチック製の「STELTH VR」などさまざまな製品が続々とリリースされており、一番の激戦区になっております。

 特徴といえば、なんといってもケーブルレスというところでしょう。やっぱりヘッドマウントディスプレーを装着していろいろ見回しているときに、後頭部にケーブルがあると、何かの瞬間に意識してしまって現実に引き戻されることもあります。スマートフォンを使うので持ち運びが楽々なのもメリット。日々カバンに入れておいて、VRの話題が出たときに「こんなこともあろうかと」とサッと取り出してデモすることも可能です。

こちらは米国で4月21日にスタートした、遊園地の新アトラクションの様子。ジェットコースターにGear VRを装着して乗り、ヘッドマウントディスプレー上に映し出される「エイリアンの侵略から地球を守る」というコンテンツを、ジェットコースターの動きとともに楽しむ、見るからに迫力満点なアトラクション。モバイル型でケーブルレスだからこそ可能!

 すでに世の中にあって、多くの人が持っているスマートフォンを使えるため安価で済むというのも大きなメリットでしょう。ダンボール製のものでは1000円から、プラスチック製のものでも1万円以下が多いです。Gear VRは売価で1万4800円と少し上がりますが、それでも動作に必要なGalaxyシリーズでS6シリーズの中古をいれても、PCやゲーム機が必要になる据え置き型よりは安価です。

 一方で、据え置き型に比べると、どうしてもスマートフォンなので処理性能が低く、グラフィックの描画が劣るというデメリットもあります。また、頭を振った際、見た方向に自然に映像が切り替わる「ヘッドトラッキング」には対応しているものの、ユーザーの位置を検出する「ポジショントラッキング」には非対応。例えば、VR空間でもっとよく見ようと頭を近づけても拡大表示はされませんし、HTC Viveのように実際に歩いてもVR空間には反映されません。

実写との相性が抜群

 そんなモバイル型において、筆者の知る限り最もいいVR体験を実現してくれるのがGear VRになります。

 まず表示品質が大きく違う。顕著なのが素早く頭を動かして周囲を見回した場合で、ほかのモバイルVRでは残像(ジャダー)が見えがちですが、Gear VRは頭をふってもヌルヌルで表示してくれます。モバイル型VRヘッドマウントディスプレーでは、スマートフォン内のセンサーで頭の向きを検知していますが、Gear VRではGalaxy側ではなく、Gear VRに独立したより高性能なセンサーを内蔵して高精度なヘッドトラッキングを実現しています。



 ソフトウェアの仕組みも優秀で、見える範囲よりも大きめに映像を生成(レンダリング)しておいて、急に頭が動いた際にも対応できるようにしています。この辺は、Galaxy専用でつくり込んでいる強みがありますね。

 スマートフォンのホーム画面にあたる「Oculus Home」の存在も大きいです。ほかのモバイル向けVRヘッドマウントディスプレーでは、アプリを購入したり切り替えたりする際には、いったん外すことも多いですが、Gear VRではホーム画面が存在して、装着したままで操作できるのが大きいです。パススルー表示という機能を使えば、Galaxyシリーズの背面カメラを利用して目の前を見られるので、目の前のテーブルからコップを手にとって飲み物を飲むことも可能です。

Gear VR版のホーム画面「Oculus Home」

「Oculus Store」というVR専用のアプリストアがあるのも見逃せません。Gear VR専用なので、App StoreやGoogle PlayからVR用のアプリを探すよりも迷いがないですし、何が旬なのかもオススメしてくれる。ほかにも側面で操作が完結できたりと、使っていて色々な面で「ああ、わかってるなぁ」と運用しやすさを感じたりします。

 そんなわけで、Gear VRはデモに使われることが多いです。特に実写の360度映像では、ポジショントラッキングが効かない(=撮影時に置いたカメラの場所の映像しか見られない)ので、Gear VRで運用するのに向いています。最近では、横浜スタジアムネットカフェなどに常設されていたりと、続々と置いてる場所が増えています。

 個人で買った場合も、お手軽360度カメラ「THETA S」などで撮影した写真や動画を見るのにぴったり。筆者も自分で撮影した360度動画を見せるために、割とカバンに常備してもっていってます。ガジェットファンで、この季節にスマホを買い換えるという方なら、Gear VRのためにGalaxy S7 edgeを検討するというのもアリなのかも!?


広田 稔(VRおじさん)

 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。


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