アップルは4月1日、会社設立40周年を迎えました。米国カリフォルニア州クパティーノにあるApple本社では海賊旗が掲げられていたそうで、その様子を写真を撮影したツイートもありました。
#jollyroger @ #apple pic.twitter.com/X6mpBw74A4
— tommy w farley (@twfarley) 2016年4月1日
A better angle. For those who don’t know: it’s Apples 40th anniversary on April 1st. pic.twitter.com/6qlvuHe6Sn
— Mohammed Jisrawi (@mjisrawi) 2016年4月1日
また、先日3月21日(日本時間22日)に開催されたiPhone SEと9.7インチiPad Proの発表会では、Appleの40年の歩みを40秒で紹介する動画が公開されたことが記憶に新しいと思います。
Apple I
この動画では、Appleとしての最初の製品であるApple I、そしてその価格である666.66ドルという文字や数字などが表示されます。
Apple II
続いて、Apple IIの文字が。Apple IIは世界初のパーソナルコンピューターといえる製品で、基板のみだったApple Iとは異なり、基板を入れるケースやキーボードなども標準搭載したことで、初期のAppleを支える大ヒット商品となりました。
Lisa&Macintosh
そして、Lisa、Macintoshと続きます。Lisaは、GUI環境を備えるOSを搭載する初のパソコンとして登場しましたが高価格で商業的には失敗。しかし、そのコンセプトなどはのちの初代Macintoshに引き継がれることになります。
MacPaint&MacWrite
そのあとも、MouseやOne clickなどMacを連想させるキーワードのあと、初代Macが登場した1984年が画面に現れます。続けてMacPaint、MacWriteという伝説的なMac用アプリの名前が。いずれも初代Macintoshに搭載されていたアプリですね。特にMacPaintは、現在のドロー系アプリの元祖とも言えるもので、ツールパレットに登録されている各種ツールはいまでも他社製のドロー系アプリで似たようなアイコンが使われていることが多いです。
何よりも、アプリ自体のファイルサイズが小さく、2D(両面倍密度、400KB)のフロッピーディスクに収まっていたことが驚きです。ちなみに現在では、MacPaintやMac OSの描画システムを支えたQuickDrawのソースコードが一般公開されていますので、興味のある方はダウンロードしてみてください。当時は、ハードウェア、ソフトウェアはもちろん、ソースコードまで洗練されていたんですよね。
ジョブス不在時代
実はこのあと、動画ではいきなり「Think different.」の文字が現れます。みなさんご存じかと思いますが1997年から2002年ごろまでのAppleの広告のスローガンですね。先ほどの1984年からいきなり13年のスキップです。初代Macintoshの発売後、スティーブ・ジョブズはAppleを一度去るので、動画では大胆にもこの間の出来事は全部カットされ、なかったことのようになっています。
カットされたところになにがあったかと言うと、初代Macのあと、Mac PlusやSE/30などが登場します。そして廉価版のClassicシリーズやLCシリーズ、メインストリームのMacintosh IIシリーズなどがリリースされました。
さらに時代は進んで、1990年代にはミドルレンジのCentris(一部はQuadra)、ハイエンドのQuadraというシリーズが登場。そして、AVシリーズと呼ばれるDSPを搭載したCentris 660AV、Quadra 840AVというフラッグシップモデルがラインアップに加わります。
その後、1994年にはCPUを米モトローラー社のMC680xx系(68K)から、米IBM社のアーキテクチャーをベースとするPowerPC系にプロセッサーを変更し、マシンの名称もPower Macintoshに。68KエミュレーターやFATバイナリーと呼ばれる手法で、まったく異なるプロセッサーへの移行を成功させました。ちなみに当時、ワタクシはアルバイトの最も下っ端だったので、編集者の先輩がQuadraやPower Macintioshなど、バイトの先輩がIIciとかLCを使っているときに、メモリーをはじめさまざまな部分が異端なMacintosh IIfxというマシンを使っていました。よくデータが飛びました。
さて、PowerPCは、601や603、604などのラインアップがあったのですが、その後には第3世代を意味するPowerPC G3(PowerPC 750)が開発され、Macの名称もPower Macintosh G3となります。さらに進むと「intosh」が取れPower Mac G3という名称のあと、G4、G5へと続きます。
iMac
1996年にジョブズがアップルに復帰後、いろいろありまして翌年にはCEOの座に返り咲きます。そしてまずは、iMacを投入してMacを再生します。ジョブズ復帰前には、Mac OSの他社ライセンスによる互換機、Performaシリーズのラインアップ膨張による在庫管理の破綻など諸問題を抱えていましたが、それらをすべて捨て去って、iMacを投入したことでアップルの業績は回復していきます。iMac自体も、フロッピーディスクやSCSIなどの旧来のデバイスを廃止するなど、大胆に機能を絞り込んだマシンでした。動画では、iMacの文字のあと初代モデルのボンダイブルーがキーワードになるかと思いきや、第1世代Rev.Cのタンジェリン、グレープ、ライム、ストロベリー、ブルーベリーのキャンディーカラーが各色とともに動画で紹介されます。
そのあと「kill the floppy」「QuickTime」など当時のAppleが捨てたデバイスと、力を入れていたテクノロジーが紹介されます。
PowerMacからインテルMacへ
そして、PowerMac(当時の表記はPower Mac)→PowerBook→MacBookという順で画面が切り替わるのですが、このコンマ数秒にはさまざまなドラマがありました。68Kから続くAppleのノートPCの名称であったPowerBookからMacBookへの名称変更です。なぜ名称が変わったかというと、CPUをPowerPCから米インテル社などのx86系に切り替えたからです。Appleはここで2回目のCPUのアーキテクチャーの変更を敢行したわけです。ちなみに、PowerBook時代にはエントリーラインとしてiMacのノートPC版とも言えるiBookもありましたが、インテルCPUに切り替わるタイミングでiBookもMacBookシリーズに統合されます。
Newton
時系列はおかしいのですが、MacBookなどのキーワードのあとにNewtonが出てきます。しかし、表示された途端に打ち消し線で消されてしまいます。Newtonはジョブス不在時に開発されたPDAで、コンセプトは素晴らしかったもののハードとソフトのバランスが悪く商業的には失敗しました。
iPodから始まったAppleの隆盛
現在のiPhoneやiPadの成功の原点とも言えるのは、iPodの発表です。iMacで存在感を示したAppleでしたが、当時のパソコンシェアはWindowsの寡占状態。そのパソコン向けの新たな周辺機器としてiPodを生み出しました。当初はFireWire接続でMac専用のデバイスでしたが、第2世代でWindowsマシンとUSB接続に対応して一気に人気製品になりました。iPhoneやiPadは、このiPodの成功がなければ実現していなかったと思います。
このあとは、MacBook AirやiMovie、Yosemite、Xcode、Apple Watchなどごく最近のキーワードのオンパレード。そして最後に「April 1,2016」を表示されて40秒の動画は終わります。
1990年代、Appleは長期低迷して身売りの危機すらありました。現在では、iPhoneやiPad、Macをはじめとする盤石の製品群はもちろん、自社で発電所を運営してクリーンエネルギーを積極的に利用したり、Apple製品はもちろん他社製のPCやスマホのリサイクルを始めたりするなど、持続可能な社会の形成に力を入れています。
また、Apple Watchなどを活用しつつ、Research KitやCareKitなどの医療研究に役立つAPIをオープンソースとして解放するといった取り組みを進めています。2016年現在、パソコンとスマホ、タブレットのメーカーとして認知されているAppleですが、次の40年後にはまったく違った事業で有名な企業に変わっているかもしれませんね。
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