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オムロン技術者“匠の技”をスタートアップ支援に

2016年05月09日 06時30分更新

 大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。

オムロン 第1回(全4回)

 血圧計では世界トップシェアを誇るなど、一般消費者にとって健康医療機器メーカーとして馴染みの深いオムロン。B2B領域でも制御機器や電子部品事業などで高い技術力を発揮する同社は、ベンチャー企業の支援にも注力している。ものづくりを軸にしたそのベンチャー支援のアプローチについて、今回から4回にわたり、事業開発本部新事業創出センタ長であり、オムロンベンチャーズの小澤尚志代表取締役社長に訊いたお話をお届けする

ロボット領域とアグリ分野のベンチャーに投資

 オムロンがコーポレートベンチャーキャピタル運営やベンチャー支援プログラムを展開する子会社として、オムロンベンチャーズを設立したのは2014年7月1日のこと。ベンチャーへの投資活動は、“社会課題の解決を目指す国内外のものづくり系ベンチャー企業やハードとの融合を目指すサービス・ソフト系ベンチャー企業をバックアップ”することを目指して展開しており、これまでの投資実績は5件に上る。

 投資先のベンチャー企業には、シンプル動作のピッキング向けコ・ロボット『CORO』の製造販売を手がけるライフロボティクス、産業ロボットの“目”と“脳”を開発する三次元メディアと、ものづくりに根を下ろしたロボット技術を有する企業がある。一方で、新世代の栽培支援体制、栽培最適化支援システムを開発するプラントライフシステムズや、有機・自然農法による野菜の生産販売、生産技術の開発を展開するオーガニックnicoのように、アグリ分野のベンチャー企業への投資もしている。

 これまでのベンチャー投資の傾向について小澤氏はこう説明する。

「アメリカの産業用ロボットメーカー(アデプト テクノロジー社)をオムロンが買収するなど、今後ロボット技術をどう事業に取り入れていくかはグループ全体で重要テーマのひとつとなっています。なので我々ベンチャー支援部隊としても、FA(ファクトリー・オートメーション)やロボットに関わる特徴的な技術を有するベンチャーと連携を進めたいと考えました」

「またアグリ分野については、これまでオムロンが手がけてこなかった分野なので、新規事業の開拓という意味合いが強くなっています。もともと農業の分野で何か技術貢献できないかと考える人達が社内にいて、彼らがベンチャーと組むかたちで進めています。新しいモノやコトにチャレンジしていく風土は、従来より当社に培われてきているものだと自負しています」

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