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ドローンを“ドット化”した空中ディスプレイ 21世紀の夢は「空き地」から始まった

映像を作るはずが、いつのまにかドローンを作りはじめた

 オルフェはセンサー、Bluetoothモジュール、LEDを搭載し、音楽アプリと連携する未来のスニーカー。高城氏はとくにLEDの使い方や配色に繊細な“情緒”を感じ、ドローンの光の演出を依頼した。

 「今後『LEDがどう人と接していくべきか』が考えられていくだろうと思っていたので、時代に適したお題だなと感じました。それにそもそも突拍子もない話なので面白かったですよね。空間のどこにでもディスプレイができる可能性がある、ビット・トゥ・アトムを実現する可能性があるという」(菊川氏)

 渡辺社長と高城氏は、菊川氏をひきつれて、香港やシンガポールなどの空き地に飛びまわった。ドローンを試作して飛ばすためだった。そもそもベンチャースピリットや文化は空き地から生まれるというのが高城氏の持論だ。

 「新しいものは空き地、場所が必要なんですよ。日本の高度経済成長は空き地ではじまったようなもの。シリコンバレー的に言えば、ガレージかな。いま日本にベンチャースピリットがないといわれるのは空き地がないからですよ。新しい文化、勢い、表現は空き地からはじまる。空いているところに怪しい面白い人たちが集まり、いろいろやってしまうと」(高城氏)

 そうしてアジアの空き地をまわり、映像制作のためにドローンのプロトタイプを作っているうち、ある変化が起きた。

 「いつのまにか事業開発に拡大したんですよ。ビジョンをつくるところから始まり、気づいたら現実的にドローンによる仕組みをつくっていた」(渡辺社長)

 どうも実際にビジョンを具現化できるらしい。そこに気づいてから、2人は「ドライブのかけ方が尋常じゃなかった」(菊川氏)。わずか数ヵ月前まで「竹ひごで作ろうか」と言っていたフレームはカーボンフレームになり、LEDはオリジナル基板を2000枚単位で作るほどの規模になった。フレームのジョイント部分は汎用品だと設計に合わないと、独自の金型まで作ってしまった。

 あれよあれよとスタッフがリクルーティングされ、富士山ロケまで決まっていく。40~50人のスタッフが合宿のように雑魚寝し、2人の夢を形にすべく、まだ見ぬドローンと格闘をつづけた。そして冒頭の映像が撮影されるにいたった。

 「Sky Magicは生で見るべきです。ドローンが富士山の前で逆さ富士を作って飛ぶ姿は本当に感動的で『モノリス出た!』と感じたほどです」(菊川氏)

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