アドビ システムズは4月13日、同社のクラウドプラットフォームの1つである、Creative Cloudに含まれる「Premiere Pro CC」を中心とした製品群のアップデート内容を発表した。アップデートは今夏の予定で、新機能自体はNABでプレビューされる。4月12日に開催された説明会では、アドビシステムズ でビデオ製品担当 マーケティングマネージャーを務める古田正剛氏が、「Premiere Pro CC」などCreative Cloud製品群の現状と新機能について解説した。
Creative Cloudは、業務用映像制作ユーザーの中ではシェアがかなり伸びており、2015年の国内導入率がトップだったことを紹介。
Premiere Pro CCの利用頻度もナンバーワンであることを強調した。他社アプリとしてはAppleのFinal Cut Pro Xなどがあるが、それよりも高い利用率のようだ。
旧バージョンからCreative Cloudへの移行も進んでおり、2015年では6割超のユーザーがCCを利用しているという。
Creative Cloud製品群により、BGMや音声、ビデオの編集・加工などをシームレスに連携させて進められることを語った。また、映像はテレビだけでなく、スマホやタブレットなどで視聴するマルチデバイス化が進んでおり、Premiere Pro CCなどの映像制作ツールだけでなく、同社のMarketing Cloudプラットフォームに含まれるAdobe Primetimeなどのとの映像配信ツールの重要性についても触れた。コンテンツの作成から最適化、配信、分析までをすべて自社製品で完結させられるところがアドビの強みだ。
Creative Cloudの映像関連アプリに搭載される主な新機能は以下のとおり。アドビのブログでも映像とともに紹介されているので、そちらもチェックしよう。
- インジェストと同時に編集(Premiere Pro CC)
従来はソース元から直接読み込んで編集していたビデオやオーディオのデータをバックグラウンドでインポートできる機能。もちろん、ユーザーはインポートを待たずに作業できる。 - 強力なプロキシーワークフロー(Premiere Pro CC、Adobe Media Encoder)
8K、HDR(ハイダイナミックレンジ合成)、HFR(ハイ・フレーム・レート)などの映像ソースを簡単に切り替えられるようになる。通常のPCでも、ネイティブフォーマットとプロキシー(ネイティブより軽いデータ)を自由に切り替えられるとのことなので、かなりパフォーマンスがいいと思われる。 - Lumetriカラーツールの拡張(Premiere Pro CC)
HSLセカンダリーコレクションを新たに搭載したことで、特定の色域を別の色に変換することが容易になった。服の赤色の部分だけの彩度を上げる、青空の映像を夕焼けに変えるなどの処理が簡単かつ違和感なくできるようだ。 - 新しいビデオ&オーディオプレビューエンジン(After Effects CC)
キャッシュされたフレームの再生がさらにスムーズになるとのこと。 - より簡単で効率的なキャラクターアニメーション制作(Character Animator)
パペット作成プロセスが見直され、パペットレイヤーに簡単にタグ付け可能になったことで、キャラクターの動きのテイクを複数録画することが容易になったとのこと。動きやトリガーに対応したキャラクターアニメーションを制作可能とのこと。 - エッセンシャル オーディオパネル(Audition)
オーディオコンテンツを簡単にプロ並みのクオリティーで編集できるとのこと。 - アセットの素早い検索(Adobe Stock)
アドビのストックフォト・ビデオサービスである「Adobe Stock」との連携も強化。ライセンス済みのアセット(データ)が簡単に見分けられるようになるようだ。
映画業界では、アビッド・テクノロジー社の製品群が高いシェアを占めており、Premiere Pro CCなどのアドビの映像編集アプリを全面的に利用した作品はまだまだ少ない。
直近では、米国で2016年2月5日(日本では5月13日公開予定)に公開された「へイル, シーザー」、米国で2016年2月12日(日本では6月1日公開予定)に公開された「デットプール」などがある。日本映画では過去に、2015年7月11日に公開された「なつやすみの巨匠」でPremiere Pro CCが使われているそうだ。
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