アドビ システムズは4月11日、同社の「Adobe Marketing Cloud」の筆頭格ともいえる動画配信プラットフォーム「Adobe Primetime」の国内展開とパートナーシップについての発表会を開催した。
アドビは3つのプラットフォームを提供
まず、同社マーケティング本部 副社長である木ノ本尚道氏が登壇。アドビの製品群は大きく分けて、PhotoshopやIllustrator、Premireなどに代表される「Creative Cloud」、Adobe Acrobatを中心とした電子書類/署名ソリューションの「Document Cloud」、そして今回発表されたPrimetimeなどを擁する「Marketing Cloud」の3つのクラウドプラットフォームがあると説明。
さらに「Marketing Cloud」では、PrimetimeやAnalyticsなど計8つのソリューションを提供しているとのこと。
テレビ視聴はネット配信とパーソナライズがキモ
次に米国本社のAdobe Primetime担当バイスプレジデントであるジェレミー・ヘルファンド氏が登壇。ひと昔前は1つのテレビで同じ番組を家族で見ていたが、現在ではテレビ、スマホ、タブレット、PCなどさまざまなデバイスで、家族1人1人が異なる番組を楽しむというスタイルに変わっていると指摘。
これは世界的な傾向であり、ワールドワイドではテレビの視聴自体は増加傾向で、特にネット動画視聴の伸びが著しいことを紹介した。すでに、スマホとタブレットはPCでの視聴数を上回っているそうだ。NetflixやHuluなどの月額見放題サービス(OTT、Over-The-Top )の台頭も顕著で、テレビ局などのコンテンツプロバイダーはより効率的な事業収益化が急務と指摘した。
ヘルファンド氏は、動画配信でアドビ製品を利用するメリットとして、PremireやAfter Effectsなどの動画コンテンツ制作に役立つ製品群と、AnalyticsやPrimetimeなど顧客分析や配信に役立つ製品群を一気通貫で使えることを強調。
また4年後の2020年までには、ユーザーの属性や視聴履歴などから適した動画をリコメンドする機能をはじめ、テレビ配信もパーソナライズが重要になると解説した。
米国では、PrimetimeやAnalyticsなどのMarketing Cloud製品群を利用している企業が増えていることも紹介された。具体的には、MLB(メジャーリーグベースボール)、HBO、NBC、CNN、COMCASTなどの21企業。
採用企業は、「Adobe Primetime TVSDK for HTML5」を利用することで、HTML5を利用した高機能かつ高速な動画プレーヤーを開発できることを紹介した。アドビはひと昔前にFlash動画でネットを席巻したが、スマホやタブレットでFlashが受け入れられなかったことからHTML5へシフトしたカタチだ。しかし、視聴環境によってはFlash動画が必要とされることもあるので、Flashへの切り替え機能も備えるという。また、ABR(アダプティブ・ビットレート)機能によって、ネットの回線状況に合わせて最適なビットレートでの配信も可能。さらに、DRM(著作権保護)機能についてもブラウザーネイティブのものを利用できる。
前述した動画視聴のパーソナライズのキーとなるのが、「Adobe Primetime Recommendations」。ユーザーの属性や視聴履歴などからお勧めの動画を提示するのはもちろん、お勧めコンテンツを事前にダウンロードしておき、ユーザーが再生ボタンを押すとタイムラグなしで再生できる機能も備える。現在、Amazonビデオを除く多くの動画配信サービスは、動画再生時に映像が出るまで数秒待つ必要がある。Adobe Primetimeを導入することで、まるでテレビのチャンネルをザッピングするように複数の動画を次々と見られるのだ。デバイスや地域、時間帯などの情報を加味したお勧め動画も提示できるという。
Marketing Cloudの製品群を一気通貫で使うために必要なのが「Adobe Primetime OTT」。Audience ManagerやAnalyticsを駆使してユーザーデータを分析、Targetによるコンテンツの最適化、Media Optimizerによる動画データの最適化、Campaignによるネット上での各種キャンペーン施策の自動化などが可能となる。これまでの動画配信では、個別に用意もしくは開発していたソリューションがすべてMarketing Cloudに含まれていることをあらためてアピールしていた。
動画配信については他社とのパートナーシップも重要で、特に動画広告配信については収益化や開発・システム統合などで他社と協業していることに触れた。
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